あのときも、その教え通り、徹底的に確認するように促せばよかった。私は関係ないし、という気持ちがどこかにあったのかもしれない。全員で確認すれば防げたことだったとも思う。いつもそういう確認はだーすーがしてくれるからと、甘えていたのかもしれない。それはメンバーの私たちもだし、ダンス講師もマネージャーも。

それをきっかけにメンバーもスタッフも意識を改めようと話し合った。 大きなグループともなると、メンバーみんなに意見を伝えることはとても労力のいることである。 でも、だーすーはそれをどんな時も諦めなかった。だから私たちも積極的にやっていこうと。そのおかげでSKE48は大きなコンサートのタイミングで全体で意識の共有ができるようになった。

メンバーとスタッフ、みんながだーすーから学ぶことは多かった。

そしてだーすーはグループのために積極的に運営に話を聞きにいくようにもなった。「どういう意図があってこの仕事をするのか」「今回の戦略はどう考えているのか」など……。メディアに毎日出演しているだーすーが、そんな姿を見せるのはグループにとってとてもプラスなことだったと思う。

私とだーすーがグループについて話す関係になったのはSKE48が新会社に所属した頃だった。新しいSKE48になるために運営はどんなことを考えていて、それに対してメンバーはどうしたらいいのか気になっていた。グッズのデザインやライブのセットリスト、MCについて、まずは自分たちが理解していないと表に発信できない。自分たちが思っていることだけではなく、後輩メンバーが感じていること、自分がファンだったら疑問に思うこともぶつけたい。そんな意識が共通していた。

一度だーすーに声をかけられ、二人で一緒に話を聞きに行ったことがある。その時は涙ながらにメンバー側の意見を伝えるだーすーの姿を見て私も涙ぐんだ。あれだけの多忙なのに、グループのことを深く考えている姿に感動した。

これまでもいろんな涙を流してきただーすー。明るい笑顔がトレードマークの彼女だが、メンバー側からすると、見てきた姿は笑顔と涙、半々ぐらいなのではと思ったりもする。

涙の話が多くはなったが、普段裏ではめちゃくちゃいじられている存在だ。そして意外と後輩にいじられている。あと意外とこれって本人に言っちゃダメかな? みたいな話も笑いに変えて話せる人でもある。代表的なのは「『美しい稲妻』の番手問題」だ。

AKB48とSKE48、兼任し始めた私が5番手でだーすーが12番手で、MV撮影中にだーすーが「なんであかりが12番手なの!?」と泣きながら怒ったことがあった。その時は気まずくて話のネタになんてできなかったが、月日が経ち、だーすーが確実に実力をつけて登ってきたからこそ、そのエピソードも生かされるのではと思いライブのMCで話すと大爆笑だった。

本人だけではない。須田亜香里ファンもこの話を100%受け止めてくれる確信があった。寛大な人たちが多い印象だったからだ。きっと「あかりんらしいなぁ」とか「うちのあかりんがすいません」って言ってくれる姿が想像できた。そして実際にその通りだった。須田亜香里とファンの間ってきっと私たちには計り知れない想いのやりとりがあって、固く頑丈に結ばれているのだろうなぁと思う。

握手会レーンを隣で長いことやってきたが、須田亜香里の握手術だけは盗めなかった。聞き耳を立ててみた事ももちろんあるがそう簡単には解き明かせなかった。きっとあのレーンに並んで真っ正面から須田亜香里を体感しないと感じられない魔性の列なのかなと思う。

改めて思うがこれほどまでに喜怒哀楽がたくさん出るアイドルという存在もなかなかいないと思う。そして何よりこれほどまでにグループを愛している存在がいたというのはとっても大きい。