アップル、香港向けiPhoneから台湾国旗の絵文字を削除。中国政府への配慮か
アップルがiOS 13.1.1以降を搭載した香港(およびマカオ)版のiPhoneから、台湾(中華民国)国旗の絵文字を削除したことが報じられています。中国は台湾を国家として認めていません。したがって、iPhoneの中国向けモデルでは以前から、絵文字の台湾国旗が取り除かれています。過去にはこのため"Taiwan"とタイプするとiPhoneがクラッシュする問題が生じ、iOS 11.4.1で修正された一件もありました。

そしてiOS 13.1.1以降ではiPhoneの香港モデルでも、台湾国旗の絵文字が使えなくなったとのこと。以前のiOS内ではこれらの地域コードは「ZP」だったところ、現在では「ZA」と変更され、中国と同様に「台湾国旗の絵文字が使えない地域」に含まれることに。iOS 13.1.1以降を搭載したiPhone XS/XR以降のモデル(XS/XR世代以前には香港モデルは存在しません)では、この制限を回避する方法はないと伝えられています。
さらに他の地域のデバイスでも、iOSでの地域設定を中国や香港、マカオに設定すると、同じく台湾国旗が絵文字キーボードから除去されて非表示となります。

とはいえ、英語で「Taiwan」と入力すると、予測変換候補として台湾国旗の絵文字が表示されるため、そちらを選ぶことは可能。そして中国モデルと違い、台湾/マカオ版iPhoneでも、それを受信して表示はできるとのことです。

こうしたiOSの仕様変更は、ちょうど香港で民主化を求める運動が激しさを増している中でのできごとです。

先週もApp Storeから香港警察追跡アプリが取り下げられ、後に一転して配信が承認されることに。その一方では米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードが香港デモを支持したeスポーツ選手を出場停止処分(同社は中国テンセントと提携関係にある)とするなど、米国企業が巨大な市場である中国への配慮に揺れる事件が相次いでいます。

ことアップルは、ティム・クックCEOがiPhone販売でも中国を重視する姿勢を打ち出しているだけに、相当の苦慮がありそうです。