暗くてコンパクトなマンションを、広々とした間取りにリノベーションした好事例を紹介します。南側にあるベランダに面した2つの部屋をLDKにして、キッチンも壁づけにしたことで、47�屬箸六廚┐覆す�がりができました。建具を極力なくしたことで玄関からも寝室からも、LDKまで視線が抜け、お気に入りの家具が映える、気持ちいい住まいです。

シンプルかつムダのない間取りで、自分らしく暮らす

●この家のプロフィール

・Aさんの家　東京都
・家族構成：Aさん30代　Bさん30代
・築年数：43年（1979年築）　専有面積：47.00��
・工事費：950万円（税・設計料込み）
・設計・施工：スタイル工房

立地や日当たりのよさが気に入り、築41年の中古マンションを購入したAさん。ミッドセンチュリーや北欧モダンテイストのお気に入りの家具が映える住まいを望んでいました。

そこでリノベーションでは、日当たりのいい南側をメインの生活空間にするために、北側にあったキッチンを南側に移動することに。日差しがたっぷりと入る明るいLDKに生まれ変わりました。さらに、47�屬箸いΩ造蕕譴振�間で、LDKの広さをできるだけ確保するために、キッチンを壁づけに。

キッチンは家具のようなイメージに。繊細なボーダータイルは、LDKのアクセントウォールのような役割を果しています。

寝室は先にベッドのサイズを決めて、動線が確保できる最小限の広さとしました。ウォークインクローゼットやパントリーなどの収納を充実させ、すっきりと暮らすための工夫も。

間取りだけでなく視覚的な広がりも意識したというAさん。既存の天井を撤去して空間全体に開放感を出し、寝室の建具を省略するなどして、できるだけ圧迫感が出ないように。内装の素材やカラーは、手持ちの家具に合わせてセレクトしました。壁はシンプルな白いクロス、床材は赤みのあるマホガニーの無垢材を採用。天井は躯体コンクリートを現しにしたことで、アンティークの家具がなじむ、すっきりとした空間になりました。

建具のパーツや照明に至るまで、細部までこだわり抜き、自分たちらしい個性が光る空間が完成しました。

Aさん宅のコンパクト克服のリノベポイント

1.建具を設けず圧迫感を軽減。室内窓でLDKまで視線が抜ける

LDKと寝室の間仕切り壁に室内窓を設置。リビングからの光が取り込めるようにしました。できるだけ圧迫感が出ないようにするため、寝室の建具はなしに。

 

寝室の中にあるウォークインクローゼットの入り口も、建具をつけずオープンに。

 

2.洗面を廊下に配置。下に収納をつくらず、広く感じられるように

洗面は、玄関を入ってすぐの位置に。洗面ボウルの下には収納をつくらず、潔くオープンにしました。生活感が出にくく床が見えることで、広く感じられる効果も。帰宅後の動線上にあるので、すぐに手洗いやうがいができるというメリットも。

 

3.壁面を利用して収納スペースを増やす

ユーティリティスペースの壁面を利用して、浴室の隣にニッチを設けた。棚板の高さが変えられる可動棚を取りつけて、タオルなどを収納しています。限られた空間を有効に使うことで、整理もしやすくなりました。

 

4.ワイドスパンのキッチンは収納も充実

西側の壁全面を使ったワイドスパンのキッチンは、収納量もたっぷり。食器のほか、キッチンで使うさまざまなものが収まります。収納家具を置く必要がないので、LDKがすっきり。シンプルなデザインで、インテリアにもマッチしています。

パントリー、大容量の靴収納…。すっきり暮らす工夫が各所に

お気に入りのアンティークのソファをゆったりと配置したリビング。テレビボードを置かなくてすむよう、テレビを壁かけに。配線を隠すためにふかした壁がほどよい陰影をつくり、洗練された雰囲気を演出しています。

 

キッチンの一角に壁を立ててパントリーに。冷蔵庫もパントリー内に配置した。食材などの管理がしやすく、リビングダイニングからの見た目もすっきり！

 

リビングから寝室を見た様子。大型の室内窓を通して視線が抜けるので、空間がより広く感じられます。既存の天井を撤去したことで30�儖幣綛發�なり、より開放感が生まれました。

 

玄関を既存のキッチンがあった方向に広げて、スペースにゆとりを持たせました。上がり框（かまち）を斜めにしたことで、より広々と感じられるように。壁面には圧迫感のないオープン棚を造作。大容量の靴収納を実現しました。

 

トイレは省スペースも兼ねてタンクレストイレに変更し、内装を一新。黒のタイルが空間全体を引き締めています。ペーパーホルダーなどの小物類は、Aさんがデザインや素材にこだわって選んだそう。

 

廊下に設置した洗面は、洗面ボウルだけのシンプルなつくり。生活感が出やすいものはすべてミラーキャビネットに収納。壁はキッチンと同じタイルで仕上げました。すっきりとしたデザインのタオルハンガーは施主支給品。

 

既存の天井を撤去したことで開放的になったダイニング。「解体してみたら意外にきれいに残っていたので、そのままにしてもらいました」とAさん。ヴィンテージのダイニングテーブルの魅力をいっそう引き立てています。

 

スチールフレームの室内窓に雰囲気を合わせた寝室の照明。ミッドセンチュリーなどのヴィンテージ家具が好きというAさんは、それぞれのスペースの雰囲気を考慮しながら、照明も一つひとつこだわって選んだそう。

 

室内ドアはガラス面が大きく、木の素材感が感じられるものを選択。デザインガラスがさりげなく目隠しの役割も兼ねています。既製品の建具ですが、パーツを自分たちで選んだものに変更して、オリジナリティを出しました。

 

間取り（リノベーション前後）

リノベーション前

 

リノベーション後

和室を取り込み、北側の玄関近くにあったキッチンを南側へ移動。キッチンがあった場所をウォークインクーロゼットにして、隣接する形で寝室を設けた。洗面を廊下に出して省スペース化を図りました

 

DATA

建物規模：地上9階建ての5階

素材

玄関
床：タイル　壁、天井：クロス

LD、廊下
床：マホガニー無垢フローリング　壁、天井：クロス

キッチン
床：マホガニー無垢フローリング　壁：クロス、タイル　天井：躯体現し

寝室
床：マホガニー無垢フローリング　壁：クロス　天井：躯体現し

洗面室
床：マホガニー無垢フローリング　壁：クロス、一部タイル　天井：クロス

トイレ、WIC
床：フロアタイル　壁、天井：クロス

設備

キッチン：IKEA

サニタリー
トイレ、ユニットバス、洗面ボウル：TOTO

設計・施工：スタイル工房