ロールモデルコーチに就任した内田篤人氏が見つめる中でトレーニングするU-19日本代表の選手たち

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 U-19日本代表候補は14日、千葉県千葉市の高円宮記念JFA夢フィールドで3日間の短期合宿をスタートした。午前午後の2部練習を行い、午後は3対3プラスフリーマンや5対5でのライン突破のトレーニング。その後、10対10や11対11のゲーム形式のトレーニングを実施した。

 10対10や11対11は随所で強度の高いプレーの応酬。FW斉藤光毅(横浜FC)ら5選手が別メニューだったが、フルメニューを消化した選手は実戦同等の激しさの中でパスや仕掛けにチャレンジ。その中でU-18世代のFW唐山翔自(G大阪)が存在感ある動きでFW染野唯月(鹿島)のゴールをお膳立てするなど、各選手が来年に延期されたAFC U-19選手権出場、そして突破へ向けて気持ちのこもった動きを見せていた。

 その強度は前日13日にロールモデルコーチ就任が発表された内田篤人氏の影響が大きかったようだ。午前のトレーニングに加わり、対人メニューも行った“内田コーチ”は、午後のトレーニング前のミーティングでアドバイス。影山監督によると、「(世界で戦うとはどういうものか)『みんな必死にやっているけれど、そんなんじゃまだまだ届かないよ』ということを、(内田氏らしく)優しいながらも厳しさに溢れた口調で言ってもらえました」という。

 U-19日本代表の目標はU-20ワールドカップのアジア最終予選を兼ねたAFC U-19選手権を勝ち抜き、世界で舞うこと。影山監督が「非常に良いトレーニングが午後、その(ミーティングでの言葉の)お陰でできたと思っています。(選手たちは)あれじゃ足りないんだな、と思って午後のピッチに立ったと思います」と振り返ったように。U-20ワールドカップ、北京五輪、そして2度のワールドカップや欧州CLを経験している“内田コーチ”の言葉は世界での活躍を目指すU-19年代の選手たちに響いていた。

 FW櫻川ソロモン(千葉)は「自分も含めて『ぬるさ』があったので、厳しい言葉をもらってみんな午後の練習は厳しくできたと思います」と午前練習からの変化について説明し、鹿島の後輩に当たるMF松村優太は「経験してきたものがやっぱり違うので、内田さんの言葉は重みが違いますし、全然ガラッと午後の練習は雰囲気が変わっていたので、そういう言葉の大事さも分かりましたし、そういう経験をしてきた選手が今、コーチとして僕たちに教えてくれているのはありがたいことだと思います」と感謝していた。

 U-19代表候補は3日間の短期合宿初日に自分たちの目指すべき“基準”を確認した。今月10日、当初は今年10月開幕予定だったAFC U-19選手権が新型コロナウイルスの影響によって来年初旬へ開催が延期されたばかり。この日、引き締めて再スタートを切ったU-19日本代表は、一つ一つのプレー、パスからより厳しさを持って取り組み、アジアの戦いへ向かう。

(取材・文 吉田太郎)