試合の鍵を握りそうなハンダノビッチ(左)とイブラヒモビッチ(右)。(C)Getty Images

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【セリエA23節】インテルvsミラン(現地時間2月9日20時45キックオフ/サン・シーロ)
 
【インテル】
●予想スタメン(3−5−2)
GK:パデッリ(ハンダノビッチ)
DF:ゴディン(ダンブロージオ)、デフライ、シュクリニアル
MF:カンドレーバ(モーゼス、ダンブロージオ)、バレッラ、ブロゾビッチ、エリクセン(ベシーノ)、ヤング
FW:ルカク、サンチェス(エスポージト、エリクセン)
 
 通算225回目のミラノ・ダービーは、インテル優勢との見方が少なくない。過去3回でいずれも勝利を収めているインテルは、アントニオ・コンテを新監督に迎えた今シーズンのセリエAで2位(勝点51)に立っており、8位のミラン(勝点32)と大きな力の差があるのは事実だろう。
 
 ただ、不安要素が少なくないのも事実。まずはゴールマウスだ。キャプテンにして守護神のサミル・ハンダノビッチが左手小指を骨折し、前節のウディネーゼ戦を欠場。2番手のダニエレ・パデッリは実力的に大きく劣るうえ、今シーズン出場したのはウディネーゼ戦だけで試合勘に不安を抱える。
 
 それでもハンダノビッチはダービー出場を熱望し、小指をカードする特別なグローブで強行出場するという現地報道も。ただ、先を見据えてもリスクが高すぎるのは明らかで、仮にピッチに立ったとしてもいつものような安心感は期待できない。
 
 もうひとつの不安が前線。ラウタロ・マルティネスを出場停止中で、ロメル・ルカクとの「セリエA最強2トップ」が使えないのだ。3−5−2継続ならラウタロの枠にアレクシス・サンチェスかセバスティアーノ・エスポージトが収まるが、コンテ監督は7日の練習で冬に獲得したクリスティアン・エリクセンをトップ下に置く3−5−1−1もテストしている。いずれのシステムにしろ、ラウタロが使えないのは大きな痛手だ。
 
 インテルが戦力的にも戦術完成度的にも圧倒的有利には変わらないが、攻守で大きな不安要素を抱えているのは否めない。ミランに足元をすくわれる可能性はベストメンバー時よりもかなり高いだろう。
●予想スタメン(4−4−2)
GK:ドンナルンマ
DF:コンティ(カラブリア)、ケア(ムサッキオ)、ロマニョーリ、テオ
MF:カスティジェホ、ケシエ、べナセル、チャルハノール(ボナベントゥーラ)
FW:イブラヒモビッチ、レオン(レビッチ)
 
 ミランは右SBがコンティorカラブリアか、右CBがケアorムサッキオ、2トップの一角がラファエウ・レオンorアンテ・レビッチかという点が不透明で、ステーファノ・ピオーリ監督はシステムも普段の4−4−2に加えて直近のトレーニングでハカン・チャルハノールをトップ下に置く4−2−3−1もテスト。ただ、注目点はほぼ1つに絞られる。ズラタン・イブラヒモビッチのコンディションだ。
 
 1月にLAギャラクシーから約7年半ぶりにミランに帰還した「スウェーデン王」は、38歳ながらワールドクラスのプレーを連発。一時は二桁順位に沈んでいたミランを復活させ、公式戦5連勝に導いた。
 
 ところが、そのイブラヒモビッチを風邪で欠いた2月2日のヴェローナ戦は、攻撃がチグハグで1−1のドロー。38歳の大ベテランが唯一最大の頼みの綱というのは何とも情けない話だが、それが今のミランの動かしがたい事実だ。
 
 そのイブラヒモビッチは風邪が無事に完治し、7日からチーム練習に合流。スタメン出場が濃厚だ。ただ、復帰直後だけにやはりコンディション面は不安。ベストの状態ならゴールマウスに不安を抱えるインテルを十分に脅かしうるが、そうでなければミランの攻撃時自体が停滞しかねない。
 
 イブラヒモビッチ加入で輝きが増したレオン、サムエル・カスティジェホ、レビッチ、そして左SBながら攻撃の中心であるテオ・エルナンデズなどが、エースの負担をいかに軽減して攻撃で違いを作り出せるか。それが試合のポイントになるかもしれない。
 
構成:ワールドサッカーダイジェスト編集部