ソフトバンク 世界のどこでも通話ができる衛星電話の真の姿! 万能神話に頼らない命を守る機能と価格に驚愕する

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スマートフォンで使われるモバイル通信は、日常生活で欠かせないインフラとなっている。
現在のモバイル通信は、通信速度も速く、通信障害もほとんど起きないほど整備されており、通信サービスやSNSなどで、日々の生活やコミュニケーションを支えている。

しかし、そんなモバイル通信も、山間部や離島、海上などでは、状況は一変する。
周囲に十分な基地局が設置できない一部の地域や場所では、街中のように通話や通信ができないエリアがある。

また、災害時には基地局の破損、あるいは基地局への回線が切断された場合、通信ができなくなる。

こうした基地局が設置できないエリアでも使えるのが「衛星電話」だ。

衛星電話は人工衛星を利用した通信のため、衛星のカバーエリア内であれば日本だけでなく、国や地域を越えた地球規模での通信手段といえる。

今回は、ソフトバンクの衛星電話の魅力について迫ってみたい。


■日本全国をほぼ100%カバーする! ソフトバンク衛星電話
ソフトバンクは、スマートフォンや携帯電話といった移動体通信事業、および長距離通信や国際通信を提供する電気通信事業者だ。

2006年、ソフトバンクは移動体通信事業を本格的に開始した。
NTTドコモやKDDI(au)などに比べると後発となるが、いちはやくiPhoneの国内販売を開始するなど、他社にない積極的なビジネス展開により現在では国内3大キャリアと呼ばれるまでに成長している。

そんなソフトバンクが扱っているもう1つの通信サービスが「ソフトバンク衛星電話」だ。

今回インタビューに応じていただいたのは、
ソフトバンク グローバル事業戦略本部 衛星事業推進部 衛星サービス課 関澤吉修氏(49歳)だ。


ソフトバンク グローバル事業戦略本部 衛星事業推進部 衛星サービス課 関澤吉修氏


関澤吉修氏は、
2001年4月にJ-フォンに入社。携帯電話事業に携わる。
2001年10月にJ-フォングループが英ボーダフォングループの傘下になったことに伴い、J-フォンからボーダフォンに移籍。
その後、
2006年4月にボーダフォン(株)がソフトバンクグループ傘下に。
2006年10月にソフトバンクモバイルに商号を変更。
2015年7月にソフトバンクモバイルからソフトバンクに商号を変更し、現在に至る。
このように社名が幾度となく変更される状況下でも、一貫して通信事業に携わってきた。
現在は衛星携帯電話を担当している。

ソフトバンク衛星電話は2013年に、アラブ首長国連邦(UAE)のThuraya Telecommunications Company(スラヤ テレコミュニケーション カンパニー)が提供する衛星通信設備を利用してサービスを開始。
・専用の料金プラン
・衛星携帯電話「SoftBank 201TH」
これらの提供を開始する。
現在は、衛星携帯電話「SoftBank 501TH」を販売するとともに、衛星電話のサービス拡充を図っている。

SoftBank 501THは、北南米などの一部の国と地域を除く全世界での利用が可能で、日本全国をカバーしている。

但し、電波天文観測所への影響から一部利用制限エリアがあり、原則平常時の利用は禁止されている。(災害発生時の人命が優先される緊急時は利用可能)


ソフトバンク衛星電話の対応エリア(画像提供:ソフトバンク)


関澤吉修氏
「技術的にはエリア内であっても、衛星電話の利用を禁止する国もあります。
渡航前に大使館等にお問い合わせいただき、最新の情報をご確認いただくことをお勧めしております。」


■意外に知らない? ソフトバンクの衛星電話とは、どういう電話なのか
衛星電話とは、人工衛星を利用した移動体通信のことだ。
これだけ聞けば、なんとなくわかった気になる。
しかし、実際の衛星電話についてわかっている人は非常に少ない。

一般の人が知っているのは、災害などで普段使っているスマートフォンが使えなくなっても、衛星電話であれば、通話できる。世界中どこでも使える万能な電話。
そんな程度だろう。

実は、それほど単純なものでも、万能なものではない。

衛星携帯電話が利用している衛星には主に2つの種類がある。
・周回衛星
・静止衛星

周回衛星とは、比較的低軌道を周回している移動衛星だ。
周回衛星は、地球の周囲を移動するため、アンテナの方向を考慮する必要がない。
但し、十分に上空が開けていないと安定した通信ができない。

静止衛星とは、地上3万6000kmにある静止衛星を利用する。
衛星は地上から見ると静止しているため、衛星電話のアンテナを衛星に向ける必要はあるが、いったん接続すれば安定して通信を行うことができる。

関澤吉修氏
「弊社の場合は静止衛星のタイプで、衛星の位置はインドネシアの上空あたり。従って日本でご利用いただく場合はアンテナを南西に向けていただきます。」

ソフトバンク衛星電話の電波は、われわれが日常で使っているスマートフォンの電波とは異なり、宇宙空間に向かう。
では、その後、どうなるのだろうか?

関澤吉修氏
「衛星電話から日本国内の固定電話にかける場合、(衛星電話の電波は)通信衛星、UAEの地球局を経由して、日本に入ってきます。このルートはソフトバンクの専用回線となります。

専用回線を使うことで、高い通信品質を確保することができます。」


ソフトバンク衛星電話の最新機種「SoftBank 501TH」
本体に搭載するアンテナを伸ばした状態


現在われわれが日常で使っているスマートフォンは、通信アンテナが本体に内蔵されており、アンテナを伸ばしたり、アンテナの向きを変えたりするといった操作は必要ない。

しかし衛星電話「SoftBank 501TH」では、
・利用時はアンテナを伸ばす必要がある
・アンテナを向ける方向は決まっている
これは衛星を使っていることに理由がある。

「SoftBank 501TH」をはじめ、ソフトバンク衛星電話は、スラヤの静止衛星を利用している。
スラヤの静止衛星は、地球の自転速度にあわせて周回しているため、地上からは南西の空に静止しているようにみえる。そして衛星電話端末が受信する電波は、スマートフォンのそれに比較して極めて微弱だ。

そのため、ソフトバンク衛星電話を利用する際は、携帯電話のアンテナをしっかりと伸ばした状態で、衛星がある南西の空にアンテナを向ける必要があるのだ。

南西方向にビルなどの障害物があると電波が遮蔽される。安定した通信を確保するには南西の空が開けた場所であることが重要なのだ。


アンテナの角度と方向に注意(画像提供:ソフトバンク)


電波の受信強度は、「SoftBank 501TH」の画面左上にあるアンテナマークで確認できる。
・最大5本のアンテナマークの表示
・「Thuraya JAPAN」の表示
これで、利用が可能となる。

通話中にアンテナが南西方向から逸れると、電波が途切れてしまうのでアンテナは常に南西に向けておく必要がある。

関澤吉修氏
「(SoftBank 501THには)スピーカーフォンの機能があります。アンテナの方向をそれほど意識することなしに、スピーカーを使ってクリアな音声で通信することが可能です。」


一般のスマートフォンを使っている人からすれば、南西の方向にアンテナを向けなければ通信ができないというのは意識しづらいが、スピーカーフォンの機能でかなりカバーできる。


関澤吉修氏
「衛星電話は、法人様に導入していただくことが多く、ほとんどがBCP対策です。」

BCPとは、企業が災害やテロ攻撃などの緊急事態に遭遇したとき、損害を最小限にとどめるとともに早期の復旧を実現するための計画のことで、事業継続計画ともいわれている。

衛星電話の主目的は、災害などの緊急事態でも繋がることだ。
・衛星の方向にアンテナを向ける必要がある
・衛星と端末の間に見通しが必要
こうした制限から、屋外利用がメインとなる。

しかし衛星電話を屋内でも利用したいというニーズも当然ある。
そこでソフトバンクでは、屋内で衛星電話を利用するために、
「屋内ソリューション」
これをオプションとして用意しているという。

屋内ソリューションでは、
・アンテナを屋外に設置
・固定電話タイプのドッキングユニット「FDU-XT」を用意
・「FDU-XT」に「SoftBank 501TH」をセットして通話


屋内ソリューション「FDU-XT」にセットした状態の「SoftBank 501TH」
(画像提供:ソフトバンク)


この「屋内ソリューション」を使えば固定電話のように、屋内でも利用することができる。
さらにソフトバンクでは、自動車内でも衛星電話「SoftBank 501TH」が利用できる「車載アンテナキット」もオプションとして用意している。車載アンテナキットがあれば、車内でも衛星電話を利用することができる。


車載アンテナキット「SAT-VDA PRO/SAT-Docker PRO」と「SoftBank 501TH」
(画像提供:ソフトバンク)



車載アンテナキットの利用イメージ(画像提供:ソフトバンク)



車載アンテナキットの利用イメージ(画像提供:ソフトバンク)



■後発だからこそ、他社にないメリットで勝負をかける
ソフトバンク衛星電話は、NTTドコモやKDDIに比べれば、後発となるサービスだ。
後発というデメリットを挽回してきた裏には、他社にはないメリットもあるはずだ。

関澤吉修氏
「弊社の参入は2013年と他社様よりも参入が遅かったのですが、その時点で最も性能が高い端末を採用しました。

国内で最小・最軽量の端末であることだけでなく、ダイヤル手順がシンプルであること、緊急機関に接続できるなどが、弊社の衛星電話の特色となっています。」

ソフトバンク衛星電話のメリットをまとめてみると、
・安価な導入料金が提供できる
・国内最小モデル
・ダイヤル(発信方法)がシンプルで使いやすい
・緊急機関にも繋がる


○導入料金が安価
「SoftBank 501TH」は、2017年1月に発売されたモデル。
価格は、8万7,600円(税込み)。
正直、現在のハイエンドなスマートフォンよりも価格が安いのは驚きだ。

衛星電話の料金プランは、2プランが用意されている。
・衛星電話バリュープラン
・衛星電話プラン
この2つのプラン違いは、2年の契約縛りがあるか、ないかだ。


ソフトバンク衛星電話の料金プラン。1,000円分の無料通信が付いている


料金を抑える施策として、2つの割引きも用意されいる。
・ソフトバンク衛星電話の割引オプション
・通信料割引


ソフトバンク衛星電話の割引オプション



月々の利用料金。条件を満たせば、通信料割引が適用される


衛星電話といえば、山岳地や秘境など世界のどこでも使える反面、価格も高い。
そうした先入観は、ソフトバンク衛星電話で、良い意味で打ち砕かれた。

ソフトバンク衛星電話は、普段われわれが利用しているスマートフォンと変わらない価格で利用できることに驚かされた。

法人向けの製品・サービスであるソフトバンク衛星電話だが、この本体価格と通信料金であるならば個人で所有することも十二分に可能だ。
ソフトバンクによると。実際、企業だけでなく、個人で契約している利用者もいるとのこと。


○性能が高い端末
「SoftBank 501TH」は、他社の衛星電話に比べて比較的新しい機種である。
特徴としては、小型で軽量であるのに加え、バッテリーの持ちが良い点がある。
・本体サイズは約53×128×27mm
・重さは212g。
・連続通話時間は約9時間
・連続待受時間は約100時間
・画面サイズは約2.4インチ(240×320ドット)
・液晶はQVGA(240×320ドット)、最大26万色
・防水・防じん(IP55)性能に対応
・耐衝撃保護(IK05)に対応
・ボディカラーは、ブラックのみ

NTTドコモの衛星電話「ワイドスターII 衛星可搬端末 01」は、アンテナが大きく、携帯時には四角い大きな本体を持ち歩かなければならない。

KDDIの衛星電話は、
・移動衛星を使うタイプ:イリジウム衛星携帯電話「9555」「Extreme」 
・静止衛星を使うタイプ:インマルサット衛星携帯電話「IsatPhone Pro」「IsatPhone 2」
この4機種となる。

イリジウム衛星携帯電話「9555」「Extreme」 は、通話時間が最大4時間と、「SoftBank 501TH」に比べて、通話時間が短い。
インマルサット衛星携帯電話「IsatPhone Pro」「IsatPhone 2」は、通話時間が最大8時間だが、本体サイズが「SoftBank 501TH」に比べて大きくなる。

そのほか、「SoftBank 501TH」のメリットには「SOSボタン」がある。
SOSボタンは、ボタンを長押しすることで、あらかじめ登録した連絡先に、音声またはSMSを自動発信することができる。これは本体に電源が入っていない状態でも動作するため、緊急時の安否確認や通知ができる大きなメリットといえる。


SOSボタンを長押しすることで、あらかじめ登録した連絡先へ、音声またはSMSを自動発信できる


日本でも、携帯電話が圏外となるような山地、海上など、SOSボタンが必要となりそうな場所はいくつもある。また最近の地震や豪雨災害など、「SoftBank 501TH」のSOSボタンは、緊急時の心強い機能となるに違いない。

さらに「SoftBank 501TH」では、日本語に対応しており(注1)、緊急時に音声通話で連絡がとれない場合でも、日本語でショートメッセージ(SMS)を送信することができる。
(注1 SOSボタンによるメッセージ発信は英語のみ。)


「SOS」の設定画面。日本語表示に対応している


○ダイヤル(発信方法)がシンプル
「SoftBank 501TH」では、国番号無しで音声発信ができるのがメリットだ。
海外の通信衛星を使った衛星電話では、衛星ネットワークが日本のものではなく、一つの独立した国のようなものであるため、日本との通信は国際通信となる。
よって、
衛星電話から日本国内に電話をかける際、相手の電話番号の先頭に「国番号」を付ける必要があるのだ。
たとえば、日本の国番号は「+81」なので、
「03-0000-0000」の番号の場合、電話番号の最初の「0」を抜き
「+81-3-0000-0000」と入力して発信する必要がある。

ところが、ソフトバンクの衛星電話では、国内の相手であれば、この国番号が不要なのだという。

関澤吉修氏
「弊社の場合、ネットワークの中で差分を吸収しますので、衛星電話が日本国内にあれば、『080』『03』など国内への番号へは、そのままのかたちで電話をかけられます。非常にシンプルになっています。」

「SoftBank 501TH」では、電話をかける相手が日本にいれば、日本の携帯電話と同じダイヤル操作となる。ただ電話をかける相手が海外の場合は、今までの国際電話と同じ方法となる。


○緊急機関に繋がる
・警察
・消防、救急
・海上保安庁
これらの緊急機関への発信ができるのも、「SoftBank 501TH」の強みだ。
事故や事件、災害時などの緊急時でも安心できる。


「SoftBank 501TH」は、緊急機関への発信ができる(画像提供:ソフトバンク)


■ソフトバンク衛星電話にかける想い
ソフトバンク衛星電話の導入事例について聞いてみた。

関澤吉修氏
「業種はですね。ここだからというのはなくて、あまねく、いろいろな業界に導入していただいています。」

主要省庁、官公庁、主要自治体などのほかに、災害への意識が高い法人も導入しているという。さらに工事現場の需要がある。

たとえば、携帯電話の圏外で、道路工事をしたい、ダムの建設工事をしたい、というような建築関連の法人などがあるそうだ。また災害時に医療機器を避難場所へ持って行く会社でも使われているという。

関澤吉修氏
「小笠原ヨットレースでの活用事例もあります。
父島から三浦半島まで、500マイルに渡るヨットレースがありましたが、そこのレースの中で1日2回、安全確認のために本部に電話をしなければいけないというルールがあるんです。
ロールコールというんですけれども、そのロールコールに弊社の衛星電話をお使いいただきました。」

小笠原ヨットレースとは、日本セーリング連盟が主催するヨットレース。
小笠原父島から三浦半島小網代沖まで500マイルを走り、タイムを競う。
ヨットの位置情報はGPSで把握できるが、ヨットレースに参加している人の状態は、GPSだけではわからない。

音声で通話すると、その人が精神状態や危険、トラブルの有無など、参加者の音声から伝わってくるという。そこでソフトバンクがスポンサーのかたちで参加して、衛星電話を貸し出し、屋内ソリューションを開催本部に設置して通信を行ったそうだ。


さて、ソフトバンク衛星電話の購入についてだ。
一般のお客様向けには、基本的にはウェブサイトからの購入となるという。

関澤吉修氏
「法人のお客様には弊社の営業もございますし、あとは年に何回か展示会に出展したり、セミナーで講演をやっていたりもします。展示会、セミナーであれば、企業様の総務ですとか、危機管理部門の方がピンポイントでいらっしゃっているので、その場でお話をさせていただいています。」

最後に、ソフトバンク衛星電話にかける関澤吉修氏の思いも聞いてみた。

関澤吉修氏
「ケータイの通信エリア外となる海や山だけではなく、大規模災害発生時など通常の携帯電話がつながりにくい状況で真価を発揮します。
自然災害の多い日本において、BCP対策など緊急時の通信手段として高まるニーズにお答えしていきたいと考えております。」

「備えあれば憂いなし」ということわざがある。日頃から万が一の有事に備えておけば、どんなことが起きても慌てることがないという意味だ。

日本国内だけでなく世界中で、災害はどこかで起き続けている。
このことを考えれば、衛星電話は、万が一の有事に備えとなる命を守る道具なのだ。

ソフトバンク衛星電話


執筆:ITライフハック 関口哲司
撮影:2106bpm、関口哲司