野町 直弘 / 調達購買コンサルタント

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まだ世の中は新型コロナ一色です。
やむを得ず今回もコロナに関する考察を述べます。

前回の記事で私は被感染者ではなく感染者の特性と感染させるタッチポイントをもっと分析し、感染防止を進めるべきと述べました。

日本感染症学会は「COVID-19シンポジウム」と題した特別シンポジウムを4月18日に開催しました。その中でクラスター対策班を率いる東北大学大学院の押谷仁教授が感染者の特性についてこう述べています。

「ウイルス排出量が多い場合、他の人に感染させる可能性が高くなる。このウイルス排出量は『重症度ではなく年齢に関係する』と押谷教授は語る。平均的に青壮年の人が上気道(鼻から喉まで)に持っているウイルス量は少ない。ただし例外的に多くのウイルスを持っている人が確認されているとした。中高年は青壮年に比べると、より感染させる力が高い可能性があり、高齢者の場合は中高年よりもさらに感染性が高いことが考えられる。」

またこうも述べています。
「『若年層クラスター』という言葉を使ってしまって、あたかも若い人たちだけがこのウイルスを広げているという印象を与えてしまったのは実は間違い」と認めた上で、10代前半から50代までの青壮年と呼ばれる人が大人数で集まる機会が多いために感染を広げる傾向が見られると指摘した。」

そして、
「患者数の単純な増加ではなく、地域内での流行を把握することが重要だと押谷教授は話す。
「東京で昨日200例を超えたということがかなり大きく報道されてきていますが、増加はいろいろなことが原因で起こります。むしろ、我々が注意してみなければいけないのは地域内での流行です」と特に特定地域内で感染経路不明で爆発的な流行が広がることを恐れるべきだとおっしゃっています。

これすごく重要な情報です。少なくとも今までは若年層だけがスプレッダーになっているという、噂話ではなく、むしろ中高年、高齢者の方が感染性が高いということが確認されているとのこと。

今、日本は緊急事態宣言が全ての都道府県で出され外出自粛の嵐が吹き荒れており、一部では公園での散歩や地元での買い物などをしている人に対する非難の声も多く聞かれます。

私はこの状況は2011年3月の東日本大震災の直後の状況とよく似ていると感じているのです。その当時も様々なデマや非難中傷が巻き起こりました。酷いものとしては福島の原発の現場に亡くなられた方が何人もいて、それを政府が隠蔽してる、と言ったものまで、様々なデマや誹謗中傷が語られました。そしてそれがSNSを介して広まっていき、それをマスコミが報道し益々拡散していきます。

本当に思考停止です。私は外出自粛(押谷教授曰く行動変容)が不要だとは言っていません。しかし何から何まで禁止することが不可能な社会において、最低限社会生活を回しながらウイルスと共存していかない限り、この状況は何も改善しないと考えています。また、やむを得なく外出する機会は必ずあるのですから、如何に感染につながる高リスクを防いでいくか、ということを心がけていかざるを得ないでしょう。

そうすると自らの判断で、どう判断して、どう感染する、させるリスクを回避するかを考えていかなければならないのです。

思考停止は楽です。誰かが言ったからと人のせいにできます。
休業依頼されているから危険、休業依頼されていないから安全、とかではないのです。そうすると政治的には全部禁止にした方がいいに決まっています。

しかし、ずっと全部禁止できますか。できませんよね。
いつかは自らの判断で自ら行動せざるを得ないのです。

その時に重要な判断基準となるのが情報です。クラスター対策班のリーダーの押谷さんは、恐らく現時点で、日本国内で最も感染に係る情報を持っているでしょう。しかし、そのリーダーのシンポジウムでの発言は多くのマスコミで殆ど報道されていません。また、こういうシンポジウムが開催されること自体私も知りませんでした。

これでいいのでしょうか。

私は新型コロナも、もちろん恐れるべきものではありますが、それ以上に今の思考停止している社会に恐怖感を感じます。「欲しがりません、勝つまでは!」と同じ価値観じゃないでしょうか。