スマホケースの危険 小さなニュースにこそ目を向けて - 赤木智弘
※この記事は2019年06月16日にBLOGOSで公開されたものです
もはや誰もが持っており、生活に欠かせなくなったスマートフォン。
スマホは毎日持ち歩くものではあるが、一方で精密機器でもあり、落下時のダメージは避けたい。
そんなことから、スマホにケースを装着し、スマホを様々なダメージから守ることは、大半の人にとっては当たり前になっている。
そんな身近なスマホのケースが人間の体に害を与えることがあるようだ。
国民生活センターは、液体やラメを封入したスマホケースから液体が漏れ、化学やけどを負った消費者から相談が相次いでいるとして、注意を呼びかけている。(*1)
こうした「油の中にラメを入れて、キラキラさせるインテリア」というのは時折見かけるが、スマホケースがあるとは気が付かなかった。
確かに日頃持ち歩くものであり、かつ動かすことも多いことから、こうした動きのあるケースはキラキラして注目を浴びやすいし、可愛かったりきれいなものが好きな人たちに対する需要はあるのだろう。
しかし、スマホケースは基本的には落としたり角のあるものにぶつけたりといった衝撃をスマホ本体の身代わりに受けるために使うものである。
また、落下させないにしても、ズボンのポケットに入れて持ち歩くことで曲げる力が常にかかったり、ベッドでスマホを見ながら寝てしまった結果、起きたときには体の下にあるなど、スマホケースには日常生活の中で様々な力がかかることから、徐々にダメージが蓄積されていく。
金属やプラスチックのスマホケースであれば、ダメージを受けたとしても、曲がったり色が剥げたり変色するだけで済むが、中に液体が入っていれば、スマホケースに対するダメージにより、中身が漏れ出すことは想定の範囲内である。
国民生活センター作成のパンフレット(*2)によると、テストした銘柄に封入されている油には、皮膚への刺激性があることが確認された。また、テストした4銘柄において、皮膚への危険を表示していたのは2銘柄だけだったという。
食品ではないから人体への影響を過度に考える必要はないが、スマホケースへのダメージの蓄積による液体流出が想定できる以上、警告をしっかりと明示しないのは、いささか無責任であるように思う。
液体が漏れたら、皮膚に影響があるのはもちろんだが、スマホ自身も液体の影響を受ける。
たとえスマホケースがスマホをダメージから守っても、ダメージを受けたスマホケースから溢れた液体が、スマホにダメージを与えてしまうのでは本末転倒である。
こうしたスマホケースを使うなとは言わないが、使うのであれば、それ相応の注意を払い、普通のスマホケースよりは早めのサイクルで買い換えるなど、意図せぬ中身の流出を避けるための工夫が必要となるだろう。
特に「スマホのガラスが割れているけど使い続けている」ような人が、こうしたケースを使うのは要注意である。もし、身の回りにズボラな人がいて、こうしたスマホケースを使っている場合は、一言このニュースを教えてあげてほしい。
ニュースでは、車が子供たちに突っ込むなどの大きな事故は盛んに報じるが、こうした小さな事故や危険性はなかなか扱われない。
確率的に考えれば、私たちが生活の中で大事故に巻き込まれるよりは、こうした小さな事故に巻き込まれる可能性のほうが高い。
日常生活の中で安全で快適な生活を守るためには、小さなニュースにこそしっかりと目を向け、必要な対策を講じること。それが、自らの安全安心を守ることにつながるのである。
*1:スマホの「キラキラケース」液漏れに注意!化学やけどの被害相次ぐ(読売新聞オンライン)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190613-00010000-yom-soci
*2:液体入りスマホケースの液漏れに注意! - 化学やけどの危険も(国民生活センター)http://www.kokusen.go.jp/kiken/pdf/332dl_kiken.pdf