昨年のQシリーズを突破して米ツアーメンバーとして4度目の「AIG女子オープン」(全英)に挑む渋野日向子。3度目に制した戦いへ機運は高まるばかりだが、ここで今ではすっかり定着したウィットに飛んだコメント“シブコ節”で3年前の激闘を振り返ってみたい。
■「しぶの全英出れるってよ」
ファイナルQT44位という資格で初のレギュラーツアーに挑んだ渋野だったが、国内メジャーでツアー初優勝を「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で挙げるとその後も大活躍。前半戦最後の試合となった「アース・モンダミンカップ」で4位タイに入り、同大会終了時の賞金ランキング上位5位までに与えられる全英行きの切符を滑り込みで獲得した。インスタグラムでは、「しぶの全英出れるってよ」と、どこか他人事のような感じで喜んだ。
■「周囲からは最低でも来年の出場権がもらえる15位以内とかいわれますが、できません(笑)」
海外渡航もほとんどなく、今回利用するビジネスクラスも初めてという渋野は「映画を見ていたら寝ちゃいそうです(笑)」と余裕たっぷり。地元岡山から羽田空港を経由して、ロンドン行きの便で決戦の地へ向かう際には変わらずリラックスムードだった。「気持ちの高ぶりというより、普通に楽しみです」。まさか人生を変える出来事になるとは夢にも思っていなかっただろう。
■「なぜ?って感じ(笑)」
15位は無理、と話していた海外メジャーでなんと単独首位でホールアウト、自身も予想だにしていない快進撃に。「自分でもびっくり。なんでこんなにバーディが獲れているのかと、気持ち悪かった(笑)。出来過ぎなので120点です」と笑い飛ばした。
■「エイト!」
首位と3打差の単独2位につけた日本が誇る元気娘に海外メディアも大注目。少しでも引き出そうと質問攻めに。『何歳でゴルフを始めたの?』の質問に元気良く答えたのがこの言葉。ほかにも『コースのイメージは?』の問いには、「全英はリンクスだと思っていた」。『大会の目標は?』には、「予選通過できたらいいかな、くらい」。LPGAからも愛されるキャラクターはこの日誕生したといってもいい。
■「食べたものが全部出そう(笑)」
ムービングデーに単独首位に浮上した渋野。この日の会見でも海外メディアの爆笑は止まらない。『この状況は今までないと思いますが、どのくらいの緊張感ですか?』と聞かれて出たのがこの言葉。『イギリスは初めてですか?どう思いますか?好きになりましたか?』と聞かれれば「好きになったかもしれないです(笑)」と愛嬌たっぷりに答え、『明日に向けてどうプレーしますか?』と聞かれれば「頑張ります。センキュー!」と締めくくる。まさに渋野劇場だ。
■「ホントに、いらんことをしたと思います。ふふふ(笑)」
海外初試合でまさかのメジャー優勝。4日間笑顔を振りまき、攻撃的なゴルフで世界を黙らせた。プレッシャーに押しつぶされることなく、最終ホールのバーディで決着。「やっちゃいましたね、ホントに(笑)。なんで勝っちゃったんですかね、私がね。ホントにいらんことをしたと思います、ふふふ(笑)。いらんことっておかしいですね、すごいことをしたと思います」とシブコ節で喜んだ。
■「米国へ行くつもりはない」
全英優勝で獲得した米ツアー出場権。優勝会見で参戦の有無を聞かれ、出てきたのがこの言葉。「これから先、アメリカで戦うということを考えると、やっていけないなと思います。移動もそうですし、英語も話せない。そういうところでストレスになります。日本でもっとレベルアップして活躍したいのはこれからも変わらない。できればこういう思いはしたくないくらい(笑)。笑っていましたけど、この4日間本当につらかった。気疲れがハンパじゃないので。あの位置にずっといるというのは気も遣っていたと思う。何回『帰りたい』と言ったか分からない。シビアなパットとか気が狂いますよね」。笑顔の下に、大きなプレッシャーが隠れていたことを明かした。
■「涙はまったく出てこんかったです(笑)」
「プレーオフはしたくないと思っていました。バーディを獲るか、ボギーを叩くか。3パット打つか、シャンク打つか(笑)。ピンは狙っていました。18番のパッティングを打つ前も『これを決めれば優勝する』ということは分かっていた。どういうガッツポーズをしようかなと考えていました。最後も壁ドンで入ったので、『やりきった〜』って。ふふふ(笑)。入っちゃったという感じで。ガッツポーズするじゃないですか。泣きそうになるじゃないですか。涙はまったく出てこんかったです(笑)。泣きそうになるかなって、こう手を目にやったけど、全然でした(笑)」。全英最後のホールの渋野の心の中をお届けしました。
■「こんなにヘラヘラしてやっているんだな(笑)」
8月の帰国後、久しぶりに実家に戻り、ゆっくりしていたときのことを聞かれた渋野。ちょうど放送されていた全英の3日目と最終日のプレーバックを見て発したのがこの言葉。「テレビ越しだったので客観的に見られたのですが、こんなヘラヘラやってるんだなって(笑)」。その笑顔が世界を魅了したんですよ…。

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