東京ヤクルトスワローズのスポンサーから球界参入を行う〉

 今年2月、プロ野球のヤクルトとスポンサー契約を結んだIT大手のミクシィ。その社内文書には極秘に“球団買収”を検討し、5カ年計画で経営に参画する青写真が描かれていた。

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「モンスト」の爆発的ヒットからスポーツ事業へ

 日本のSNSの草分け的存在であるミクシィは、2013年リリースのスマホゲーム「モンスターストライク」(以下、モンスト)が爆発的ヒット。16年には2087億円超の売上高を記録したが、その後は新規事業としてスポーツ分野への進出に注力してきた。


スポーツ各界に進出 ©文藝春秋

「17年に男子プロバスケットボール、Bリーグ所属の『千葉ジェッツふなばし』とパートナーシップ契約を結び、のちに資本提携して事実上のオーナーとなりました。サッカーではJ1の『FC東京』とスポンサー契約。そして昨年6月、モンスト成功の立役者、木村弘毅氏が社長に就任すると、スポーツ事業へのシフトがより顕著となり、チーム運営だけでなく、スタジアム経営などの事業展開も模索し始めました。そうしたなかで、今年球団設立50周年を迎えたヤクルトへの支援を表明したのです」(スポーツ紙記者)

野球好きの木村社長は“朝会”で素振り

 同社でスポーツビジネスの司令塔役を担っているのが、社長室直轄の“スポーツ事業推進室”だ。

「現場を統括しているのは野村総研などでコンサルタント経験がある日本女子プロ野球機構の元理事です。彼の下にプロ野球の独立リーグ・BCリーグの元事業部長などがいます。木村社長は野球好きで、社内で“朝会”と呼ばれるミーティングの場で素振りをしたり、『野球チームが欲しい』と度々発言していました。ヤクルトを選んだのは、ミクシィの本社がある東京を拠点としているチームだからです」(ミクシィ関係者)

「ぽっと出のゲーム会社が……」と思われないように

 今年1月、そのスポーツ事業推進室が役員会への報告資料などを作成し、マーケティング面からヤクルト買収を検証。5カ年計画で50%の株式を取得して共同経営者となり、〈「ぽっと出のゲーム会社が、お金が余っているからスポンサーしてユーザー増やしたいんでしょ」と思われないように〉(冒頭の社内文書より)慎重に買収を進めていく計画をまとめている。

「今季、ヤクルトに支払われたスポンサー料は“破格の金額”と報じられましたが、実際はヘルメットとユニフォームの広告料やマーケティング協力費などで計4億6500万円。そこを足掛かりに、全株を取得した場合の買収金額を106億円から131億円とすでに社内で推計済みで、その投資額に見合う市場インパクトも十分あると見込んでいるのです」(前出・ミクシィ関係者)

神宮球場経営権取得も――ミクシィの壮大な計画

 買収資金は、過去の事例ではソフトバンクが約200億円、DeNAは約65億円を要したとされる。

「ミクシィは来年開催される東京五輪後の神宮外苑の再開発への関与も模索。明治神宮が保有する神宮球場の、建て替え後の経営権取得まで視野に入れた壮大な計画を立てています」(同前)

 ヤクルト買収の検討についてミクシィ側はメールでこう回答した。

「あくまで当社が検討し得る選択肢の1つであり(中略)、未来の構想として、広く検討すべきことであると考えております。そのため、スワローズ様への申し入れや協議を行っているものではございません」

 肝心のヤクルトは目下、リーグ最下位だが、ミクシィの買収計画は球界に波紋を呼びそうだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年8月15・22日号)