食費の節約に「家庭菜園」はアリ? 低コストでできる家庭菜園の方法
家庭菜園で野菜を作って、食費を節約したい―。気温や天候に大きく左右される野菜の価格を見ると、このような考えが浮かぶときもありますよね。実際のところ、家庭菜園で食費の節約は可能なのでしょうか。
本記事では、家庭菜園の種類や費用について解説。低コストでできる家庭菜園の方法や、初心者におすすめの品種も紹介します。
食費を節約できる? 家庭菜園のメリット
家庭菜園で野菜を育てることで、食費の節約は可能なのでしょうか。
食費の節約は難しい
家庭菜園は必ずしも食費の節約につながるわけではない、ということは知っておくべき点です。初期費用や野菜の種や苗、農業用具や肥料など、家庭菜園にはそれなりにコストがかかります。これらのコストをふまえて、家庭菜園で野菜の収穫までにかかる費用と市販されている野菜の売値を比べると、家庭菜園が「手軽でとってもお得」とは言いづらいでしょう。
また、食べる野菜を家庭菜園でまかないたいなら、規模や作付けのスケジュールを通年で立てなければなりません。同じ場所での栽培を続けると収穫量が落ちる「連作障害」の対策も必要です。
さらに、家庭菜園の維持にかかる労力も無視できません。植物たちの日々の世話や病気の予防、害虫駆除など、収穫までに手間も時間もかかるのが家庭菜園です。
自分で作物を育てる喜び
家庭菜園の大きなメリットは、自分で作物を育て収穫する喜びが味わえる点にあります。土を耕し、種や苗から手間と時間をかけて野菜を育てる充実感は、ほかでは得がたい経験です。時には害虫被害に悩まされたり、土作りに失敗したりと上手くいかないこともありますが、試行錯誤して解決し無事収穫できた野菜への愛着はひとしおでしょう。
また、お子さんがいる家庭なら、野菜がどのように育てられて食卓に並ぶのか教えることもできます。家庭菜園は子どもの食育にも役立つのです。
家庭菜園にかかる費用
家庭菜園にかかるコストは、具体的にはどれくらいになるのでしょうか。
水耕栽培の場合
水耕栽培とは、土に植えずに育てる栽培方法です。肥料を含んだ水を使用し、土の代わりにスポンジやハイドロボールに根を張らせて育てます。土が原因で発生する害虫がわきにくく、室内でも手軽に栽培できるのもメリットです。
水耕栽培に初めて挑戦するなら、容器や種が一度にそろうキットの購入がおすすめ。簡単なものは数千円から、本格的な栽培キットになると数万円と価格帯が広いのも特徴です。
自宅で土耕栽培をする場合
自宅の庭やベランダを利用して土耕栽培を始める場合は、プランターや野菜の種、土、肥料などが必要です。野菜の種類や数にもよりますが、数千円~数万円程度かかります。また、スコップやシャベル、枝切り鋏、ジョウロなどの農業道具も揃えておきましょう。
これらのアイテムはホームセンターや園芸店などで購入可能です。100円ショップでも手に入るので、コストをおさえたい場合はチェックしてみてください。
農園を借りる場合
自宅に栽培スペースがない場合や、より栽培の規模を大きくしたい場合には農園が借りられます。
こうした貸し農園(シェア畑)は、市区町村が運営している市民農園と民営の農園2タイプ。おおよその価格は、市民農園が15~20平方メートルあたり年額1万円前後、民営は8~10平方メートルあたり月額5,000円~10,000円程度です。
市民農園と民営で価格に大きな開きがありますが、民営の貸し農園は農具が借りられたりプロのアドバイスが受けられたりと、サービスが充実しています。
家庭菜園で節約するポイント
ここからは、家庭菜園にかかる費用を節約するためのポイントを解説します。
購入した野菜の再生栽培を行う
まずおすすめなのが、購入した野菜の一部を再利用した再生栽培。たとえばペットボトルの空き容器に水を入れて、豆苗やニンジン、大根のヘタを水耕栽培すれば、コストは0円です。
キャベツの芯は一部を水にひたしておき、花芽が伸びてある程度育ったらプランターへ。小松菜や青梗菜(チンゲンサイ)は、根元を水にひたしたり土に植えたりしておきます。
生ゴミや落ち葉で堆肥を自作
生ゴミや落ち葉で堆肥を自作するのもおすすめ。堆肥代を節約できるだけでなく、家庭ごみを減らせて一石二鳥です。
自作堆肥に挑戦するときは、コンポストと呼ばれる専用容器を使うのがおすすめです。生ごみを自動で堆肥に変えてくれるものもあります。
設備にコストをかけたくないなら、プラスチックケースと土、新聞紙、堆肥用のミミズなどを利用して作る方法もあります。悪臭やゴキブリに注意しつつ管理しましょう。
初心者におすすめの品種5選
ここからは、家庭菜園初心者でも楽しめる、コストパフォーマンスにすぐれた品種5種を紹介します。
プチトマト
家庭菜園ではおなじみのプチトマト。ベランダのプランターでも育てることができ、手軽に収穫することができるおすすめの野菜です。
プチトマトの苗は5~6月に植え付け、7月~8月末ごろまで収穫できます。栽培中は枝葉が密になりすぎないよう、適度に選定して風通しの良い状態を保ちましょう。
ナス
どんな調理法でも美味しく食べられる万能野菜として知られるナスもまた、家庭菜園では人気です。ナスの苗の植え付けは5月くらい、収穫は6月中旬くらいから。水はたっぷりと与えましょう。
おいしいナスを育てるためには、花の横から生える「わき芽」を取ることや、一番先にできたナスを摘み取る「摘果」も重要です。
リーフレタス
続いてはリーフレタス。リーフレタスは初心者にも育てやすく、手軽に自宅で家庭菜園を楽しめる品種。βカロテンや葉酸、カルシウムなどの栄養が豊富なのも特徴です。リーフレタスの旬は夏と冬。苗の植え付け時期は4~5月または9~10月頃で、植えてから約1ヶ月後が食べ頃です。
栽培の際はアブラムシやナメクジといった害虫の対策をしっかりと行いましょう。
ラディッシュ
別名の「二十日大根」としても知られるラディッシュ。鮮やかな赤色のラディッシュは、種まきから1ヶ月強で収穫できる手軽さから、初心者にもおすすめの野菜です。種まきの時期は、春夏栽培では4~5月、秋冬栽培では9~10月頃。栽培中はコナガやアオムシなどの食害に気を付けましょう。
また、同じ場所で栽培し続けることで「連作障害」を起こしやすい品種でもあるので注意が必要です。
ハーブ類
ハーブ類も家庭菜園向きの作物です。人気なのはミントやバジル、ローズマリー、ラベンダーなど。ハーブは料理に香りや風味を加えるための香辛料としてはもちろん、ハーブティーとしても楽しめます。
さらに、乾燥させてポプリにしたり水に入れてフレーバーウォーターにしたり、お風呂に入れて香りを楽しめるバスブーケを作れたりとさまざまな使い道があります。虫よけの効果もあるので、花や野菜と一緒に寄せ植えするのもおすすめです。
まとめ
本記事では、家庭菜園にかかるコストや栽培できる品種を解説しました。
食費の節約方法としては決して手軽とはいえないものの、自らの手で育て収穫する喜びは唯一無二。日々の生活に充実感を与えてくれる家庭菜園に、この機会にぜひ挑戦してみてください。