若年層の大会が、続々と中止されている。

 昨年末にFIFA(国際サッカー連盟)がU−17W杯とU―20W杯の中止を決定したが、両大会のアジア予選を兼ねるAFC(アジアサッカー連盟)のU−16選手権とU−19選手権の中止が、1月26日に決定されたのだ。

 JFAの反町康治技術委員長は、「FIFAに続きAFCの国際大会も中止となってしまったことは残念に思います。しかし、いままさに伸びようとしている選手たちの成長の芽を伸ばし続けることが、JFAの役目だとも感じています」とコメントし、「対象年代を含む若い世代の強化を継続し、選手たちを次のステージへとつなげていきたいと思います。JFAは若い選手たちがいまのこの状況を悲観することなく、未来の目標に向かって進み続けられる施策を打ち続けていきたいと思います」と続けた。

 強化を司る技術委員長とすれば、「強化の継続」と「目標を持てる施策の立案」を遅滞なく進めたいだろう。しかし、海外渡航は厳しく制限されている。国内でも感染者が抑え込めていない。現在の第三波が収まったとしても、7月には第4波がやってくるとも言われている。国内での活動にさえ、不透明感が漂う。

 ウィズコロナでの実現可能な強化策は、昨年12月のACLがヒントになる。出場チームがひとつの都市に集まり、数日置きに試合をしていくセントラル開催だ。テニスの4大大会のように、空港、ホテル、練習場、試合会場のみの移動とすれば、感染リスクを抑えることができそうだ。

 もちろん、越えなければならないハードルは多い。

 入国と出国の制限があるなかで、複数の国からチームが集まることが可能なのか。何よりも、当事者たる選手たちの気持ちを、置き去りにはできないだろう。選手たちは国際試合や国際大会に飢えている一方で、海外のチームと対戦することに不安を感じているかもしれない。

 さらに言えば、コロナ禍でのスポーツ活動が必ずしも理解を得られるとは限らない。マスク警察ではないが、否定的な視線もあるだろう。日常生活に戻った選手たちが、周りの目を気にするようなことがあってはならない。

 そうやって考えていくと、協会主導だけでは限界がある。対アジア、対世界の強化だけでなく、国内で強化していくことも考えていくべきだ。Jリーグ各クラブとも連携をして、若年層の選手たちの成長を促す機会を創出していきたい。

 アンダーカテゴリーやフットサル、ビーチサッカーの国際大会などが、のきなみ中止となっているのだ。W杯予選が予定どおりに開催されていく、とは考えにくい。

 2次予選は3月に再開されるスケジュールだが、この時点で国境をまたぐ移動が可能となっているか。その判断は感染状況に因るところが大きく、また、対応は国によって異なる。

 日本からの海外渡航が可能になっているとしても、帰国した選手たちはすぐに日常生活に復帰できないだろう。一定期間の自主隔離などを求められるはずだ。

 2021年のJ1は、下位4チームがJ2に降格する。例年よりも厳しいシーズンだ。そのなかでJリーグが開催されていき、主力が自主隔離の影響で出場できないといった事態が生じると、日本代表に選手を送り込んだチームに不利益が生じかねない。

 W杯予選においても、昨年のACLがモデルになるかもしれない。2次予選はセントラル方式にまとめる、というのは実現可能な選択肢だろう。それにしても、Jリーグ各クラブの理解が必要だ。場合によってはJ2降格を昨年に続いて見送るなどのレギュレーション変更を、検討していくべきではないだろうか。