国内外で高い人気を誇るスーパーGT。しかし、2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大を受け、海外ラウンドのタイとマレーシアの2戦が中止となり、開幕戦が7月まで延期された。前半4戦は無観客でのレースとなったが、ドライバーたちはサーキットに来られないファンのために毎戦、すばらしい走りを見せてくれた。その結果、チャンピオン争いは史上稀に見る大接戦となっている。

富士スピードウェイで開催される最終戦の第8戦(決勝=11月29日)を前に、数字上は10台にタイトル獲得の可能性が残されているのだ。加えてホンダ、トヨタ、ニッサンの3メーカーの上位6台が自力でのタイトル争いを繰り広げることになり、最終戦はまさに各メーカーのプライドを賭けた大一番となる。ランキング上位のドライバーとマシン、レースを盛り上げるレースクイーンを紹介しよう! 

スーパーGT2020レースクイーン・マシンのフォトギャラリーはこちら
>>GT500編  >>GT300編

●ランキング1位
【No.17】KEIHIN REAL RACING 
[ドライバー] 塚越広大/ベルトラン・バゲット 
[マシン]KEIHIN NSX-GT 


塚越広大(左)とベルトラン・バゲット


KEIHIN NSX-GT

 国内トップカテゴリーで活躍した金石勝智監督が率いるリアル・レーシング。スーパーGTには2007年から参戦しており、塚越広大とベルトラン・バゲットの同級生コンビは2年目。今シーズンは第2戦・富士と第4戦・もてぎで圧倒的な速さを披露して勝利を飾っているが、ウェイトハンデを積んでからの安定感も強みだ。チームと自身にとって初のタイトルを目指す塚越は「強いレースをして最終戦を勝ち、自力でチャンピオンを決めたい!」と力強く語っている。 


英美里(Keihin Blue Navigator)

●ランキング2位
【No.37】TGR TEAM KeePer TOM'S 
[ドライバー]平川亮/山下健太(※山下はニック・キャシディに代わり第7戦より参戦し19位)
[マシン]KeePer TOM'S GR Supra 


平川亮(手前左)と山下健太


KeePer TOM'S GR Supra

 2017年、ともに史上最年少の23歳でスーパーGTチャンピオンとなった平川亮とニック・キャシディ。過去2シーズンは惜しくもランキング2位に終わり、今季はタイトル奪還の期待がかかっていたが、キャシディが第7戦・もてぎを前に離脱。昨年のスーパーGT王者で今シーズンは世界耐久選手権(WEC)に参戦していた山下健太が急遽、平川とコンビを組むことになった。山下も25歳と若いが、速さとタイトル獲得経験がある。もてぎでもブランクをまったく感じさせない走りを見せており、死角はない。
 

小嶋みやび(KeePerエンジェルズ)


遊馬りえ(SUNOCOイメージガール)

●ランキング3位 
【No.23】NISMO 
[ドライバー]松田次生/ロニー・クインタレッリ 
[マシン]MOTUL AUTECH GT-R 


松田次生(左)とロニー・クインタレッリ


MOTUL AUTECH GT-R

 ニッサンのエースチームNISMOは今季も2014年から不動のベテランコンビで臨んでいる。GT500通算最多の22勝を誇る松田次生とGT500で通算4度の王座を獲得したロニー・クインタレッリは今シーズン、鈴鹿で開催された第3戦と第6戦で2勝を挙げている。ランキング上位勢の中では唯一のミシュランタイヤを装着しているNISMO。ニッサン勢は松田とクインタレッリが王者となった15年以降、タイトルから遠ざかっているが、最終戦はタイヤの出来が勝負のカギを握りそうだ。 


左から、美すず(AUTECH Race Queen)、井澤萌夏(MOTUL Circuit Lady)、望月さとみ(B-MAX NDDP Racing girl)、竹本ちえ(MOTUL Circuit Lady)※右2人は3号車担当

●ランキング4位
【No.100】TEAM KUNIMITSU 
[ドライバー]山本尚貴/牧野任祐 
[マシン]RAYBRIG NSX-GT 


山本尚貴(左)と牧野任祐


RAYBRIG NSX-GT

 この夏、文部科学省のスポーツ功労者として表彰された世界的に有名なライダー・ドライバーの高橋国光が総監督を務めるTEAM KUNIMITSU。エースは2018年に元F1チャンピオンのジェンソン・バトンと組んでタイトルを獲得した山本尚貴。今季からバトンに代わって23歳の若手ドライバー牧野任祐が新加入した。最高位は第3戦・鈴鹿の2位だが、毎戦、安定した走りでポイントを積み重ね、ランキング首位と2点差の4位につける。今季初優勝をして逆転でチャンピオンを決めたい。 
 

左から、沢すみれ、相沢菜々子(ともにRAYBRIG RACE QUEEN)

●ランキング5位 
【No.8】ARTA
[ドライバー]野尻智紀/福住仁嶺
[マシン]ARTA NSX-GT 


野尻智紀(左)と福住仁嶺


ARTA NSX-GT

 元F1ドライバーの鈴木亜久里監督が率いるARTA。今シーズンは速さに定評のある野尻智紀と、昨年のGT300クラス王者の福住仁嶺がコンビを組み、3度のポールポジションを獲得。不運もあり、優勝にはあと一歩届かないというレースが続いていたが、第7戦・もてぎでこれまでのうっぷんを晴らすかのようなブッチギリの優勝を飾り、首位から3点差のランキング5位に急浮上した。エースの野尻は「この勢いのままで最終戦を戦って、勝ちたい」と自身初のタイトルに意欲を見せている。 

左から、松田麻緒、綾瀬まお、藤澤響花(いずれもARTA GALS)。松田、藤澤はGT300・55号車担当

●ランキング6位 
【No.14】TGR TEAM WAKO'S ROOKIE 
[ドライバー]大嶋和也/坪井翔 
[マシン]WAKO'S 4CR GR Supra 


大嶋和也(左)と坪井翔


WAKO'S 4CR GR Supra

 今年新たに立ち上がったチームのTGR TEAM WAKO'S ROOKIEは元F1ドライバーの高木虎之介が監督を務め、ドライバーは昨年のスーパーGTチャンピオンである大嶋和也と成長著しい25歳の坪井翔という強力な布陣。今シーズン、優勝こそないが、表彰台3回の安定した走りで、ランキング首位から4点差という好位置につけている。エースの大嶋は昨年、最終戦で悲願の初タイトルを決めたが、トヨタの地元・富士でタイトル連覇を狙っている。 


南まりあ(WAKO'S GIRLS)

※ランキング7位のニック・キャシディ(TGR TEAM KeePer TOM'S)は途中離脱。来季から参戦するフォーミュラEのテスト参加に伴い、終盤2戦を欠場することとなった。


ニック・キャシディ

●ランキング8位 
【No.36】TGR TEAM au TOM'S 
[ドライバー]関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ 
[マシン]au TOM'S GR Supra 


関口雄飛(左)とサッシャ・フェネストラズ


au TOM'S GR Supra

 毎年チャンピオン争いに加わっている名門TOM'Sは今シーズンも2台体制で参戦。巧さと速さを兼ね備えた関口雄飛と、抜群の速さを持つ19年の全日本F3王者サッシャ・フェネトラズのコンビは、トムスのもう一台の37号車の平川亮/山下健太組に匹敵する強力なラインナップ。開幕から3戦連続で表彰台に上がるが、中盤以降はやや苦戦。トップとは6点差で自力タイトルの可能性はないものの、今年のスープラは決勝での強さがある。逆転王座を狙う。 


近藤みやび(auサーキットクイーン)


央川かこ(auサーキットクイーン)

●ランキング9位
【No.39】TGR TEAM SARD 
[ドライバー]中山雄一/ヘイキ・コバライネン(※コバライネンは前半2戦を欠場、11位)
[マシン]DENSO KOBELCO SARD GR Supra 


ヘイキ・コバライネン(中央左)と中山雄一


DENSO KOBELCO SARD GR Supra

 スーパーGTで3度の王者に輝いた脇坂寿一が今年から監督に就任した強豪のSARD。2015年から日本で活動する元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンは新型コロナの影響で開幕から2戦を欠場したが、復帰するとシュアな走りを披露して第5戦で今季初優勝を飾った。コバライネンとコンビを組むGT500参戦2年目の中山雄一には逆転チャンピオンの可能性が残されている。「最終戦・富士は第5戦の再現を目指す」と中山はコメントしており、首位との9点差をひっくり返せるか注目される。 


左から、太田麻美(KOBELCO GIRLS)、武田美憂(Owltech Lady)

●ランキング10位
【No.38】TGR TEAM SARD
[ドライバー]立川祐路/石浦宏明
[マシン]TGR TEAM ZENT CERUMO
 

立川祐路(左)と石浦宏明


TGR TEAM ZENT CERUMO

 GT500通算最多ポールポジション(PP)23回、優勝19回(歴代2位)、ドライバーズチャンピオン3回の立川祐路と、スーパーフォーミュラで2度の王者に輝いた石浦宏明という、実績十分のふたりのベテランがステアリングを握る。今季は第4戦・もてぎでPPからスタートして2位表彰台が最高位。首位とは14点差と厳しい状況だが、何が起こるのかわからないのがレース。歴戦をくぐりぬけてきたベテランコンビは、可能性にかける。 


左から寺地みのり(WAKO'S GIRLS)、藤永妃央、美月(ともにZENTsweeties)。寺地は14号車・TGR TEAM WAKO'S ROOKIE

※11位はヘイキ・コバライネン(TGR TEAM SARD)。コロナ禍で日本へ入国できず、初戦、第2戦を欠場したため。


ヘイキ・コバライネン

●ランキング12位 
【No.64】Modulo Nakajima Racing  
[ドライバー]伊沢拓也/大津弘樹 
[マシン]Modulo NSX-GT 


伊沢拓也(左)と大津弘樹


Modulo NSX-GT

 数字上はタイトル獲得の可能性はあるが、首位とは20点差。チャンピオンになるには予選でポールポジション(PP)を獲得し、優勝することが絶対条件。あとは他チームの状況次第だが、タイトル獲得は非常に難しい状況にある。ダンロップ・タイヤを装着するナカジマは予選では今季2度のPPを獲得しており、一発の速さはある。決勝は好不調の波があったが、第7戦・もてぎでは2位表彰台に上がっている。レースの展開次第では、王座争いのカギを握る存在になるかもしれない。


瀬谷ひかる(Moduloスマイル)