ハムスターの健康を守る機器を自作できる! パナソニックの「小動物ヘルスケアデバイス」

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「小動物ヘルスケアデバイス」は、ペットの活動量や体重、飼育する環境の温度・湿度などが測定できるIoTデバイスだ。
東京ビッグサイトの日本最大級のものづくりの祭典「Maker Faire Tokyo 2020」にて、10月3日(土)、4日(日)にて初公開される。

プロジェクトパートナーの株式会社BIRDMAN本社にてメディア向け先行体験会が実施されたので、その模様をお届けしよう。


■小動物の健康を守るデバイスが作れる!
新型コロナウイルス感染症でテレワークや在宅で仕事をする人が増えた。
自宅で過ごす時間が多くなり、ペットを飼う人も増えている。

なかでもハムスターや小鳥などの小動物は、飼育がしやすいことから人気も高い。

ところが小動物向けのヘルスケア製品は、まだ十分に提供されていない。
例えばハムスターの場合、夜行性で日中は寝ていることが多い。もし病気になっても、症状を見逃しやすい。
また小動物の健康には、室温や湿度の変化も影響を与えてしまうこともある。

「小動物ヘルスケアデバイス」は、
小動物の体重や活動量、飼育環境の温度や湿度などを計測して、小動物の健康状態や飼育環境を可視化することで健康を守ることができる。


左上にある「M5Stack Basic」のモニターには、IoTデバイスにより計測された結果がリアルタイムで表示される。


「小動物ヘルスケアデバイス」では、
・モーションセンサ
・測距センサ
・ドアスイッチ
・歪みセンサ
・環境センサ
この5つの電子パーツにより、小動物の健康状態や飼育環境を可視化している。

モーションセンサは、小屋の天井などに貼り付けて赤外線の動きを検知し、小動物の動いている時間を計測するものだ。


モーションセンサにより、動いている時間がわかる。


測距センサは、小屋の壁面などに貼り付けて小動物が近づいた回数を計測する。赤外線の反射を検知し物体との距離を観測している。




ドアスイッチは回し車の回転数などを計測するものだ。磁石を回し車に貼り付け、回転数を計測する。


ドアスイッチで回転数を計測することができる。


歪みセンサは、小動物の毎日の体重を計測するものだ。小屋に設置することにより、わずかな歪みを検知して重量に変換する。


歪みセンサを小屋に設置すれば、計測が難しい小動物の体重を手軽に測ることができる。


環境センサは、小屋内部に設置する。小動物の飼育にとって重要な、湿度と温度を計測するものだ。


環境センサは、天井に設置する。


■誰でも簡単に作れるIoTデバイス
体験会では、「小動物ヘルスケアデバイス」の製作に挑戦することができた。
今回挑戦したのは、
・モーションセンサ
・測距センサ
・ドアスイッチ
この3つを使った電子工作だ。

作り方や、必要な電子パーツは、D+IOプロジェクトのサイトからリンクが張られている「GitHub」で公開されている。「GitHub」では、電子パーツを購入できるサイトへのリンクもあるため、パーツを揃えるために秋葉原を歩きまわる必要もない。


左から順番に「M5Stack Basic」、M5Stack用環境センサユニット ver.2 (ENV II)、M5Stack用Port A (I2C) 拡張ハブユニット、M5Stack用ToF測距センサユニット、マグネット ドアスイッチ。


実際の製作だが、「GitHub」にはかなり詳細に書かれているため、難しいことはなかった。
またケーブル同士の接続は、延長コネクタ WF-2BPにより繋げたので、半田付けの作業などは必要ない。
これなら、小学生のお子さんがいるご家庭でも工作できるだろう。

開発環境のダウンロードとインストール、プログラムの書き換えを必要とするが、こちらも「GitHub」に詳細に書かれている。パソコンが使える人であれば、迷うことなく作業ができるだろう。


パソコンを使って、プログラムの一部を書き換える作業をおこなっているところ。


「小動物ヘルスケアデバイス」は小動物の健康状態や飼育環境を可視化して、健康管理をおこなえる。
デバイスのレシピは公式サイトに公開されており、電子パーツさえ揃えれば、誰でも簡単に製作することができる。


■新規事業の種づくりが目的
D+IOプロジェクトのパナソニック株式会社 イノベーション推進部門 デザイン本部 FUTURE LIFE FACTORY 川島大地氏に「小動物ヘルスケアデバイス」に関する話を聞くことができた。
D+IOプロジェクトは「大切な誰かへ届けたいみんなのモノづくり」を応援する活動である。

FUTURE LIFE FACTORY 川島大地氏
「一般の人に見てもらいながら作ってもらって、さらに独創的なアイデアを取り込んでもらって、それをプレゼントしてもらうという世界を考えています。」

インターネットを利用できる環境があれば、誰でもレシピを参考に同じモノを作ることができる。 また、GitHubを利用することにより、レシピの修正、アップグレードができる。できあがったものを誰かにプレゼントすることにより、D+IOプロジェクトを広く認知させたいとの考えだ。

FUTURE LIFE FACTORY 川島大地氏
「ゆくゆくは人間の作る世界を向上することを目指していて、自分の手で身のまわりの環境を豊かにできる社会になったらよいなと思っています。」


パナソニック株式会社 イノベーション推進部門 デザイン本部 FUTURE LIFE FACTORY 川島大地氏


FUTURE LIFE FACTORY 川島大地氏
「マネタイズは考えてないです。これはCSRの活動として、公益性を重視しています。モノづくりの企業としてノウハウを共有して、皆さまが快適な暮らしを自分の手で作る社会を目指すところにあります。」

創業者の松下幸之助氏が興したパナソニックの基本は「モノづくり」だ。
D+IOプロジェクトは、新しい製品開発に繋がる可能性がある取り組みであり、モノづくり企業としてのパナソニックらしい活動とも言えるだろう。



D+IO(ドゥーイングアイオー)プロジェクト


ITライフハック 関口哲司