かつてレアルで共闘したエジルとモウリーニョ氏 photo/Getty Images 

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ポルト、チェルシー、インテル、レアル・マドリードなどの監督を歴任し、2016-2017シーズンよりマンチェスター・ユナイテッドを率いていたジョゼ・モウリーニョ氏。低迷が続いていた同クラブの立て直しを託されたものの、就任3季目に成績不振に陥り、昨年12月に解任の憂き目に。その後も監督業再開の意向を示しており、現在も再就職先について様々な噂が飛び交っているが、ウナイ・エメリ現監督の求心力が低下しつつあるアーセナルへの赴任説がここに来て浮上した。

英『squawka』は10月31日、「もしモウリーニョが実際にアーセナルに来たら」と題した記事を掲載。この特集でクローズアップされたのが、2010年から2013年まで在籍したレアル・マドリードでモウリーニョ氏の指導を受け、現在エメリ監督のもとで出場機会を失っているMFメスト・エジルだ。同メディアはレアル・マドリードの監督時代にエジルを手懐けたモウリーニョ氏を称えたうえで、同氏がアーセナルに赴くことはエジルにとってプラスに働くであろうとの見解を示している。

「エジルの自伝『The Magic of the Game』によれば、彼はチームメイトがいる前でモウリーニョに(プレイぶりを)批判され、"臆病者"と罵られたこともあったようだ。そのような出来事があったにも関わらず、エジルはモウリーニョ監督のもとで最高のプレイを披露してみせた。彼らはきっと、再会できれば互いに最高の結果を得ることができると感じているのではないか。モウリーニョはエジルが他の選手よりも優れた才能の持ち主であることを知っているし、彼の弱点も把握している。モウリーニョがエミレーツ(アーセナルの本拠地)に赴けば、エジルはトップフォームを取り戻すだろう」

ある試合後のドレッシングルームで、モウリーニョ氏より「お前は2本の美しいパスで満足だと考えている。そしてお前は50%の出来でも十分なほど優秀だと考えているんだろう」と叱責されたことを自伝で明かしているエジル。同選手がユニフォームを床に叩きつけて反発したところ、モウリーニョ氏から「もう諦めるのか、なんて臆病者なんだ。お前は一体何を考えているんだ。温かいシャワーに逃げ込みたいのか、シャンプーでもしたいのか、一人になりたいのか。それとも仲間やスタンドのファンに自分の実力を証明したいのか」と発奮を促されたというのが先述のエピソードの詳細だ。「モウリーニョはとても厳しい人だったけど、とても温かい人だった」とエジルが自伝で述懐していることをふまえると、同選手は同監督の指導を"厳しくも愛あるもの"と捉えており、当時の両者には信頼関係が存在していたことが窺える。

また、モウリーニョ氏はエジルの守備面での負担を減らすべく、トップ下の同選手の後ろに強靭な肉体を活かしたボール奪取に定評があるサミ・ケディラ、的確な読みに基づくインターセプトが持ち味のシャビ・アロンソを2ボランチで配置。フィジカルコンタクトを伴う守備が得意とは言えないエジルを冷遇するのではなく、むしろ同選手が攻撃に専念できるような中盤の構成を模索しているふしが当時のモウリーニョ氏からは感じられた。エメリ監督がエジルの持ち味を十分に引き出せていない今、同選手の起用法や人心掌握術を心得ているモウリーニョ氏をアーセナル新監督に推す声が今後高まるかもしれない。

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