※この記事は2019年05月06日にBLOGOSで公開されたものです

学校で心停止になったケースで、AEDのパッドが貼られた割合を男女別に調べたところ、小・中学生では男女差がなかったものの、高校生は女子生徒に使われた割合が30%近く低くなることがわかった。

AED財団の専務理事で、京都大学健康科学センターの石見拓教授らの研究グループは、平成20年から27年にかけて全国の学校における心停止(232人)で、救急隊の到着前にAEDパッドが貼られたかを調査した。

AEDは心停止状態の心臓に対して電気ショックを行い、正常なリズムに戻すための医療機器。高校生で使われる割合が低くなったことについては、素肌に直接パッドを貼り付ける必要があるため、周囲の人に抵抗があったのではないかと考えられるようだ。

日本AED財団によると、突然の心停止が起こった場合、「迅速な心肺蘇生と電気ショック」が救命に必要になる。電気ショックが1分遅れることで救命率は10%ずつ低下するため、119番通報から救急車が到着するまでの間(平均8.6分)に、できる限り早くAEDを用いた電気ショックを行う必要がある。


なお、同財団ではAEDの女性への使用について、次のように呼びかけている。

AED のパッドを素肌に直接貼り付けることができていれば、ブラジャーは外す必要はありません。余裕があれば、AED のパッドを貼った後に、上から上着やタオルなどを掛けてください。重要なことは、電気ショックの時間を遅らせないことですので、そのことを忘れずに、可能な範囲で倒れている人に配慮をしてあげてください。

かねてよりAEDの女性への使用ついては、男性に抵抗感があることが取り沙汰されてきた。以前には、女性にAEDパッドを貼る際にハサミで服を切ったところ、警察に通報されたという事例も話題になった。

この点に関して横浜市も、「必ず胸をはだけなければいけない」としつつ「できるだけ人目にさらさないような配慮が望まれます」と注意を促している

AEDの知識
よくあるご質問 - 日本AED財団(PDF)