電動モビリティのベンチャーglafitが、俳優の三浦翔平さんをブランドアンバサダーに起用。世界初「バイクを法的に自転車にする機構」を持つ電動バイクを、三浦さんも愛用しているようです。

「自転車風」が本当の「自転車」になる装置

 とある取材会場にて、電動バイクの交通ルールに関する次のような○×クイズが出されました。
 
「『一方通行 自転車除く』の標識がある道に進入できる」
「街の駐輪場に停められる」
「車道の端の青い自転車通行帯を走行できる」


GFR-02に乗る三浦翔平さん(中島洋平撮影)。

 これは、2022年11月9日(水)に電動モビリティベンチャーのglafit(グラフィット)が開催した戦略説明会での一コマ。同社のブランドアンバサダーに就任し、自身も同社のペダル付電動バイク「GFR-02」に乗っているという俳優の三浦翔平さんが挑戦しました。

 クイズの答えは全て「×」。GFR-02は、折り畳み自転車のような見た目からか、三浦さんは駐輪場の問題については間違ってしまいました。

 ただ、GFR-02の場合、「モビチェン」と呼ばれるこのバイクだけの機構を使った場合は、これが全て「○」になるといいます。

 モビリティカテゴリーチェンジャー、略して「モビチェン」は、かんたんにいうとナンバープレートを“隠す”装置です。GFR-02は電動バイクにも、自転車にもなるバイクですが、法律上は、自転車モードであっても「原付」に区分されます。しかし、電源OFFでモビチェンによりナンバープレートを隠せば、法律の区分まで「自転車」になるのです。

 モビチェンはglafitが国の規制緩和に関する制度を活用し、2021年に警察庁の認可を得て実現しました。現在のところ、GFR-02にだけ認められた装置です。

「(GFR-02は)小回りがとても利き、自転車にもなるのでバイクで行けなかったところにも行けます。みんなの夢がかなう乗り物ですね」と三浦さんも太鼓判。

「サーフィン仲間のほか、妻と一緒にゆっくり走りたい」と三浦さん。妻である桐谷美玲さんにもプレゼントしたいと話しました。

完全に「自転車」になって初めて法的にも「自転車」になる

「ペダル付きの電動バイクは、たくさんのメーカーから出ました。でも、自転車モードであっても自転車にはなれない『自転車風』でした。モビチェンを備えたGFR-02は、『状態が変化するモビリティ』として法律上はじめて定義されたものです」

 グラフィットの鳴海禎造社長はこう話します。モビチェンはグラフィットがユーザーの声を受けて実現に動いたもので、すでにGFR-02を購入済みの人にも、ぜひ追加装着してほしいと訴えました。

 とはいえ、モビチェン自体は2021年に発表されていました。ブラッシュアップを経て完成したモビチェンは、機体のシステムと連動し、電源OFFの状態でないとナンバープレートを隠すことができない機構に。完全に「自転車」となって初めて法区分としても「自転車」になる仕組みが構築されました。

 この1年、グラフィットは半導体不足に悩まされ、思うような生産や活動ができなかったといいます。その間に、道路交通法が改正され、新モビリティの活用を想定した新区分「特定小型原付」なども創設されています(施行は2024年春)。


クイズに挑戦する三浦さんと鳴海社長。

 GFR-02の特徴となる「状態が変化するモビリティ」の説明だけでなく、新モビリティについて警察向けに講習会などを開く機会も多いとのこと。技術、保安要件、規制の側面から、来るべき改正道交法の施行へ向け各所が準備を進めていることが伺えました。

 またグラフィットは年内にも、「特定小型原付の最適解」とする新たな展開の発表を予定しているそうです。