2022年の干支「寅」にちなんだ、ある水族館の展示が、ツイッターで注目を集めている。

こちらはツイッターユーザーのわさび(@DCA01_3081)さんが、2022年1月23日に投稿した写真。映っているのは、高知県高知市にある桂浜水族館の「トラフグ」の展示の様子だ。

しかし、水槽の中にはトラフグだけでなく......なぜか土鍋と日本酒の瓶も一緒に入っている。

お鍋、日本酒、そしてフグ。この組み合わせ、なんだかとても「食べる気」満々な雰囲気を感じる。「え、ボク食べられちゃうの?」と言いたげなフグの表情もいい味を出している(鍋だけに)。

気の毒だがちょっと美味しそうに見えるトラフグに、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。

「まな板の上の鯉ならぬ...」
「自分の運命を悟ったかのような右のフグの表情」
「水槽の底に、鍋は元より酒瓶のようなもの(日本酒だろうか?)が転がってるのも何気に芸術点高いですね...w」

Jタウンネット記者は、投稿者のわさびさんと桂浜水族館に話を聞いた。

冬の高級食材でみんなの人気者

わさびさんがトラフグ展示を発見したのは23日、桂浜水族館の入場ゲート付近だ。

「入場ゲートの真横の水槽に『今年は寅年!』と書いてあるのが目に止まり、水族館だから関係ないだろって思ったらトラフグが展示されてました。鍋がおいしい季節なんで食べたくなりました」(わさびさん)

次に、Jタウンネット記者は同館の企画広報担当・森香央理(もり かおり)さんにも話を聞いた。

話題のトラフグ展示は21年末から準備を進め、年明けよりエントランスの水槽で開始したものだそう。

寅年にちなんだ企画水槽を検討する中でトラフグが選ばれた理由は、

「冬が旬の高級食材として多くの方に食されていて、年齢を問わず誰もが知っていることや、現在では養殖も進んでおりふぐ刺し・ふぐ鍋・からあげなどとして人気があることから、採用しました」

とのことだ。

「ユニークな魅せ方にこだわりました」

それにしても気になるのは、一緒に展示されている土鍋や酒瓶だ。これは一体、どういう意図があってのことなのだろうか。

森さんによると、桂浜水族館は食育にも力を入れている施設。展示されている魚の解説板には魚の名称や釣れる場所だけでなく、その魚のおいしい調理方法や味についても書いてあるという。

その一環としてこのトラフグ展示にも、土鍋と高知の名酒「土佐鶴」の酒瓶をレイアウトし、フグの毒や食文化についての解説POPを設置したそうだ。

「思わず足を止めて見入ってしまうような、つい写真を撮ってSNSに投稿してしまうような、ちょっとユニークな魅せ方にこだわりました。
ひとりでも多くの方にその魚に興味を持ってもらえるように、また、単なるジョークで終わるのではなく、もう一歩踏み込んで、生きものについて知るきっかけになればと思い、今回はこのような展示にしました」(森さん)

森さんは、SNSで反響があったことについて「まさに狙い通り」と語る。

「生きものや水族館が好きな人たちの間だけで話題になるのではなく、興味のない人が興味を持つきっかけになったり、今回のようにSNSで話題になることで、より多くの人の『知る』に繋がればと思っております。
水族館という施設に対して少し敷居が高いと感じている方も気軽に飛び込めるようさまざまなアプローチをとり、これからもエンターテインメント性を持ちつつ、問題提起や教育普及に努めていきたいと思っています」