「人にはやり直すチャンスが与えられている」とケヴィン・ハート

写真拡大

俳優やコメディアンとして活躍するケヴィン・ハートが人気誌のインタビューに応じ、最近の風潮である“キャンセル・カルチャー”について警鐘を鳴らした。ケヴィンは自身の経験を踏まえ「誰にもセカンド・チャンスは与えられるべき」と熱く語っている。

欧米で近年社会問題になっている“キャンセル・カルチャー”という言葉をご存知だろうか。これはセレブや政治家といった社会的影響力を持つ著名人の過去のSNS投稿などを辿り「昔はこんな発言をしていた」と糾弾することで、過去に発せられた断片的な言葉だけにフォーカスし「あなたはもう終わった(cancelled)」と吊るし上げる風潮を指す。

ハリウッドでもこの風潮は年々増すばかりだが、俳優やコメディアンとして活躍するケヴィン・ハートは、その最たる犠牲者の1人と言えるだろう。ケヴィンは2018年12月、すでに内定していた第91回アカデミー賞司会の座を自ら辞退することを余儀なくされた。2009年頃のケヴィンの同性愛者に対する差別的発言が再び取り沙汰され、問題視されたことが理由だったが、ケヴィンは謝罪済みである10年近くも前の出来事を蒸し返されたことに落胆、

「人は変われるし、成長して進化するもの。」
「自分が司会を務めることであらぬ注目が集まり、才能あるアーティストの功績を称えるべき晴れの舞台が台無しなってしまうことは避けたい。」

として司会の座を辞退したのだった。

そんなケヴィンは今月21日、自己啓発オーディオブック『The Decision』をリリースした。「今日のしくじりを乗り越えて明日の成功をつかむ」ためのノウハウが詰まったオーディオブックには、6時間近くにおよぶポジティブなメッセージが収められている。発売当日には人気誌『O, The Oprah Magazine』のインタビューに登場し、同オーディオブックや“キャンセル・カルチャー”について語った。

「世間はもっと現実的になるべきだよ。“現実的”ってのは『完璧な人間なんて1人もいやしない』って意味さ。今の世の中は完璧を求めすぎている。誰も滑ったり転げ落ちたりすることなく、いつだってまっすぐに歩けるものだってね。実際の世界では、誰だってつまずくことはあるはずなのに…。」

“キャンセル・カルチャー”に対してそのように違和感をあらわにするとともに、ケヴィンは“セカンド・チャンス”について次のように力説した。

「過去の黒歴史を探り出して破滅に追い込むことに執念を燃やすのは間違っている。もちろんそうすることが正当な場合もあるけど、『過去は過去』って割り切れる柔軟さも必要だと思う。人は誰も皆、やり直すチャンスが与えられているんだ。」

「“終了ボタン”を押すタイミングが、まるで誰かの手に委ねられているかのような風潮になっている。だけど実際はそうじゃない。」

「誰かに『もう終わった』って言われたからって、その人の人生がそこで本当に終わるわけじゃない。」

ネガティブな話ばかりがフォーカスされる風潮にフラストレーションを隠せないケヴィンは、「“キャンセル・カルチャー”はなくなるべき」「人として互いを成長させ合っていけるような社会を」と熱く語った。

過ちを指摘し、正そうとする姿勢そのものは確かに間違いではないものの、それをあえてSNSで炎上させ、意図的に誰かを破滅に追い込む“キャンセル・カルチャー”は、寛容性を掲げる“ダイバーシティー(多様性)”や“インクルーシブ(包括的)”とは対極にあると考えられ、昨年にはバラク・オバマ元大統領も「“キャンセル・カルチャー”はアクティビズムではない」「現状の改革にはつながらない」と苦言を呈していた。
(TechinsightJapan編集部 c.emma)