体力の低下で片づけが大変になったり、老後のお金の心配が尽きなかったりと、なにかと不安が多い50代。「50歳で、使っていないものや大事でないことはどんどん手放したら、とても身軽に前向きに暮らすことができるようになりました」と話すのは、現在60代、カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さん。今回は、そんな筆子さんにミニマルな暮らしがおすすめな人の特徴と、そのメリットを教えてもらいました。

50代、こんな悩みがある人にはミニマルライフがおすすめ

私は若い頃からシンプルな暮らしが好きでしたが、50歳になる年の正月に、ミニマリストになろうと決め、使っていないものや大事でないことはどんどん手放しました。

その結果、とても身軽になり、63歳になった今、このライフスタイルにしておいてよかったと思っています。もし、あなたが以下の状況にいるなら、最小限のもので最大限に生きるミニマルライフを試してはどうでしょうか?

 

●1.貯金があまりなくて老後が不安

50歳の誕生日、私はほとんど貯金がありませんでした。老後の蓄えはもちろんのこと、さしあたって必要になりそうな歯の治療代や、当時11歳だった娘の、将来の大学の授業料もなかったのです。

べつに、お金をつくるためにミニマリストになったわけではありませんが、ミニマルな暮らしにしたらお金が残るようになりました。これはだれでもそうです。無駄なものを削ぎ落としてみると、買わなくていいものや使わなくていいサービスに気づくからです。

今、自宅や実家の片づけに悩んでいる人がたくさんいますが、そんな状況になってしまうのは、無駄なものを買っているから。ミニマリストは、無駄なものや自分に関係ないものにはお金を投じないので、その分のお金を貯金に回すことができます。

 

●2.ものを探すことや、どかすことに疲れている

ものが少ないと、なにかを使いたいと思ったときに、すぐにそれを取り出せます。自分がなにを持っているか、それがどこにあるか、覚えていられますから。

つまり、探しものをしなくていいのです。

ものがいっぱいあると、置き場所がわからないので探します。「この引き出しの中にある」とわかっていても、引き出しをあけると、ものでいっぱいでぐしゃぐしゃだから、ガラガラとかき回して探さなければなりません。

お鍋のようにかさばるものの場合、ほかのものを横によけて、探したり、取り出したりする必要があります。

探すことも、どかすことも、ほんの数十秒から数分で終わり、そのストレスもささいなものかもしれません。ですが、毎日なにかが必要になるたびに、こんなことをしていると、イライラがつのるし、時間のロスも馬鹿になりませんよね。

大量のものを持つ生活をしていると、「探したり、どかしたりするのは、当たり前のことで、やるしかないことだ」と思いがちですが、ものが少なければしなくてもいいことなのです。

●3.目の前の仕事に追われている

毎日スケジュールがびっしりで、やらなければいけないことや、締切が迫っている仕事をしようとジタバタしているうちに、1日、1か月、1年が終わる。こんな生活をしている人にもミニマルライフをおすすめします。

ミニマルな暮らしは時間の余裕を生み出します。ものが少ないと管理する手間が省けるので、掃除を含めた家事全般の時間を短縮できます。ショッピングの時間も減ります。余計なものを買うことに時間を費やさなくなるし、買いたいものも明確になるからです。

2番に書いたように、探しものや、どかしものをする時間も不用なので、今、したいタスクにさっと取りかかれます。自分が大事にしたい活動がわかるので、やりたくもない、人のためだけにやっている仕事をする時間も減りますよ。

 

●4.むなしい

50歳あたりは、子育てが終わったことで、自分にはなんの役割もないと感じてしまい、心にぽっかり穴があく時期です。ようやく子育てが終わったと思ったら、すぐに親の介護に突入して、なんのための人生なんだろう、と思う人もいるでしょう。

仕事に専心してきた人も、早期退職や定年前の不安を感じます。健康診断の数字が悪くなるのも、若い頃にはなかったことです。

このように50代になると、不安が高まり、「これからどう生きるか?」という問題に直面します。

そんなとき、生活をミニマルにしておくと、自分が大事にしたいことや、本当にやりたいことがわかるので、延々と悩まなくてすみます。ミニマリストは、物理的なもの、タスク、思考、人間関係を含めて、余計なものをもたないので、頭の中の混乱も少ないし、混乱しても、すぐに立ち直れます。

 

ミニマルな暮らしというと、ものをたくさん捨てて、がらーんとした部屋で暮らしている様子を思い浮かべる人が多いのですが、これは、ミニマルライフの一面にすぎません。

ミニマルライフの醍醐味は、その考え方にあります。どうでもいいことにこだわるのはやめて、大事なことだけにエネルギーを注ぐのです。