イギリス艦も参加予定でしたが、悪天候に阻まれたそう。

遠くはパキスタンからも参加

 海上自衛隊は2022年11月6日(日)、岸田 文雄内閣総理大臣や浜口 靖一防衛大臣らを招いて相模湾沖で観艦式を実施しました。今年は海上自衛隊創設70周年の節目の年であるため、20年ぶりに「国際観艦式」という形で外国艦船も多数参加していたのが特徴です。


相模湾で行われた国際観艦式の様子(深水千翔撮影)。

 そもそも、海上自衛隊は1952(昭和27)年4月1日に発足した「海上警備隊」が前身となります。当初は海上保安庁の下部組織という位置付けでしたが、4か月後の8月1日には「警備隊」として海上保安庁から独立、保安庁(現防衛省)隷下へと移管されました。そして、2年後の1954(昭和29)年7月1日に海上自衛隊として改組・発展し、現在に至っています。

 海上自衛隊が初めて観艦式を実施したのは1957(昭和32)年のこと。また創設50周年となった2002(平成14)年には初の国際観艦式が実施されています。それから数えて今回は2回目の国際観艦式となりました。

 参加艦艇は海上自衛隊から19隻、海上保安庁から1隻、オーストラリアやカナダ、インド、パキスタンなど12か国から18隻の計38隻。なお、当初はイギリスからも1隻が参加する予定であったものの、低気圧の影響で来日できず、こちらは参加を断念したとのことでした。

 また、観艦式には名を連ねていなかったアメリカ空母「ロナルド・レーガン」も、付近を航行していたということで姿を見せ、短時間ながら並走していました。

ブルーインパルスが飛行展示を実施

 航空部隊については海上自衛隊のP-1哨戒機を筆頭に、陸海空の三自衛隊が運用するヘリコプターや飛行機が飛行。V-22ティルトローター機やC-2輸送機、F-35A戦闘機は観艦式初参加でした。それに続いてアメリカ軍のF/A-18EならびにF-35Bの両戦闘機と、フランスから参加したファルコン200哨戒機が航過していきました。


相模湾で行われた国際観艦式の様子。参加艦船ではないものの、途中でアメリカ空母「ロナルド・レーガン」も姿を見せた(深水千翔撮影)。

 目を引いたのは、陸上自衛隊所属のV-22が2機編隊で参加していたことです。加えて同機は日本語では「ヴィーナス」、英語では「Osprey(オスプレイ)」と別々の愛称で紹介されていました。

 その後行われた訓練展示では、潜水艦の潜航・浮上やP-1哨戒機による赤外線欺瞞装置「IRフレア」の連続射出、そしてUS-2救難飛行艇の洋上離着水が披露されたほか、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」による飛行展示が行われ、秋晴れの相模湾の空に白いスモークでさまざまな模様を描いていました。

 こうして一連の観閲・訓練展示を見届けた岸田総理大臣は、観閲艦「いずも」の格納庫において訓示し、「ロシアによるウクライナ侵略」や「北朝鮮によるICBM級を含む弾道ミサイルの度重なる発射」に触れ、「力による現状変更の試みは世界のどの地域でも許してはならない」として対話による国際秩序の構築を追求すべきと述べる一方、武力行使や威嚇に対抗するため、今後5年以内に防衛力を抜本的に強化するとも明言していました。