都立立川vs都立杉並

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活路を見出したチェンジアップ。立川・富田が強力・杉並打線を抑え、5安打完封!

 昨年、日大三に接戦を演じるなど着々と実力をつけている都立杉並と立川市内では進学校として注目される都立立川。都立杉並は昨年から主軸打者として活躍した磯貝愛弥が4番に座り、スイングが鋭い打者が実に多い。

 その強力打線を封じたのが都立立川のエース・富田健祐だ。ストレートは120キロ前半と速くないが、両サイドへ投げ分ける制球力の高さが光る。そして都立杉並打線が手を焼いたのが手元で大きく落ちるチェンジアップだ。100キロ前後のスピードで大きく落ちるチェンジアップは魔球ともいっていいものだ。このチェンジアップはカウントを取る球、三振を取る球の2つがある。

「うまく投げ分けができた」と答える富田。次々と打ち取り、スコアボードに0を並べる。 富田の生命線ともいえるチェンジアップ。この球を決め球に見出そうとしたきっかけは1年秋のこと。当時はストレートとスライダーをコンビネーションにしていたが、思うような結果が残せなかった。

「自分のストレートのスピードだけでは勝負できないことがわかったのでチェンジアップを習得しようと思ったんです」

 そこでお手本にしたのが田浦 文丸(秀岳館-ソフトバンク)だ。田浦の魔球ともいえるチェンジアップにあこがれ、OKボールの握りで、来る日も来る日も練習を重ねた。

 2年夏には試合で使えるまでにはなったが、まだ決め球と呼べるほどではなく、大会直前まで思うような変化球が投げられなかった。しかし大会に入ると、「仲間の声援が本当に心強くて、突然、投げられるようになったんです」と笑顔を見せた富田。そのチェンジアップは都立屈指の強力打線を抑えるレベルになったのである。そして終盤になっても富田の投球は全く衰えを見せなかった。むしろすごみが増していた。「スタミナは大丈夫でした。本当にスタンドの応援がすごくて、それが力になっていたんです」 結果、富田は9回を投げて、被安打5、5奪三振、3四死球で見事に完封勝利を挙げた。しかも公式戦初完封。さらに今大会は16回を投げていまだ無失点だ。

 4回戦へ向けて、富田は「まだ不用意に投げているところがあって甘さがあります。次の相手も強力打線なので、気を付けていきたい」と意気込んだ。120キロ前半でも、緩急を使えば勝負ができることを示した富田。 その投球はまさに左投手のお手本だった。

(文=河嶋 宗一)

 

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◇15日の試合

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