『闇金ウシジマくん』作者・真鍋昌平氏が高校時代に学んだ“ヤバい奴らとの付き合い方” - BLOGOS編集部

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※この記事は2019年05月31日にBLOGOSで公開されたものです

貧しい人々に対しても容赦しない登場人物たちが日本中を震撼させ、ドラマ化・映画化もされた人気漫画『闇金ウシジマくん』。今年の3月に15年にわたる連載に幕を下ろし、5月30日に最終巻となる46巻が発売された。

作者の真鍋昌平氏は「人の葛藤を描く」「自分を貫く人物を描く」というスタートから闇金をテーマに扱った同作をスタートさせたというが、連載途中から世の中で貧困問題が話題になることが増えていったと振り返る。早くも次回連載に向けて準備を進める真鍋氏に話を聞いた。【取材:島村優】

ウシジマくんは自分を貫き通す人物

--『闇金ウシジマくん』の連載が終わって、今の心境を教えてください。

あまり感慨深いような感じではなくて、最終章をやろうと思った時に色々決めていたので、やれることはやったと思っています。

--最終話の予想外の展開には反響の大きさを感じたのではないでしょうか?

「予想できた」といったネガティブな反応を含め色々な意見をもらいましたが、全部受け止めようと思っています。僕としては読んでいただいているだけでも、すごくありがたいです。

--もともと、なぜ「ウシジマくん」のような話を描きたい思ったのでしょうか?

僕は「ウシジマくん」の前に、連載が2つ打ち切りになった経験があって、足りなかった要素を考えてみると「人の葛藤を描いてない」ということでした。その時から、次の作品では「人の葛藤」をしっかりと描こうと思っていて、誰しもが必要なお金を絡めて描こうと選んだテーマが「闇金」でした。

--主人公の丑嶋馨っていうのは、どんな人物だと思いますか?

最初にキャラクターを作った時は何を考えているかわかんない人物で、不確かな世の中で「本当のこと言ってくる不思議な人」みたいなイメージだったんですけど。一言で言うなら損得感情なしに「自分がこうしないといけない」という時は絶対突き通す人物ですね。

誰しも困難があったら逃げたり、引いたりしてしまうことはあると思うんですけど、丑嶋はそういう場面でも損得抜きに自分を貫くところがあって、そういう面はすごく気に入っています。

©真鍋昌平『闇金ウシジマくん』/小学館

不良たちに抱いた「卑屈な感情」

--先生自身も昔は悪かったんですか?

僕は不良ではなく真面目で、不良からカモられる側でした。高校は平塚の工業高校で、かなり不良が多かったです。不良グループと真面目な生徒が二分割され、不良のイジメの標的になる生徒は裸で教壇に立たされて、言うのもはばかられるような行為させられる日常でした。

教師も見て見ぬふりでした。「お前スボンはけ~~」ってやられてる側に注意してました。今考えたら先生も怖かったのかもしれませんね。やられる側は地獄です。

--すごい世界ですね。真鍋先生は不良たちと、どのように接していたのでしょうか。

自分が被害を受けないように不良との距離感をうまく保っていたつもりでした。友達として接していたクラスメイトがイジメられておもちゃにされて、何もできない自分の弱さに落ち込む反面、「自分じゃなくて良かった」と卑怯な感情に引き裂かれそうになる日々でした。

やる側は忘れてしまうんです。された方は苦しみが続きます。下手したら一生乗り越えることもできず、卑屈な感情に押しつぶされます。

--なるほど…。

一人、毎日勝手に自分のお弁当を食べる不良がいたんです。梅干しの種と200円を残して。やめてほしいと何度注意しても辞めない。その時は殺意を持ちました。

実際に化学の授業で使う硫化水素の結晶を盗んで。弁当の卵焼きに入れて不良を殺そうとしたこともありました。ただ、卵焼きを分解してる時、涙が出てきたんです。朝早く起きて母親が自分のために作った弁当で、俺は何をしようとしているんだろう、と。その時、何かが吹っ切れたので、勇気を出して不良の胸ぐら掴んで「弁当を食うな!」と注意したんです。相手は余裕な風でしたが、その日から弁当は食べなくなりました。

--過酷な体験ですね。

ただ高校時代にそういう不良たちを観察していたことは、『ウシジマくん』にも生きていると思います。

アングラな世界の人たちから得た気付き

--アンダーグラウンドな人物も多く登場していますが、取材を通して怖い思いをしたことはありませんか?

特に怖いことはありませんでしたが、取材を超えて執着して連絡を取ってくる方もいて、面倒だと思うこともありました。よく言われたのは、上から紹介してもらわないとヤられる、ってこと。ただ、そういう人種の人たちは基本的には自分の話をしたい人が多い印象で、貴重な話を聞くことができました。

-一応、マンガに書くときはモデルが特定できないよう、取材した人物の要素を足したり割ったりしてキャラクターを作っています。だから『ウシジマくん』に出てくるキャラでモデルがはっきりしているのは与沢翼(※)だけですね。

※「フリーエージェントくん(30~32巻)」所収

面倒な人で言うと、何回も会って話を聞いていた相手で、同じことしか言わないから連絡を断った相手がいます。そうしたら、その後鬼電がかかってきて、それに留まらずお悔やみ電報やカニを送ってきて。

--カニを送ってくる(笑)。

挙句の果てには探偵をつけられましたが、そういう大変な相手とも今は和解して下の名前で呼び合う関係になっています。

--悪い人にも気に入られてしまうんですね。

次回作は社会性のある人物を描きたい

--15年連載を続けてきてお金に対する考え方は変わりましたか?

取材していて、今の世の中はお金がない人とある人の両極端になっていて、それぞれお金に対する価値観が全然違うなっていうのはすごく感じました。

連載を開始した頃は貧困問題ってそれほど話題になっていなかったと思いますが、途中から一般の人たちのお金がない、という問題が増えていきました。そういうのを感じ取った時に、単に借金で落ちていくだけの話じゃいけないな、と。連載途中から借金をしてもやり直せるキャラクターが出るようになったんですけど、そういうことがきっかけで変わっていったんだと思います。

©真鍋昌平『闇金ウシジマくん』/小学館

--次の作品ではどんな物語を描いていきたいですか?

社会性のある状況にいる人も描きたいなとは思っています。『ウシジマくん』は闇金の話なので、登場人物も極端に外れちゃった人が多かったんで。もうちょっと描く要素を広げてきたいな、というのはありますね。

--これから『ウシジマくん』を手に取る人には、どんな風に読んでほしいですか?

基本的に漫画は娯楽要素が高いので楽しんで頂けたら幸いです。自分も「面白いな」と思いながら取材して、鮮度の高いうちに漫画で描くことに力を注いできたつもりです。どう受け止めるかは読書次第と思っています。面白がっていただけたら最高に嬉しいです。

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サイン色紙&『闇金ウシジマくん』45巻をプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、真鍋昌平氏さんのサイン色紙&『闇金ウシジマくん』45巻セットを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法

・BLGOOS編集部のTwitterアカウント(@ld_blogos)をフォロー&以下のツイートをRTで完了。

受付期間

2019年5月31日(金)16:00~6月6日(木)15:00

当選者確定フロー

当選者発表日:6月10日(月) ・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはBLOGOS編集部から6月10日(月)中に、Twitterのダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。6月13日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

キャンペーン規約

・本キャンペーンにご参加いただくには、このキャンペーン規約(以下「本規約」といいます。)にご同意いただく必要があります。ご同意いただけない方はご参加できず、当選したとしても無効といたします。
・本キャンペーンでは、BLGOOS編集部のTwitterアカウント(@ld_blogos)(以下「本アカウント」といいます。)をフォローして、本キャンペーン実施期間中に本アカウントの該当ツイートをリツイートされている方が抽選対象となります。
本キャンペーン開始から当選連絡までにツイート削除やフォローを解除した場合は、抽選対象外となります。
・ダイレクトメッセージを受信拒否設定している場合、当選連絡をすることができないため、応募対象外となります。
・当選連絡のダイレクトメッセージ記載の締切日までに配送先の入力がない場合、当選を無効とさせていただきます。
・複数回応募されても当選確率は上がりません。
・本キャンペーン当選商品発送先は日本国内のみです。
・商品の発送は一度限りになります。お客様の諸事情により商品を送付できない場合(氏名・住所・電話番号等の記入漏れ、誤り、ご不在等によりお受取りいただけなかった場合等)、当選を無効とさせていただきます。
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