写真=(C)2021 Universal Pictures

 ジェニファー・ロペスが主人公キャット役を演じる映画『マリー・ミー』(公開中)は、世界的歌姫と平凡な教師の恋を、ポップな音楽とダンスで彩り、「いいね!」や「フォロワー数」が価値を決める世界で“リアルなもの”を探し求める男女を描いた、王道のロマンティック・ラブストーリーだ。

 キャットの新たな恋のお相手となる平凡な数学教師チャーリー役に、『ワンダー 君は太陽』(2017)等のオーウェン・ウィルソン。キャットのフィアンセでグラミー歌手、バスティアン役にはコロンビア出身のレゲトン歌手のマルーマ。デビューアルバム『マジア』がコロンビアでゴールドディスク認定されるなどラテンミュージック界で、最も人気のあるシンガーが、本作で映画デビューをしたことも話題となっている。

 監督は『ウソはホントの恋のはじまり』のカット・コイロ、ボビー・クロスビーのグラフィックノベル「Marry Me」を原作としている。

 『ノッティングヒルの恋人』、『ラブ・アクチュアリー』といったロマコメの名作を生んだスタジオが手掛けた王道のロマンティック・ラブストーリーはもちろん、歌手として第一線で活躍するジェニファー・ロペスやマルーマが、そのまま世界のポップスター役として参加していることからも極上のクオリティが保証された歌唱シーンにも注目を集めている本作。そんなキャスト陣が身にまとうゴージャスな衣装の数々も必見だ。

 本作では、ポップスターが身につける刺激的なファッションの数々を世間の目に触れるステージ衣装から、セレブリティの日常生活を覗くような部屋着まで、隅々までこだわりながら制作されている。

 そんななかでも特に注目なのは、ローズゴールドを基調にメタリックがたくさんあしらわれた、トップスターであるジェニファーの魅力に負けない大きな存在感と輝きを放つウェディングドレス。

 M.ナイト・シャマラン監督の『オールド』(21)やNetflixの「ボクらを見る目」に続き、本作で衣装デザインを担当したキャロライン・ダンカンが「大らかで、ロマンティックで、しかもクチュールのような、誰も見たことがないようなドレスを探したかったの」と並々ならぬ熱意を明かす本衣装は、「ベールは巨大で、ドレスは8層のホースヘアーと5層のチュールから成っていて、重さは約95ポンド(※約43キロ)。5人がかりで運ぶの」とその重さと布の量からもわかるようにスケール感も見た目もインパクト抜群だ。

 監督のカット・コイロが「テイクが終わるたびに、次のテイクのためにジェニファーを車の中でリセットするのに5分ほど必要だった。生地が多すぎたわね(笑)」と苦労こぼしてしまうほどデザインチームのこだわりと熱意が詰まったものになっている。

 そんなウェディングドレスが劇中で着用されるのは、映画の冒頭、キャットがバスティアンとの結婚を発表するライブでのワンシーン。バスティアンの浮気が発覚し、婚約を破棄したキャットはどん底に落ちながらも、新たに婚約者として指名した平凡な数学教師のチャーリーとともに車に乗って会場をあとにするが、ダンカンは「この完璧なドレスと高揚感、それに反して、そのドレスを着てバラバラになって見知らぬ人と結婚してしまうという結末の間に大きなコントラストを持たせたかった」と、本衣装がスクリーンを彩るだけでなく、物語に深みを持たせるものであることにも言及している。

 最高のウェディングドレスで最高の瞬間を迎えたはずのキャットが、婚約者に裏切られ何を選択するのか――? その選択から始まる前代未聞のギャップ婚と王道のロマコメの展開、そして眩しいほどにスクリーンに散りばめられたこだわりの衣装の数々にも注目だ。