ふるさと納税を行い、所定の手続きをすると住民税の控除が受けられます。手続きはしたものの、実際に住民税が安くなっているのかわからないという人は多いのではないでしょうか。住民税が控除されているのか確認するには、まず控除の仕組みを知ることが大切です。今回は、ふるさと納税の住民税控除について、仕組みや確認方法などを解説します。

ふるさと納税をすると税金が安くなる?

ふるさと納税は、自分の生まれ故郷や応援したい自治体に寄附ができる制度です。寄附金から2,000円を引いた部分は所得控除または税額控除の対象となるため、一定の手続きを行うことで所得税や住民税の控除が受けられます。ただし、税金が安くなっても、寄附した金額と同じ金額が控除されるだけなので、実際に納める金額はほぼ同じです。

ふるさと納税の魅力は、税金が控除されることより、寄附をした自治体から地元の特産品などの返礼品が受け取れることにあります。また、寄附金の使いみちを自分で選べるのも特徴の一つです。

ふるさと納税でいくら住民税控除が受けられる?

ふるさと納税で控除される住民税がいくらなのか知るには、自身の収入をもとに計算してみる必要があります。ここでは、控除額の計算方法と年間上限額の目安を解説します。

控除額の計算方法
ふるさと納税の控除額は次の計算式で算出できます。寄附金から差し引く2,000円は自己負担分です。

所得税の税率は所得によって異なります。詳しくは国税庁Webサイトにて確認してください。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

住民税では、基本分と特例分を足したものが控除額となります。特例分については計算結果によって次のように適用が変わります。

・住民税所得割額の2割以下:特例分1
・住民税所得割額の2割超:特例分2

控除額には上限がある
ふるさと納税は同じ年に何度でも行えますが、年間上限額を超えた部分は控除の対象にならないので注意してください。年間上限額は収入と家族構成によって異なります。自分の年間上限額を確認してから、寄附金額や回数を決めることをおすすめします。

年間上限額を計算するには?
年間上限額の計算は、シミュレーションツールを利用すると便利です。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では、給与所得者を対象とした家族構成別の年間上限額の目安が確認できます。年間の収入が確定していない場合は見込みで入力しましょう。ただし、上限額は住所のある自治体によっても変わってくるため、あくまでも目安として考えてください。

参考:全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安|総務省ふるさと納税ポータルサイト

住民税の控除を受けるための手続き

ふるさと納税で住民税の控除を受けるには、確定申告かワンストップ特例制度の手続きが必要です。ここからは、手続き方法について詳しく解説します。

確定申告をする
次のいずれかに当てはまる人は、確定申告での手続きが必要です。

・1月1日から12月31日までの1年間に6ヶ所以上の自治体に寄附をした
・ワンストップ特例の申請をしていない
(複数寄附をした自治体のうち1ヶ所でも申請もれがあれば対象)
・医療費や住宅ローンなどの控除申告が必要な給与所得者

また、確定申告には次にあげる書類が必要なため、あらかじめ準備してください。

・寄附金受領証明書
・ふるさと納税をした年の源泉徴収票
・還付金を受け取るための口座番号
・マイナンバーカード、または個人番号が確認できる書類(通知カードなど)+本人確認書類

手続きはふるさと納税を行った翌年に行います。確定申告の時期は2月半ばから3月半ばまでの1ヶ月間ですが、還付申告は1月1日から可能です。次の3つから自分に合う方法で行ってください。

・管轄の税務署で作成・提出
確定申告時期には税務署などに特設会場が設置されます。税務職員がサポートしてくれるので不慣れな人におすすめです。

・持参または郵送
国税庁のWebサイトにアクセスし、「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、自宅で申告書が作成できます。作成した書類を印刷し、必要書類を添えて管轄の税務署に持参または郵送する方法です。

・e-Tax(電子申請)
パソコンやスマートフォンで作成した申告書を電子データで提出する方法です。利用には事前準備が必要なため、あらかじめ確認しておきましょう。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム

ワンストップ特例制度を申し込む
ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な給与所得者が利用できる寄附金控除システムです。1年間の寄付先が 5自治体以内であれば利用できます。

「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、マイナンバーカード、本人確認書類とあわせて寄附をした自治体に送るだけで手続きが終わります。申請書は総務省のホームページやふるさと納税のポータルサイトからダウンロード可能です。また、寄附をした自治体からも入手できます。

参考:寄附金税額控除に係る申告特例申請書|総務省

申請書は寄附をするたびに提出します。同じ自治体に複数回の寄附を行った場合も、1回ごとに提出が必要です。提出期限は翌年1月10日必着となります。期限内に寄附先に確実に届くよう早めに提出してください。1件でも提出漏れがあれば、確定申告を行わなくてはなりません。なお、確定申告を行うと自動的にワンストップ特例は無効になるため、申請書を提出した自治体への連絡は不要です。

住民税が控除されているか確認するには?

指定口座に還付金が振り込まれる所得税と違い、住民税は控除されているのかが一目ではわかりません。ここでは、ふるさと納税の控除が正しく反映されているのかを確認する方法について解説します。

控除が適用されているか確認する方法
住民税の控除額は、「住民税決定通知書」に記載される「税額控除額」で確認できます。住民税決定通知書が手元に届くのは5~6月ごろです。給与所得者は勤務先から配布、そのほかの人は住所地の自治体から郵送されます。

寄附した金額が正しく控除に反映されていない場合は、手続きに不備があったか、または年間上限額を超えている可能性があります。

控除額が合っているか確認する方法
控除額の確認方法は、手続きをしたのが確定申告かワンストップ特例制度かで異なります。該当するほうで確認してみてください。

・ワンストップ特例制度
所得税からの控除は行われず、全額が住民税から控除されます。正しく控除されている場合の控除額は次のようになります。
A:税額控除額(道府県民税+市町村民税)=B:ふるさと納税額-2,000円

・確定申告
所得税と住民税とに振り分けられて控除されます。所得税の控除額は前に紹介した計算式で確認してください。正しく控除が受けられていれば次のようになります。
A:税額控除額(所得税+住民税)=B:ふるさと納税額-2,000円

なお、金額が一致しない場合は次のいずれかの可能性が考えられます。
・A>B:ふるさと納税以外にも控除対象があった
・A

出典:地方税法施行規則第 2 条で示された納税義務者用の税額通知書様式(抜粋)|総務省

まとめ

ふるさと納税をすれば、所得税や住民税の控除が受けられます。控除を受けるには確定申告かワンストップ特例制度での手続きが必要です。それぞれ適用条件や注意点が異なるため、注意しましょう。なお、実際に住民税が控除されているかは、5~6月ごろに届く住民税決定通知書で確認できます。きちんと手続きができているか心配な人は確認してみてください。