超簡単!プロが教える「最高のみそ汁」の作り方
簡単なコツで、いつものみそ汁が見違えます!(写真:深澤慎平)
なんだかおみそ汁がおいしくならない……。そう思う人もいるかもしれません。
毎日具が変わるから、おいしい日もあれば、おいしくない日もあるのがみそ汁です。それに、だしも面倒くさいものです。
ここでは、絶対失敗しないみそ汁を覚えましょう。新刊『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』から、小竹貴子さんが教えます。
うちの朝食は、白いご飯、みそ汁と卵焼きくらいの簡単なもの。なので満足感が出るように、みそ汁は具沢山にしています。
みそ汁の1番のポイントは「だし」。そこで、私がおすすめするのは、煮干しのだしです。煮干しだしと聞いて、面倒くさそうと思った方もいるかもしれません。
大きい煮干しを選べば、だしパックよりも簡単
でも、大きい煮干しを選べば、粉末だしパックよりも簡単です。
煮干しを買うときに、大きくて光沢があり、形がきれいなものを買いましょう。1尾が5〜6センチくらいのものにしましょう。そうすると、400ml(カップ2杯分、大体2人分です)の水に対して3尾で十分だしが取れます。私が使っているのは「伊吹島いりこ」という煮干しです。
私がよく使うのは伊吹島いりこの「煮干魚類(いりこ)」(石丸弥蔵商店)です(写真:深澤慎平)
使う煮干しが少ないほど内臓を取る手間が減るので、だしを取る心理的なハードルが下がっておすすめです。内臓があると汁が苦くなってしまうので、このプロセスだけは面倒でもやってください。
水につけて30分〜ひと晩置くという作業は必要ありません。すぐに火にかけると、パンチのあるうま味を楽しめます。
意外と簡単! 煮干しの内臓の取り方
内臓の取り方は簡単で、頭をまず取り、そのすぐ下に入っている黒い塊を取るだけです。やってみるとわかるのですが、内臓は頭を取らないと取れません。
頭を取って、お腹の黒い部分を取ります(写真:深澤慎平)
私は、取った頭は鍋に戻し、煮干しもそのままほかの具材と一緒に食べています。カルシウムにもなるし、いい煮干しなのでおいしくいただいています。気になる方は、もちろんだしを取った後に除いても大丈夫です。
ちなみに、市販の和風だしの素は塩分が多めで化学調味料も入っているし、自然派の粉末だしパックはちょっとお高いし、すぐなくなってしまって買い足すのが面倒。でも、煮干しはそこもクリアできます。
普通サイズの煮干しを使う場合は、4尾(10g)ほどの煮干しを使います。
ちなみに、お子さんが気にするなど、煮干しを丸ごと使うことに抵抗がある方は、内臓を取った煮干しをミキサーにかけて煮干し粉を作るのもおすすめです。だしも出るし、栄養価も高くなります。
お鍋に水と煮干しと具材を入れ、その後沸騰させましょう。
おみそ汁に入れる具材の量は、水分全体に対して3分の1程度にするとおいしいです。みそ汁に限らず、ほかのスープでも同じです。
絶対に失敗しない! みそ汁におすすめの3種類の具材
また、具は3種類入れると、絶対失敗しません。
1 .素材からうま味が出るもの……油揚げ、ちくわ、きのこ、しじみやあさり、余りものの肉など
2 .根菜……カボチャ、大根、カブ、さつまいも、ごぼう、にんじん、じゃがいもなど
3.葉物……乾燥わかめなど海藻、ほうれん草、水菜、キャベツなど
この3種類の具材がそろえばどう転んでもおいしいです。ちなみに、ここまで具沢山じゃなくてもいい人は、1、2、3の内どれかをふたつそろえましょう。違う種類のものを組み合わせることでおいしくなります。
具材に火がとおったら、火を止めてからみそを溶き入れましょう。
みそ溶きを使うときれいに溶けますが、溶ければ何でも大丈夫です。火を止めて入れることで、みその風味が逃げません。
みそは水400mlに対して私は大さじ1程度ですが、薄ければお好みで。食材で味を出すので、みそは少なめで大丈夫です。十分に溶けたらもう完成です。
みそは食べ慣れたものがおいしいと感じるので、ぜひ失敗しないみそ汁のために、自分が食べて育ったみそを使ってみてください。
私は石川県出身なので、実家に帰ると「米麹みそ」を必ず買ってきます。北海道や東北、関東なら米みそ、名古屋は赤みそ、関西は少し甘い米みそ、四国、九州は麦みそでしょうか。
また、興味があるなら、みそを何種類か合わせてブレンドしてみてください。合わせみそは味に深みが出ます。1点注意したいのは、だし入りのみそは使わないこと。だしだけでなく塩分が入っている場合も多いので、だしは煮干しと食材で別に取るほうがおいしいです。
白みそと豆乳のスープはポタージュのようになる
みそ汁の応用でおすすめしたいのが、白みそと豆乳のスープです。コクのある、ポタージュのようなみそ汁です。
作り方は、みそ汁のみそを白みそにかえること。水は、豆乳を入れる分だけ減らして作り、火を止めてみそを溶かし、最後に豆乳を加えて温めます。最初のルールでもお話ししたように、豆乳は全体の3分の1〜4分の1程度入れましょう。
これは沸騰させた失敗例。こんなふうに分離してしまいます(写真:深澤慎平)
豆乳を加えたら、もう一度弱火にして、分離しないように気をつけながら温めれば完成です。ふちにふつふつと泡が出るくらいで止めましょう。このスープには鮭やしめじ、大根がよく合います。
白みそと豆乳のスープよりさらに簡単なのが、みそ汁にただ豆乳を足すだけの冷製みそスープ。
夏場に余ったみそ汁を冷やしておいて、そのまま豆乳を混ぜるだけで即席の冷製スープになります。一見ギョッとする組み合わせかもしれませんが、豆乳鍋のような感じでまろやかでおいしいです。
「冷や汁」は食欲のないときでもするすると喉に入る爽やかな料理で、冷たいみそ汁といったものです。
具のないみそ汁を作っておき、それにアジの身と、キュウリやなすなどの夏野菜を入れて、ぎゅっとつまったうま味を爽やかに食べます。もともと九州や山形の郷土料理でご飯にかけて食べますが、そうめんにかけるのもおすすめです。
作りかたは…
まず具のないみそ汁を作ります。温かいだしにみそを溶き、冷蔵庫で冷やしておきます。アジの干物をグリルでこんがり焼いて、骨を取り、食べやすくほぐしておきます。
野菜から出た水分がせっかく作ったみそ汁を薄めるともったいないので、キュウリとなすは薄切りにしたあとに塩もみして、水気をよく搾ります。
みょうがをみじん切りもしくは薄切りにし、すべてを合わせます。ごはんやゆでたそうめんの上にかけて完成。ごまをお好みで振りましょう。
疲れて何も作る元気もないときに、とろろ昆布で作る究極の簡単すまし汁があります。お椀にとろろ昆布を入れ、しょうゆをちょっとかけて、上からをお湯を注ぎましょう。これだけで、即席のお吸い物ができます。風邪をひいたときなどにもぜひ!