iPhoneの「通話」をもっと便利に安く使う裏技
通話料金から電話に出れないときの保留など、「通話」に関する裏技をご紹介します(写真:eli_asenova/iStock)
音声通話のために利用されていたかつての携帯電話とは異なり、iPhoneをはじめとしたスマートフォンは、データ通信がその用途の大半を占める。一方で、音声通話のニーズは依然として高く、とくに緊急時などは、電話で用件を伝えるという向きも多いはずだ。
ただ、大手通信会社は軒並み通話料が高く、通話定額を利用しない場合、30秒20円の料金がかかる。長電話すると、それだけ料金が高くなってしまう。この料金を抑えられれば、毎月の支払額を減らすこともできる。
また、iPhoneは音声通話も機能が多彩だ。通話時の操作もタッチで直感的にできる反面、多機能ゆえに、長押しなどを駆使しなければ出てこないメニューもある。設定で変更できる機能もあり、使いこなせば、もっと音声通話を活用できる。今回は、音声通話の料金を下げつつ、より便利に使うための裏技を紹介していきたい。音声通話は、携帯電話の基本といえるだけに、覚えておいて損はないだろう。
1. 番号そのままで通話料が半額になる「中継電話」
通信方式の進化や設備の容量の増加に伴い、データ通信料の単価は落ちている一方、通話料は何年間も、30秒20円に据え置かれたままだ。もちろん、大手通信事業者の料金プランには、音声通話定額があり、それを選べば一定以上の金額はかからないが、たまに通話を使う程度だと、料金の元を取れない可能性もある。一方で、普段あまり通話しないからといって従量制のプランを選ぶと、うっかり長電話してしまった際に、料金が跳ね上がってしまう。
iPhoneにはIP電話アプリもあるため、これを活用すれば通話料を割安にすることはできる。ただ、IP電話には、携帯電話の電話番号をそのまま移すことはできない。会社などの固定電話にかけるぶんにはいいかもしれないが、友だちに通知する番号としては、少々使いづらい。またIP電話サービスは、あくまでベストエフォートなため、データ通信が混み合って速度が落ちている場合、遅延などが生じてしまうのも弱点といえる。
普段の電話番号を使いつつ、料金を抑えたい――そんな相反するニーズを満たすのが、「中継電話」と呼ばれるサービスだ。中継電話とは、電話を接続するための経路を変えて実現するサービス。具体的には、電話番号の頭にプレフィックスと呼ばれる6ケタの番号をつけることで大手通信事業者の設備を迂回できる仕組みで、さまざまな事業者がサービスを提供しているが、料金はおおむね、大手通信事業者より割安だ。
いつもの電話番号で発信でき、料金が半額になる「楽天でんわ」(筆者撮影)
中継電話は、格安スマホ事業者が割安な通話料を実現するためのサービスとしてユーザーに提供しているが、中には大手通信事業者と契約したまま利用できるものもある。
楽天モバイルのサービスである「楽天でんわ」も、その1つだ。同サービスの通話料は、30秒10円と大手通信事業者の半額。あらかじめサービスを申し込んでおき、電話番号の頭に、「0037-68」をつけて発信するだけで、この料金が適用される。電話をかけた相手には、普段使っているのと同じ電話番号が通知される。
毎回電話するたびに「0037-68」をつけるのは面倒という場合は、アプリを活用するといい。楽天でんわアプリで発信すると、自動的に電話帳の電話番号の頭に、「0037-68」が付与され、楽天でんわの料金で通話できる。国内電話だけでなく、国際電話も一律で1分20円と、非常に安い。電話の利用量に波のある人には、お得なサービスといえるだろう。
2. 消音ボタンの長押しで、通話を保留にできる
通話中に出てきた話題でわからないことがあったとき、近くにいる家族や同僚にその場で確認してから答えるというシーンはよくあるはずだ。
「消音」ボタンを長押しすると、「保留」に切り替わる(筆者撮影)
例えば、家族で行くスポーツ大会のチケット予約を電話でする場合、登録しなければならない個人情報をその場で聞き、オペレーターの質問に答えるといったケースがそれだ。相手に会話が筒抜けになってしまうのはできれば避けたい。
このようなときに活用するのが「保留」と呼ばれる機能だが、通話中に表示されるボタンの中には、保留が見当たらない。ただ、iPhoneが保留機能に対応していないというわけではない。実は通話中に、あるボタンを長押しすると、保留を呼び出すことができる。
通話中に、本体から顔を離すと、画面上に6つのボタンが表示される。左上にある「消音」ボタンをタップすると、マイクが音声を拾わなくなるが、このボタン4〜5秒程度長押しすると、消音が保留になる。
保留にすると、相手には「ただいま保留中です。しばらくお待ちください」というメッセージとともに、バッハの「メヌエット ト長調」が流れ、その旨が伝わる。消音でもこちら側の音は聞こえなくなるが、何も音が流れないと、電波が悪いと勘違いされてしまうおそれもある。相手を待たせなければならないときは、保留を活用するといいだろう。
保留を終了したいときは、同じボタンをタップするだけでOKだ。ちなみに、保留音は残念ながら変更できない。また、着信と同時に保留にすることもできない。あくまで通話中に保留にしたい場面で使う機能として活用したい。
3.「メッセージでの返信」は編集もできる
電車での移動中などに電話がかかってきたとき、いきなり「拒否」ボタンを押してしまうと、相手に理由が伝わらない。電波の状況が悪かったのかと思った相手が再度電話をかけてしまい、何度も拒否ボタンをタップしたという経験がある人もいるだろう。このようなときには、メッセージで返信する機能が便利だ。着信中に、「メッセージを送信」をタップすると、3つの定型文と「カスタム」を選択することができる。
定型文は、「現在電話に出られません」「向かっています」「あとでかけ直します」の3つだ。電話に出られないことが簡潔に述べられている反面、短すぎて状況が伝わらないのはネック。一方でカスタムを選ぶと、メッセージを作成しなければならず、急いで電話を切りたいときには使いづらい。実はこの定型文は、設定で編集することができる。
電話に出られないときのメッセージは、「設定」→「電話」→「テキストメッセージで返信」で編集できる。ただし設定できるのは3つまで(筆者撮影)
シチュエーションをより明確にしておけば、相手に自分の状況を伝えやすくなるため、標準のままで使わず、少し長めの文章に変更しておくといいだろう。
例えば、「現在電話に出られません」を「電車で移動中のため、電話に出られません。後ほど折り返します」に変更しておけば、自分が移動中で、一時的に電話に出られないことが相手にわかりやすくなる。会議で電話に出られないことが多い場合は、「会議中なので、終了後に折り返します」としておけばいいだろう
「あとでかけ直します」も、「今、手が離せないので、終わったら折り返します」などとしておけば、より丁寧な印象になる。目上の相手にメッセージで返信するときには、こちらのほうがいいだろう。逆に、セールスの電話などであまり自分から電話したくない電話を受けたようなときは、「後ほどおかけ直しください」などとしておけば、折り返す必要もなくなる。用途に応じて、編集しておくようにしたい。
定型文は、「設定」の中にある「電話」から「テキストメッセージで返信」で編集できる。標準の3つが薄い文字で表示されるため、その上から定型文にしたい文章を入力するだけだ。元に戻したいときは、入力した文章をすべて消去すればよい。電話に出られないことが多い人は、積極的に活用したい機能だ。