直接会っての内定辞退は「不必要」就活支援のプロに聞く最善のマナー - BLOGOS編集部
※この記事は2019年05月21日にBLOGOSで公開されたものです
「内定辞退は直接会って」記事が賛否
5月15日に日経産業新聞に掲載された「内定辞退の正しい伝え方、『直接会って、まず感謝』」という記事が話題になっている。
記事では、東京都内の私立大学で行われた「内定獲得後のマナーセミナー」という学生向けの講座を紹介。登壇者の説明を引用する形で、もし他の会社から内定を得ながら就活を継続し、本命から内定をもらった時に内定を辞退するマナーを解説している。
記事によると、そのようなケースで学生は、辞退する企業の人事担当者に連絡し「進路について相談したいので伺いたい」との旨を伝える必要があるという。
その際の注意点としては、
・メールや電話ではなく必ず企業に足を運ぶ
・担当者との面会では最初に内定への感謝を伝える
といったことが大切だと綴られている。
この記事に対しては、「後輩たちの就職活動に悪影響があっては、と心配しているんだろう」「本人に成りすました人からの内定辞退を受け入れてしまいトラブルになったからだと聞いた」などと理解を示す声が見られた。
その一方で、「直接会う必要はない」「連絡あるだけでもありがたい」「対面は不要で、双方ともこれからより関係が深まっていくところに時間を割いた方が生産的」といった反対の声も多く上がっている。
プロの見解「伝える方法よりスピード」
内定を辞退する際には、本当に直接会社に足を運ぶ必要があるのだろうか。
そんな疑問に対し、成長支援&逆求人型就活サービス「dodaキャンパス」を運営する、業界大手・株式会社ベネッセiーキャリア新卒事業本部長の大竹航氏は「面接は、企業が一方的に学生を選定するためのものではなく、学生側も企業を選ぶ活動だ」とした上で、次のように話す。
内定を辞退することそのものが、失礼にあたるわけではありません。よって必ずしも、訪問をした上で内定辞退の意向を伝える必要があるかと言うと、そんなことはないでしょう。
むしろ辞退することを決意したのなら、その手段はともかくとして、一日も早くその旨を採用担当者に伝えることが双方にとって最善であると言えます。
そして、内定辞退の意思が固まった際に重視すべきは、その意思を伝えるスピードだという。原則的には電話が良いとされるマナーがあるとしつつも、「メールかどうかよりも、その内容の方が重要です」と説明する。
単に辞退する旨を記載しただけのものなら、相手は少し残念に感じるかもしれません。
なぜ辞退をすることに至ったのか?などの心境の変化を可能な範囲で記載することで、たとえその時の縁はなかったとしても、良い関係性が継続される可能性は高いでしょう。
ただ、一度入社の意志を伝えている場合は状況が変わるという。採用人数の少ない中堅・中小企業の場合は、1名の採用枠のために他の誰かを見送っているケースもあり、時期によっては入社の準備まで完了していることもあるそうだ。
これまで数多くの学生の就職活動に携わってきた大竹氏は、就活での縁がその後のキャリアと関わってくるケースもあるとして、次のように教えてくれた。
そこまで丁寧な返事をする必要があるのか、と思う人もいるかもしれません。会社側は『お祈りメール』で不採用を伝えるではないか、という声もよく耳にします。
ただ、結果的に違う会社に入社したとしても、就活時に出会ったことが縁でやり取りが継続するという話は珍しくありません。更には、数年たってその縁をキッカケに、その会社に転職をしたという話も意外に多くあります。
結局はいずれの手段であったとしても、社会に出る直前の一人の大人として、自分を選ぼうとしてくれた企業に対して、誠意ある対応をとることが何より重要であるということに尽きます。
内定辞退の仕方 ~断り方のマナー・メールの書き方・電話での伝え方~
https://doda.jp/guide/naiteitaisyoku/jitai/