はた迷惑な武勇伝 椎名林檎や森喜朗が理解できないコト /増沢 隆太
・ロック魂と老害
東日本震災後の自粛ムードは国民を萎縮させ、何をやっても不謹慎といわれる騒動も引き起こしました。今回のコロナも国民全員が今は息を殺して生きる生活を強いられています。家に閉じこもっての生活に滅入るのは誰も同じ。
そんな世間に背を向けてロックコンサートを開くのは、世間の流れに乗らないロック魂なのでしょうか?何でも自粛すれば良い訳ではなく、こんな時こそ普段と変わらない日常生活を続けるべきという姿勢でしょうか。「破天荒キャラ」の芸人さんがいますが、それは破天荒を気取っていても結局ヘタレというオチに持って行ける頭脳があって成り立っています。今の時期のイベント強行は破天荒なのではなく、単なる蔓延促進という迷惑行為です。
森元総理はオリンピック組織委員長として、コロナへの注意喚起をした発言の中で「私は最期までマスクをしないでがんばる」発言をしました。首相時代から不用意な発言で有名な森氏だけに、トンチンカンな発言は医学的根拠の無い妄言であると国際的にも批判を呼びました。
ここであげつらった方々は事態の本質を全く理解していない行動や発言として批判を浴びたのです。見当違いのロック魂と老害と呼ばれても仕方ないのではないでしょうか。震災後のような活動自粛やマスク着用は自分を守るためではありません。パンデミック阻止や少しでもピークアウトを遅らせるための「自分以外の人を守るため」のものです。それを理解していないとしか思えない行動ゆえに大きな批判を呼んでいます。
・自己完結できない事態を認識できない罪
学校の急な閉鎖や外出活動の自粛は唐突であり、十分な議論や準備の無さなど、安部政権のツッコミどころは満載だと思います。それでも「卒業の夢を壊した」「せっかく楽しみにしてた行事をつぶされた」という批判は当たらないと思います。
今最大の目標はウイルス蔓延の抑制であり、完全封鎖が出来ない中での少しでも蔓延を遅らせること。個人が罹患するかどうかは二の次三の次のはず。自粛ムードをぶっ壊すことがロックなのではなく、ライブをやれば密閉空間で罹患のリスクがあり、自己責任で来場した人以外への感染リスクを増やすからダメなのです。
あるファーストフードチェーンでは、店舗スタッフが接客時にマスクをするには本社の許可がいるとのこと。こんな非常時にすらも現状対応できないその官僚的意思決定の遅さは狂っているとしか思えません。バカげた勘違い接客サービスを強要させるようでは、せっかく回復した業績がまた再び落ちないのでしょうか。
老政治家が健康を害そうとそれはご自身の判断ですが、マスクは森氏を守るためでは無く、罹患リスクが高く、結果として他人への感染拡大リスクを高めるのを阻止するためです。椎名さん、森さん、その他ワイルドを気取る芸能人(スギちゃんでも吉村さんでもないよ)の方の野蛮行為は、他人への迷惑を考えることが出来ず、自分の利益しか見ていないと批判されるのは当然でしょう。
・本当に助けが必要な人を助けるのがロック&政治家
大企業や公務員、在宅勤務や有給休暇が取れる上級国民ではない人こそ、本当に助けなければならない人のはず。今の状況は自粛「ムード」などではなく、蔓延対策。「マスクをしないでがんばる」など、「感染拡大にがんばる」と同じ意味です。
くり返しますが、個人で完結できない暴挙で感染拡大防止の邪魔をするのはただの無知であり、身勝手としかいえないでしょう。自粛すれば防げるかどうかもちろんわかりません。しかわざわざ他人への拡散のリスクを増やす行為は、どうみても許されないと思います。あなた方の武勇伝作りのおかげで他人に迷惑をかけているのです。
自営業やパート、時給・日給制で働いている方は、自宅待機でも休業補償が受けられず、ひたすら耐え忍んでいます。ライブを中止した他の芸能人も、みなそうした負債に耐え忍んでいます。イベント中止の負債だけでなく、世の中の人、上級国民以外の人は皆同じく何一つ自分が悪くなくとも負債を負っています。この先商店や中小企業で倒産に至る例もあることでしょう。
デマに踊らされてトイレットペーパーを買い占める行為も、卒業式が出来なくなった中学生や高校生が我慢する中自分たちの活動だけを優先する行為も、精神力でコロナウイルスに対抗できるという愚かさも、皆、助けが必要な人への思いの無さであり、避難される理由だと思います。