「特攻服姿の少年は補導」福岡県警が撲滅を目指す中学生の伝統 - BLOGOS編集部

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※この記事は2019年03月07日にBLOGOSで公開されたものです

特攻服を着た少年たちが、福岡の中心街に集う日がある。

昨年、博多警察署が博多駅に「3月9日(金)に特攻服を着用した少年は補導します」という内容のチラシを掲示。チラシはTwitterで1万人以上に拡散され、話題となった。

事情を知らない福岡県外のTwitter利用者からは「どういうこと?」「なんで3月9日だけ?」「いつの時代?」という驚きのリプライが寄せられた他、特攻服の着用だけで少年たち補導することに「服装の自由を制限することになるのでは?」などと疑問視する声が上がっていた。

昨年3月9日は福岡市内の中学校で卒業式が行われた日。

同県の北九州市の成人式はド派手な衣装や乱闘騒ぎで全国的に知られているが、福岡市では中学生が卒業式の夜に、特攻服や刺繍ランを着用し博多駅や天神・警固公園に集結することが”伝統”となっている。

特攻服の集団が公共の場にたむろすることで一般利用客の迷惑となっており、2015年には解散を求めたJR駅員に、少女が暴行を加え逮捕される事件も起きていた。

特攻服姿の少年たちは激減している

博多警察署が駅に警告のチラシの掲示を始めたのは一昨年の2017年から。

同年、博多駅の厳戒な警備体制を察知した卒業生の間で「みんな 天神集合で 警固公園 ※拡散希望」というツイートが広まり、特攻服の集団が警固公園に集結。警固公園だけで200名が補導される騒ぎとなったが、一方の博多駅でも30名が補導されていた。

チラシがTwitterで話題になった昨年は、チラシの他にも福岡県警がTwitterで警告を発信。 JR・地下鉄職員や周辺の商業施設、学校の教員らと協力し、特攻服を着ている少年たちの駅の出入りを禁止し、乗車拒否など対策を強化した結果、博多駅での補導者は0名。警固公園を含む天神界隈での補導者も14名と激減した。

福岡県警少年課の中村宗雄次席によると、チラシだけではなく、たくさんの対策を施した成果だという。

補導は服装の自由を制限するためではない

Photo by Dick Thomas Johnson on flicker

昨年Twitterで疑問視されていた「服装の自由を制限することになるのでは?」という指摘について中村次席は、「服装の自由を制限する為に補導をしているのではないので、特攻服の着用が容認されているアーティストのライブ会場内など、人の迷惑にならない場所での着用ならば警察は介入しない。しかし、公共の場所での特攻服の着用は、たむろしていなくても、迷惑行為がなくても、一般の通行人に威圧感や恐怖を与える為に看過できない」と見解を述べた。

また、「卒業を祝うこと自体を規制しようとしているわけではないので、地域住民に迷惑をかけない形で楽しんでほしい」と語った。

今年は大濠公園に集結か

今年、福岡市内の中学校で卒業式が行われるのは3月8日(金)。

7日の夜、博多駅の商業施設にある大型ビジョンには「博多警察署からのお知らせ」として補導の警告が映し出されていた。

BLOGOS編集部

博多・天神の警備が厳しくなってきていることから、少年達の間で「第3の場所」として大濠公園に集結する案が浮上しているという。

しかし福岡県警は既に情報を把握しており、他の機関と協力して博多・天神・大濠公園方面に計310名を警備として配置する予定だ。

集結場所を変え、引き継がれてきた少年達の伝統が終わりを迎える日は近いのかもしれない。

【BLOGOS福岡編集部】