この記事をまとめると

■スーパーカー、ハイパーカーと呼ばれるクルマがある

■数億円レベルの値札がついていることも珍しくない

■なぜスーパーカーはここまで車両価格が高くなるのかについて解説する

数億円レベルの超高級モデルが増えている

 いまや、1億円の値札がついていてもあまり驚かない。そんな一般ユーザーが少なくないのではないだろうか。むろん、スーパーカー、またはハイパーカーと呼ばれるような超高級車を気軽に購入できる人は限定的だ。

 しかし、ネットニュースなどで、数億円レベルの新車発表を見る機会もちょくちょくある。そうなってくると、一般ユーザーとしては自身で購入する可能性は低いとしても、超高額価格に対する違和感が薄れてきているといえるのではないだろうか。それにしても、過去10年ほどで数億円レベルの超高級モデルが一気に増えてきたように思える。なぜなのか?

 まずは、新車のコストと価格の関係について基本的なところから見ていく。商売の原則で考えると、自動車には製造に至るまでに、企画から研究開発に関するコストがかかる。ここには人件費として社員の給与をどう組み込むかは企業よって考え方が違うと思う。次に、外部のサプライヤーから部品等を購入する購買コスト、そしてエンジン工場や最終組立工場での製造コスト、さらに工場から新車販売店までの流通コストもかかる。

 こうしたさまざまなコストが、自動車の原価ということになる。具体的に原価が新車価格に対してどの程度の割合なのかは、一般的には公開されていない。

ブランドイメージなどの付加価値が大きい

 メーカーによって製造されたクルマは、新車販売店に対して卸売りされる。新車販売店は、日本国内ではスバルやマツダなどが、本社の直接資本が入っている、いわゆる直営が多く、またトヨタの場合は東京都心部を販売エリアとするトヨタモビリティ東京を除いてすべて地場の独立系販売店という事業形態を取っている。海外の場合、直営店の体系をとっているメーカーは少ないのが実状だ。

 いずれにしても、新車販売店はメーカーから仕入れた新車を、メーカーからの卸売り価格に対してマークアップ(利益分の上済み)して一般ユーザーに対して小売りする。

 こうした新車製造から販売までの基本的な流れは、数億円レベルの超高級車も100万円台の軽自動車でも基本的に同じだ。

 こうしたなかで、なぜ数億円レベルの新車が存在するのか? その理由は、「そこの市場があるから」にほかならない。つまり、需要と供給という商売の原則によって、買いたい人がいるので、作って、そして売るのだ。ようするに、数億円レベルの新車市場を、メーカーやメディアなどが創出することが最初の一歩となる。

 これは、軽自動車でもミニバンでも同じことだ。市場があることで、市場でのベンチマーク(基準)となるような価格帯が構築され、それに向けてメーカーがクルマを企画する。この大原則に、数億円レベルの新車も当てはまるといえる。

 むろん、数億円レベルの新車の製造台数は少ない場合が多く、企画、研究開発、製造でのコストが新車価格に対してかなり割高に影響するのは当然だ。だが、それ以上に、数億円レベルの新車にはブランドイメージに代表される付加価値が大きい。私だけの究極の1台を求めて、世界の超富裕層が超高級なクルマを求めているのだ。