M1 Max
Apple

アップルが新型MacBook Proに搭載したM1 MaxプロセッサはM1 Proの倍の速度を誇ると宣伝され、クリエイティブのプロ向け製品だと強調されています。が、実際にビデオ編集や3Dモデリングなどクリエイティブ方面の作業でテストしたところ、最上位チップのもたらすメリットは高価格よりも控えめだと判明したことが伝えられています。

米CNETのダン・アッカーマン記者は、ベンチマークテストと実際の使用感を組み合わせて結論を出しています。ざっくりと言えばProResビデオの編集やMetalグラフィックスAPI(つまりアップルが仕様に深く関わった技術)を使用する場合、M1 Maxには明らかな強みがあるものの、多くのクリエイティブな作業ではそう上手くは行かないというものです。

M1 ProとM1 MaxのGPUの性能が、一体どれほど違うのか。それを検証するためアッカーマン氏が行ったのは、まず複数のクロスプラットフォームのGPUテストでした。それによるとMetalを使ったGeekBench 5やWildlife Extremeでは明らかな差があり、M1 Maxの方がはるかに高いスコアが出たとのこと。

これら2つのテストではM1 Maxと、Nvidia RTX 3080 GPUを搭載した新型Razer Blade 14が同点という結果に。M1 MaxとM1 Proの中間に位置するのはNvidia RTX 2080 Max-Qを搭載した古めのゲーミングPCだったと述べられています。

またVFXライティングの専門家にM1 Pro搭載の14インチMacBook Proと、M1 Maxチップの16インチモデルを試してもらったとのこと。そこで3DCGソフトウェア「Houdini」でレンダリングしたところ、かかった時間はM1 ProでもM1 Maxでも同じだったものの、その間M1 Max MacはM1 Proよりもはるかに反応が良く感じられたそうです。

つまりレンダリングなど処理が重いタスクをしながらでも、M1 Maxであれば他の作業をするときにマシンの反応が良くなることもあるというわけです。

しかしアッカーマン氏本人は、「ビデオ編集、3Dモデリング、Photoshop/Illustratorなどのプロジェクトに携わるメインストリームのユーザー」だと自覚しつつも、「最初の数日間、これらのシステムを使ってみて、パフォーマンスの違いを見つけるのに苦労しました」と語っています。これにはGeekBench 5やCinebench R23、8K Premiereレンダリングテストなど標準的なベンチマークも含まれており、Metalを使っていないものであれば有意な差は出にくい模様です。

総合的な結論としては、基本的なビデオ編集のためにハイエンドのクリエイティブ向けアプリを使う程度のユーザーであれば、M1チップ搭載のMacBook Airや13インチMacBook Pro、24インチiMacでも、4Kビデオ編集程度ならば全く問題ない、といったところです。

またM1 Pro/Max 搭載の新型MacBook ProをデザインやWebカメラ、外部ポートが増えたことだけを理由に買うのであれば、「本質的には虚栄心の強い買い物」つまり見栄を張っているだけだとコメントしています。

おおむね新型MacBook Proはアップル純正(Final Cut Proなど)やMetalを使う3DCGアプリに強みが限られるとの予想が当たったかっこうです。ですが、そうしたアプリを中心に使う、あるいは僅かに作業時間が短縮するメリットが価格差を上回ると考える人にとっては、M1 Max Macも安い買い物になるのかもしれません。

Source:CNET

via:9to5Mac