「サクサク」という食感。なぜあんなに魅力を感じるの?

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サクサク、カリカリ、パリパリ、シャキシャキといった音の食べ物は、魅力的に感じるもの。
たとえば、メニューに「サクサクの〜」「カリカリの〜」といった言葉がついていたり、咀嚼したときにサクサクと聞こえると、食欲をそそられる。

人はなぜ、「サクサク」に魅了されるのか。

『美食のサピエンス』(アレン・ジョン著、成広あき訳、羊土社刊)は、日本に縁のある人類学者の著者が、脳科学・進化学・人類学・文化史を駆使して、ホモ・サピエンスがどのような脳の働きによって食べ物を「とらえて」いるかを理解しているかを「食とヒト」から解説する一冊だ。

人はなぜ、「サクサク」に夢中になるのか。人類の祖先には、サクサクの昆虫に対して、食べ物の魅力を感じる種が多い。それは現在もコオロギや幼虫、バッタの料理に親しんでいる文化圏は少なくない。

さらに、我々の祖先は調理によって、より「サクサク」にありつけるようになり、肉や塊茎などの植物を調理することで、いっそう栄養素を摂りやすくなったうえ、食材の味も向上できた。

「サクサク」は大昔から魅力的だったことに加え、調理がもたらした利点によって、いっそう強められ、私たちの認知に深く根付いていることになる。

また、サクサクした食べ物は、脳にも特権的な地位を占めているという。
食事中にはさまざまな感覚が混じり合っているが、咀嚼したときに味覚と嗅覚のほかに、音からの聴覚も伴っている。つまり、「サクサク」の音は、聴覚も刺激しているのだ。

この「サクサク」によって、より強烈な、より変化に富んだ感覚体験が生まれ、食べている間は、退屈や「慣れ」を寄せ付けないと著者は指摘する。

「サクサク」の食べ物はなぜ人気があるのか、といった食に関する問いを進化学的観点、文化的観点、認知神経科学的な観点から考察していく本書。ヒトは食べ物を脳でとらえているのか、という理由を本書から探ってみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

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