諸見里しのぶが地元大会で元気な姿を見せる(撮影:福田文平)

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<ダイキンオーキッドレディス 事前情報◇2日◇琉球GC(沖縄県)◇6590ヤード・パー72>
ツアーの第一線から退いても、アスリートとしての本能が消えることはない。大会を主催するダイキン工業所属で、沖縄県出身の諸見里しのぶの話は、そんなことを感じさせる。アマチュア時代も含め、これが21度目の出場となる特別な大会。その開幕を翌日に控え、「今年はすごくいい状態。この状況をコースで思い切り発揮して、まずは予選通過をしっかりとしていきたいです」と自信もうかがわせる。
メジャー3勝を含む通算9勝を誇りながら、ツアー生活に一区切りをつけることを決断したのが2019年のこと。現在はコースセッティングやテレビ解説などでトーナメントに携わる日々を送っている。だがスポット参戦するこのホステス&地元大会は、元気な姿をファンに披露する舞台でもある。
コロナ禍の影響もあり試合自体がひさびさだった昨年大会は、予選落ち。だが今年は手ごたえが違う。「自分のスイングについて、すごく分かるようになってきたことと、アプローチ、ショット、パットが『これなら上手くいく』というものをつかみかけている。それはすごく大きいですね」。この気づきは、クラブを置いたことによってもたらされたもの。
よく『コースを離れて勉強する』という表現があるが、まさにそれを諸見里も実感している。「コースセッティングをやって、朝と夕方でグリーンの見え方が違うことに気づきました。朝は見えなかった傾斜が夕方になるとすごく見えたり。選手のときよりも傾斜がすごく見えるようになりました」。また解説の仕事では、上位で戦う選手たちのスイングを多く見ることで、その知識を自らにフィードバックすることができているという。35歳になったが、「この1年ですごく成長できた」ことを感じている。
ゴルフへの好奇心が尽きることはない。「マネをすることが増えましたね。(東京五輪で)金メダルを獲ったネリー・コルダのスイングを試したり。フェードを打つのが苦手でしたが、稲見さんのフォローをマネしています」。それぞれの選手の強みを“インストール”し、それをコースで実践する機会が増えたという。
手にはテーラーメイド製の新ドライバー『ステルス プラス』が握られる。より性能の高いクラブを求める姿勢も、現役時代と変わりはない。この冬は3カ月間みっちりとゴルフに時間を費やしてきた。それでも「改めてプロゴルファーが1年間戦う力をつけるのは大変と感じた。QTをもう一回(受ける)とかは考えてないですね」と“現役復帰”については否定する。あくまでも、この1試合のために時間と労力を費やしてきたことになる。「今できることを全部出し切っていきたい」。“成長”した諸見里が、22年のツアー開幕戦盛り上げに一役買う。
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