明治大学の運動部員が騒音を出し続けたため慢性的な睡眠不足になったとして、東京都世田谷区にあったラグビー部など運動部合宿所近くの住民が明大を相手取って慰謝料を求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であり、加藤健一裁判長は明大に計45万円の支払いを命じた。

 訴えていたのは、タクシー運転手の池ヶ谷行雄さん(74)の一家3人。運動部合宿所(現在は移転)で生活する学生らが、騒音や振動を出し続けたため、慢性的な睡眠不足に陥って日常生活にも支障をきたし、肉体的、精神的、掲載的損害を被ったとして一人当たり219万円、計873万円の慰謝料を明大に求めていた。

 判決理由で加藤裁判長は、競走部とバスケットボール部の宴会の話し声に限り、受忍限度を超える騒音があったことを認めた。

 判決によると、競走部とバスケットボール部では年3回程度、飲酒をともなう宴会を催し、午前3時ごろまで騒いでいた。明大は1996年、池ヶ谷さんらと騒音防止の合意書を交わしていたが、コーチらは学生らに周知徹底をはかっていなかった。

 池ヶ谷さんは「道路に出て酒を飲んで騒いだりしていた。マナーの悪さは、議論するレベルになかった」と語り、注意するとボールが家に蹴り込まれて家が壊されるなど嫌がらせを受けたという。また、ある部の部長には「『OBが何をするかわかりませんよ』と脅されたこともある」と明かした。

 判決を受け、池ヶ谷さんは「大学側は、騒音は近隣住民によるものだとしてしている。ラグビー部の騒音が認められなかったのは困る」と話し、控訴も検討するとしている。

 また、明大は「7−8年前に、学生たちが合宿所内でコンパなどをしたことがあるが、それは受忍限度内と考えている。判決書の内容を検討したうえで、適切な対応をしたい」とコメントを発表した。【了】