米国最大のブライダルストアチェーンであるデビッズ・ブライダル(David’s Bridal)は、1月の破産から脱したのち、再建計画に注力している。

同社は2018年11月、7億5000万ドル(約811億円)の負債を4億ドル(約432億円)に引き下げるため、破産法11条による破産保護を申請した。そして2019年6月24日、新しいCEOにジェイムズ・マーカム氏を迎えた。マーカム氏の使命は若い顧客を引き込むことだ。そのために、店頭体験の改善、マーケティング予算の従来メディアからの転換、そして、結婚の計画プロセス全体に対するツールの提供に力を入れている。

「デビッズ・ブライダルは驚異的なチャンスを示している。式服関連については、ブライダル業界の25%を占めており、そのうち1500ドル(約16万円)未満の式服販売については38%だ。全米に約300の店舗があり、私はこのビジネスでは、来店してもらうことが重要な資産だと信じている」と、マーカム氏は語る。

極めて重要な店頭体験

実店舗の小売で地位を築いているデビッズ・ブライダルは、競合するエイソス(ASOS)やアンスロポロジー(Anthropologie)傘下のビーホールディン(BHLDN)のほか、フロラビア(Floravere)などの新興勢力に対応してeコマースを強化するなかで、明確な店頭体験が十分に構築できていないと、マーカム氏はいう。デビッズ・ブライダルのD2C(Direct to consumer:直販)事業は方針の混乱が多く、買い物客の不満を招いていた。たとえば、オンラインで購入するとほぼ即時出荷で返品もできるのに対し、店頭でドレスを購入すると受け取りまでのリード時間が長く、返品もできなかった。

「実際に社内で大きな摩擦を生んでいた。新婦を当惑させ、体験が破綻しているところがあった」と、マーカム氏はいう。現在は、店頭で購入しても交換が可能になり(全額返金の返品はまだできない)、持ち帰るまでの期間も短縮された。

デビッズ・ブライダルのブライダル販売のうちeコマースは10%未満だ。それを考えるとデビッズ・ブライダルはこれから店頭体験が極めて重要になると、デジタルコンサルティング企業であるアビオノス(Avionos)の共同創業者でプリンシパルのダン・ネイウィーム氏は語る。

「デビッズ・ブライダルはこれを、結婚を控えた女性のための本物の体験にする方法を編み出す必要がある。そのとき、考えなければならないのは、来店して得た体験をもとに、他所で購入してしまうのをどうやって防ぐのかだ」と、ネイウィーム氏はいう。ファッションデザイナーのベラ・ウォンやザック・ポーゼンとのコラボレーションによるコレクションなど、デビッズ・ブライダルの商品は同社でしか扱っていないものがほとんどだが、スタイルが似たものはネットで見つかるし、そのほうが安いこともある。デビッズ・ブライダルはすでに、オンラインで買い物を予約すると購入額全体から10%を割引くサービスを実施している。

また、店頭体験の改善策としてはこの夏、予約した来店の前に回答する「MyCustomer(マイカスタマー)」というオンラインアンケートを新たに展開した。アンケートでは、ドレスの好きなシルエット、好みのネックライン、ロマンティックやクラシックといった全体のスタイル、予算などを選択できる。ドレスやブラジャーや靴のサイズも記入できる。この情報を使うことで、スタイル、サイズ、好みにもとづいてドレスを選ぶなど、店員が顧客にあったフィッティングを提供できる。

マーケティング予算の転換

しかし、いまはドレスを試すために実店舗に行く前に、手がかりを求めてウェブやソーシャルメディアにアクセスする人がほとんどだと、マーカム氏は語る。そこでデビッズ・ブライダルは、潜在顧客にブランドを提示するため、マーケティング予算をテレビや印刷物からシフトさせ、有料デジタルに力を入れている。マーカム氏は、デジタルと従来型の予算配分については明かすのを避けたが、大きく力を入れるのがペイドサーチとペイドソーシャルであることを教えてくれた。

また、フォロワー数が36万人強のインスタグラム(Instagram)を中心に、デビッズ・ブライダルのソーシャルチャネルのオーガニックな成長にも注力したいと、同氏は語った。その戦略の一環として、デビッズ・ブライダルは結婚式当日の実際の顧客をインスタグラムで取り上げている。また、ソーシャルメディア戦略に取り組み、ソーシャルチャネル全体で、ブランドのプレゼンスを向上させる専任チームの採用を計画している。

「(デビッズ・ブライダルは)重要な第1歩であるeコマース体験が機能していないことが判明した。デジタルとフィジカルのタッチポイント全体でカスタマージャーニーを把握し、適切な体験をキュレートする必要がある」と、eコマースソフトウェア企業のエラスティック・パス(Elastic Path)で最高戦略責任者を務めるダーリン・アーチャー氏は語る。「サムネイルを延々と表示するだけの月並みなeコマース体験を超える方法で商品提示しなければならない」。

目を向けるのはイベント全体

デビッズ・ブライダルは、発見と店頭体験に注力するほかに、婚約から新婚旅行まで結婚準備のプロセス全体に協力するためのパートナーシップの構築に取り組んでいる。2018年8月には、無料でギフトレジストリを作成できるプラットフォーム、ブループリント・レジストリ(Blueprint Registry)を買収した。ブループリント・レジストリとデビッズ・ブライダルは2019年6月、結婚式ウェブサイトの無料構築機能を追加した。

「花嫁だけでなく、花嫁のイベント全体に目を向けることで、このブランドのチャンスは最大化する」と、マーカム氏は語った。

Katie Richards (原文 / 訳:ガリレオ)