by Douglas Muth

ゴキブリは多くの人にとって悩みの種なので、「もし自動でゴキブリを退治してくれるAIが登場したら是非使いたい」という人は多いはず。そんな人の夢を実現するAI搭載の自動レーザー砲台が開発されました。

なお、この記事にはゴキブリの映像や画像が掲載されるので、苦手な人は注意してください。

Full article: Selective neutralisation and deterring of cockroaches with laser automated by machine vision

https://doi.org/10.1080/00305316.2022.2121777

Scientists Create AI-Powered Laser Turret That Kills Cockroaches

https://www.vice.com/en/article/dy743w/scientists-create-ai-powered-laser-turret-that-kills-cockroaches

今回、ゴキブリを自動追跡して駆除するレーザー装置を開発したのは、イギリスにあるヘリオット・ワット大学のIldar Rakhmatulin氏です。同氏は以前、蚊を自動検知してレーザーで焼き殺す装置を開発しています。

蚊を自動検知してレーザーで滅却するRaspberry PIマシンが誕生 - GIGAZINE



by Andrew "FastLizard4" Adams

さらに、Rakhmatulin氏は2022年9月21日に査読付学術誌・Oriental Insectsに掲載された論文で、ゴキブリを高精度に検知して最長1.2メートル離れた場所から無力化するレーザー装置を発表しました。装置の部品や設計図といった詳細はオープンソースで公開されているほか、実際にゴキブリを退治しているデモンストレーションのムービーも公開されています。

0.5W Laser for kill cockroach - Open Source - YouTube

透明なケースにゴキブリが入れられています。



レーザーが当たると、ゴキブリが逃げ出します。



しかし、逃げた先にも容赦なくレーザーが照射されます。



その後も逃げるゴキブリをレーザーが追い続け、ついにゴキブリはひっくり返って動かなくなってしまいました。



Rakhmatulin氏は、このレーザー装置の心臓部としてディープラーニングによる機械学習アルゴリズムを実行可能なNVIDIAの小型コンピューターであるJetson Nanoを採用。ソニー製イメージセンサーを搭載した小型カメラモジュールIMX2192台でゴキブリを発見してその位置を割り出し、ガルバノミラー(レーザー光反射鏡)でレーザーの向きを変えて標的にレーザーを照射できるよう設計しました。



ゴキブリを焼き殺せるほど強力なレーザーが目に入ると危険なので、残念ながら強力なレーザーをそのまま家庭に使うことはできないとのこと。しかし、AIでゴキブリを見分けてレーザーで狙い撃ちにするこの装置は、環境を破壊したり害虫ではない生き物も死滅させたりしてしまう農薬に代わる害虫駆除技術として有望で、総制作費用が250ドル(約3万6000円)以下と安価なこともメリットだと研究チームは述べています。

また、ゴキブリは暗所に隠れる習性を持つことから、研究チームが避難スペースの下に隠れるゴキブリに低出力レーザーを照射する実験を行ったところ、ゴキブリは暗所に隠れる行動を取らなくなりました。このため、瞬時に焼き殺すほど強力なレーザーを使わなくてもゴキブリを退治できる可能性があると、Rakhmatulin氏らは結論付けています。