「午前も午後も眠気があり、寝る前になると頭が冴えてくる」。多くのビジネスマンがこのような生活リズムに陥っていると話すのはリハビリテーションのプロフェッショナルである作業療法士の菅原洋平さん。働き方改革の今だからこそ重要な「休み方」のマネジメント方法とは――。

※本稿は菅原洋平『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bee32)

■第一歩は「生体リズム」を知ること

働きながら休息できるようになるには、「生体リズム」を知ることが欠かせません。

生体リズムで活発になる時間帯に頑張りたいことに取り組み、活動が低下する時間帯にはエネルギーを必要としない作業に取り組む、これが基本原則です。

リズムにしたがって活動することで、負担を減らし、エネルギーを増やしましょう。

なぜ、生体リズムに合わせると、疲れにくく、回復しやすくなるのでしょうか?

私たちの脳や体は、生体リズムの仕組みで活発になる時間帯、活動が低下する時間帯があらかじめ決まっています。

もし、活発になるはずの時間帯にあまり行動せずにいると、用意したエネルギーが使われなかったという事実に基づいて、エネルギーの生産は抑えられます。これでは、もともと発揮できるはずの力が低下してしまいます。

反対に、もし活動が低下する時間帯に無理やりテンションを上げて頑張ったら、脳や体に負担がかかります。負担が大きければ、それだけ回復にも時間がかかってしまいます。

自分の作業と生体リズムとのミスマッチをできるだけ減らすことが大切なのです。

■活発になる時間帯は1日に2回やってくる

まず、すべての基準になる生体リズムを整える必要があるわけですが、生体リズムの大まかな波を知っておきましょう。

活発になる時間帯と活動が低下する時間帯がそれぞれ1日に2回ずつやってきます。どちらのリズムも、起床時間によって決まります。

活発になる時間帯は、起床から4時間後と11時間後です。活動が低下する時間帯は、起床から8時間後と22時間後です。もし、6時に起床する生活の場合は、10時と17時に活発になり、14時と朝方4時には活動が低下します。

自分の生体リズムが整っているかどうかを、簡単に判定できる質問があります。

生活時間を、「午前」「午後」「夕方」「眠る前」と4つに分割してみます。この4つの時間帯の中で、〆任睫欧せ間帯はいつでしょうか? そして、∈任盡亀い任泙辰燭眠気を感じない時間帯はいつでしょうか?

■夜に頭が冴える人は要注意

本来の生体リズムでは、午前中が最も眠くなく、午後に1回目の眠気があり、夕方には眠気がなく、眠る前が最も眠い、となるはずです。

いかがでしょうか。

このリズムに該当していたら、あなたの生体リズムは整っているといえます。

ところが、ビジネスパーソンにとても多いリズムは、次のようなリズムです。

午前中は眠気があり、午後にも眠い。夕方にも居眠りしてしまうことがあり、眠る前になると眠気がなく頭が最も冴えてくる。このようなリズムでは、ただ生活しているだけでも、生体リズムと活動のミスマッチによって疲労してしまいます。

もし、あなたがこのチェックで生体リズムにズレがあることがわかったら、この機会にリズムを整えておきましょう。

■実はやめた方がいい「朝イチのメールチェック」

朝会社に着いたら、まずメールをチェックするという人は多いと思います。

生体リズムが整っていると、起床から2時間後から4時間後が、最も仕事がはかどる時間帯です。その時間帯を、メールチェックに費やしてしまうのはもったいないので、出勤したらまず、今日の仕事の中で最も重要な作業に手をつけてみましょう。

菅原洋平『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(河出書房新社)

生体リズムのスタートが揃っていると、起床2時間後には決断力が、起床3時間後には記憶力が、起床4時間後には脳波活動が活発で創造性が高まります。

このリズムをうまく活かすためには、朝出勤してから仕事を始めるときの動作から見直さなければなりません。

最もわかりやすい例が、朝イチのメールチェックをやめることです。

私が、企業で社員の方々に「生体リズムをうまく使うために朝イチのメールチェックをやめてみましょう」と提案すると、たいてい「それは困る」と言われます。「クライアントから急なメールが来ているかもしれないし、昨日仕事を終えたところから時間が経っているので、その間に進展していることもあるはず。チェックが遅れたら仕事の組み立てができなくなってしまう」という意見です。

これは当然の意見ですが、本当に朝イチのメールチェックが必要なのか、検証したわけではありません。

■朝イチのメールチェックをやめる“実験”をしてみた

そこで、まずは実験をしてみることにしました。ご協力いただけたある部門だけに限定して、朝一番にメールを見ることをやめてもらったのです。

その結果、社員の方々は困らなかったそうです。

「本当に緊急なことはどうせ電話がかかってくるので、メールでそこまで緊急を知らされることはもともとなかった」

「メールをチェックして仕事をこなしているつもりになっていたけど、よく考えたら仕事量が増えているわけではない。同じ仕事量ならば、PCを使っている分早く終わるはずなのに、そうなっていなかったということは、やはり無駄な作業をしていたのだと思う」

社員の方々からは、こんな感想が聞かれました。

朝イチのメールチェックをやめるには、かなり勇気がいります。いつも通りの動作が変わると、調子が狂うし、そもそも仕事のやり方を変えることに抵抗もあると思います。

そこで、行動を変えるには、「実験してみる」という感覚がとても大切です。

実験には、成功も失敗もありません。やってみたことで得られるデータがあるだけです。そのデータをもとに、最適な行動を選択していくという作業を繰り返していけば、おのずと望ましい行動ができるようになります。

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菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士、ユークロニア代表
1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、脳の機能を活かした人材開発を行うビジネスプランをもとに、ユークロニア株式会社を設立。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当するかたわら、企業研修を全国で展開し、その活動はテレビや雑誌でも注目を集める。著書に13万部突破『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、12万部突破『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』(文響社)など多数。
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(作業療法士、ユークロニア代表 菅原 洋平 写真=iStock.com)