なぜ首都高PAに「妖怪ラーメン」出現? 90秒で「熱々ラーメン」提供の自販機 「1杯790円の味」はいかに
噂の本格自販機ラーメンは「シリコンバレー 発」
2021年11月15日、東京の渋谷に体験型店舗「b8ta Tokyo - Shibuya」がオープンし、そこにラーメン自販機が試験的に設置されました。
そして今回、そのラーメン自販機の本格設置が進んでいます。
2022年3月30日には、羽田空港に続く国内2例目として高速11号台場線上りの芝浦パーキングエリアに設置されました。
首都高の通行料金が改定された同年4月1日未明、ウワサのラーメンを食べるため芝浦PAに足を運びました。
ラーメン自販機が設置されているのは、芝浦PAの自販機エリアです。椅子やテーブルも置かれたスペースで、飲料やパン、アイスクリーム、日用品などの自販機がずらりと並ぶその奥に「芝浦無人食堂」の赤い暖簾が掛けられており、すぐに目につく場所にあります。
【画像】1杯790円の妖怪ラーメンがこちら! いますぐ食べたくなる写真を見る!(16枚)
自販機には「YO-KAI express」の文字が。YO-KAIは「妖怪」の意味で、「どこでもいつでも人を楽しませたい」という思いが込められているとのことです。米シリコンバレー出身のスタートアップ企業であるYo-Kai Express社(CEO:Andy Lin)が展開しています。
早速、自販機でラーメンを買ってみることにしました。味は東京Shoyu(醤油)・札幌Spicy Miso(味噌)・鶏Yuzu Shio(塩)・九州Tonkotsu(とんこつ)の4種類で、値段は一律で790円。
「鶏」だけ地名ではないのが少し気になります。英文表記や直訳系の日本語も表示され、何ともユニークで斬新です。
この日は、塩ととんこつが売り切れだったので(『在庫不足!』との表示)、息子が醤油、私が味噌にしてみました。
なお支払いは、キャッシュレス(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)のみとなり、現金は対応していません。
VISAカードで決済して調理スタート。90秒たったところで扉が開き、アツアツの味噌ラーメンが登場しました。
そして感動したのは、持ち運び用の袋が設置してあったことです。不織布で作られたロゴ入りの袋(というか、1枚の布状になっています)にラーメンをセットして、簡単に持ち運べます。
ここで注意しなくてはいけないのが、お箸とレンゲを取るタイミングです。ラーメンが完成して取り出し口が開くと同時に、その下にある扉が開いてそこにお箸とレンゲが現れます。この時に取ります。扉は自動で開いて自動で閉まるので、気づかない人もいるのでしょう。自販機の横に割りばしが置いてありました。
出来上がったラーメンは猛烈に熱くて、テーブルに置いて、丼のシール(フタ部分)をはがすのも苦労しました。なお、シール部分には剥がしやすいよう、真ん中に穴が開けてあります。
ラーメンの味はなかなかおいしく、麺のモチモチ感がよく出ています。コーンもシャキシャキしていておいしかったです。
麺の量はやや少なめですが、「生ラーメンを食べた」という満足感は得られます。なおこれらのラーメン本体は、日本国内で製造されているとのことでした。
「790円という値段に見合ったものか?」と考えると、やや微妙かもしれません。
相模原のレトロ自販機にもラーメンはありますが、こちらは1杯350円。冷凍ではなく、昔からある生のうどん・そばの自販機と同じで、生ラーメンとスープを自動で調理する仕組みです。
これと比べると790円は少々高めという印象ですが、実はこの値段設定は「アメリカ感覚」のようでした。
「アメリカでは日本式ラーメンの値段は一般的に1杯15ドル前後です。チップなど入れると20ドル近くなるため、この価格設定にしてみました。ですが、お客さまの声を伺って価格の見直しも考えています」(Yo-Kai Express)
実はゴミ箱もスゴイ 日本初、食べ残しを冷蔵保存できる
どのような経緯で、芝浦PAにラーメン自販機を導入したのでしょうか。首都高の広報課に聞きました。
「芝浦PAをはじめ、自販機だけのPAでパンやおにぎりなどの食品は提供していましたが、いずれも冷蔵品が中心で、温かい食事を提供する自販機はありませんでした。
利用者の皆さまからの要望もいただいて、深夜帯でも温かい食事を提供できる自販機がないかと情報収集をしていたところ、渋谷の体験型店舗『b8ta Tokyo - Shibuya』でYo-Kai Expressの自販機を見つけました」
ユニークで斬新でおもしろいラーメン自販機ですが、実はこの機械と同じくらいスゴイ機械が横に並んでいます。
食べ残しの麺やスープを捨てるゴミ箱なのですが、食べ残しを衛生的に処理できる「オリジナル冷蔵型ごみ箱」として、首都高速道路サービス株式会社と株式会社中西製作所が独自に開発したものだそうです。
「冷蔵型ごみ箱はYo-Kai Expressの設置に合わせて、業務用厨房機器の販売・製造をおこなう中西製作所と首都高速道路サービスが共同で開発しました。
庫内の温度を-5度から10度に抑えられるため害虫やにおいを抑えることが可能です。完全に凍らせるためには多大なエネルギーが必要ですが『においを抑える温度帯』なので節電にもつながります」(前出の広報課)
首都高では、芝浦での状況を見てほかのPAへの設置も考えていきたいとのことでした。
芝浦PAは夜間閉鎖になることも多いので閉鎖状況などを確認してお出かけになることをお勧めします。
なお、4月6日17時から12日17時までの期間限定で東京駅地下イベントスペース「スクエア ゼロ」にも設置される予定です。(東京駅では午前4時40分から深夜0時の予定)