グーグルで12月14日夜、大規模障害が発生し、電子メールサービス「Gmail」など関連サービスが使えない状況が約45分間にわたり続いた。ツイッターではこの間、「YouTubeが見れない」「検索できない」と困惑の声が広がっていた。

一方、生命の危機を感じていたのは、新潟県に住む20代男性のはやぽんさん。3年前にGoogle Homeを購入し、普段は音声コマンドで家電を制御しているが、この日はエアコンの電源を入れることができなくなり、ツイッターに「凍死しかけてる」などと投稿して助けを求めていた。

「毛布に包まりながらツイッターで何かわかる人がいないか聞いてみました」


はやぽんさんは、キャリコネニュースの取材に「当時の気持ちを率直に言うと不安でした」と振り返る。

「いつも使えるものが突然使えなくなったのと、リモコンが目に見える範囲に無いと焦ってたのでパニックになっていました」

goo天気によると、14日の新潟県の最高気温は4.3度で、最低気温は2.6度。障害の発生時刻が21時前後と夜間だったことを考えると、気温はかなり低かったと思われる。はやぽんさんのツイートでも「外は雪が降りしきる中」と形容されていた。

はやぽんさんのブログによると、エアコンの調子が元々不安定で、数か月前から急に電源が切れることが度々あったという。だが、Google Homeの音声コマンドで簡単に再起動することができたため、「運用上極端に困ることはなかった」と綴っている。

しかし今回のようにグーグルの障害でGoogle Homeが使えないとなると、話は別だ。一応、電気ストーブも家にあったものの、普段は使っておらず押入れの中だった。

「単純に寒かったです。それと同時にリモコンを早く探さないと『これはやばい』という焦りもありました」

その後、急激に室温が下がっていく部屋の中で、はやぽんさんはリモコンを探すのを諦めた。

「毛布に包まりながらツイッターに書き込んで誰か何かわかる人がいないか聞いてみました」

「人生で最も"エアコンが普段から使えるありがたさ"を感じた瞬間だった」

最後にはやぽんさんを救ったのは、自宅に転がっていたスマホだった。"スマホオタク"を自称するはやぽんさんは、以前からレビュー記事などをブログに投稿していた。それを見ていたフォロワーから「はやぽんさんHuaweiとかXiaomiのスマホ持ってたはずだから赤外線で制御できるのでは?」とアドバイスがあった。

はやぽんさんによると、中国メーカーのモデルには自社の家電との連携を図るために赤外線リモコン機能が標準レベルで付いていることが多く、幸いにも自宅に複数の機種があった。

結局、エアコンの電源が入ったのは30分後。その頃にはグーグルの障害も復旧し、いつも通りに制御ができるようになっていた。はやぽんさんは、改めて

「エアコンがついた時の気持ちは言葉にならなかったですね。ただ、人生で最も"エアコンが普段から使えるありがたさ"を感じた瞬間だったと思います」

と話し、自身のブログでも「あの数十分間。私の殺生はGoogleに握られていたのです」と報告した。

同じような経験をしたひろゆき氏「生殺与奪の権をGoogleに握らせるな!」

今回のようにネットワーク障害によりスマート家電が使えなくなる経験をした人は、はやぽんさんの他にもみられた。「2ちゃんねる」の元管理人で、"ひろゆき"こと西村博之氏も、過去にAmazonの障害で同様の経験をしたという。自身のツイッターで、

「先日、amazonのサーバが落ちたときに、うちの掃除機roombaが使えなくなりました。昨日は、Googleが落ちると暖房が使えなくなるという雪国では命に係わる2020年らしいトラブル。『生殺与奪の権をGoogleに握らせるな!』というセリフが冗談じゃなくなるかもね」

と人気漫画『鬼滅の刃』の台詞にちなんで、ユーモアあふれる投稿をしていた。

こうした事態に対し、スマート家電ユーザーはどうすればいいのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「万一に備えて代替手段を持っておくことが大事」と強調する。

「インターネットはずっと繋がっていると思いがちですが、実はちょっとしたトラブルで接続できなくなります」

と警鐘を鳴らし、リモコンやその電池をすぐそばに置いておく重要性を指摘した。はやぽんさんのケースでも、Google Homeを導入後は、基本的にリモコンやスイッチを使うことはなくなったという。

また、井上氏は「冷房と扇風機、暖房と電気ストーブのように、互いの機能を補完し合えるような手段を持っておくことも効果的です」としている。