主演男優賞を受賞した古田新太

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 第31回日本映画批評家大賞の授賞式が30日に東京国際フォーラムで行われ、映画『空白』で主演男優賞を受賞した古田新太が出席。劇中で松坂桃李を苦しめる役とあって、「桃李が一回も飲みに行ってくれなかった」と冗談めかし、会場を沸かせた。

 古田にとって約7年ぶり、3作目の映画主演となる『空白』は、映画『新聞記者』の河村光庸プロデューサーが企画し、映画『ヒメアノ〜ル』『犬猿』の吉田恵輔監督がメガホンをとったサスペンス。スーパーで店長(松坂)に万引きの疑いをかけられ、追いかけられた末に車に轢かれて死亡した中学生(伊東蒼)の事件の顛末を追う。古田は、事件の真相を追求すべく事故の関係者たちを追い詰める少女の父親を演じた。

 トロフィーを受け取った古田は、「わたしのようなアングラ出身のチンピラ俳優がこんなところに呼ばれて非常に緊張しています。場違いじゃないかなと」と緊張の面持ち。撮影中に「吉田監督と二人でお酒を飲みながら『褒められたいよね』と言ってました」といい、「監督、褒められたよ!」と呼びかけて会場を沸かせた。

 古田は、愛する娘を奪った事故の真相を追い求めるあまり、モンスターと化していく父親の狂気を圧倒的な芝居で演じきった。そんな父親像の演技プランを尋ねられた古田は「監督に言われた通りにやりました。イエスマンなんで、『そこは違います。そういう人じゃないと思います』なんて一回も言ったことはありません」と冗談めかし、会場は大笑い。

 さらに「毎晩のように飲みに行っていたんですけども、(松坂)桃李が一回も飲みに行ってくれなかったんですよ。本気で嫌われたのかな。(役づくりをちゃんとしていて)ちゃんとしているんです、あいつは」と付け加え、さらに会場を盛り上げた。

 あらためて今回の受賞について「普段は褒められませんね、怒られることはあっても」と語るなど、軽妙な語り口の中にも喜びがにじみ出た様子の古田だった。(取材・文:壬生智裕)