2019年上半期(1〜6月)の「人手不足倒産」が89件発生、なお増加を続けている

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「人手不足倒産」が増加、通年で過去最多を更新する可能性も

 帝国データバンクの調査では、2019年上半期(1〜6月)の「人手不足倒産」が89件発生したことが明らかになった。前年同期(2018年1〜6月)を27.1%上回り、2013年の調査開始以降で過去最多を更新した。企業における人手不足感が過去最高レベルに達するなか、人手不足倒産は2019年も引き続き大幅な増加傾向にあり、通年で過去最多を更新する可能性も出てきた。

 業種別にみると、最も多かったのは「建設業」の32件だった。2018年上半期(18件)と比較すると約2倍の水準となり、職人不足による工期遅延や労務費の上昇による資金繰りの悪化、慢性的な作業員や施工管理者の不足が深刻化していることも影響した。

 また、業種細分類の過去累積件数では「道路貨物運送」が55件で最多。通販市場の拡大などを受け、配送需要が拡大基調のなか、ドライバー不足により仕事を受けられず、固定費負担が経営を圧迫した倒産が目立つ。「老人福祉事業」でも、有資格スタッフの確保難や離職者の増加から十分なサービスを提供できなくなったケースなど33件発生している。

「後継者難」による倒産も増加、人材不足が経営リスクに

 「後継者難」による倒産も増えている。代表者が病気やケガで死亡、あるいは営業現場から長期に離脱せざるを得なかったことなど、後継者不在で企業活動が困難になったことに起因した「後継者難倒産」は206件発生したことが明らかになっている。「人手不足倒産」と合わせると、経営資源の“人材”不足に由来する倒産は全国で295件に達し、前年同期(255件)を大幅に上回るペースだ。全国の企業倒産が低水準で推移するなかで、「人材」不足に起因した倒産の増勢ぶりは近年の倒産トレンドにおいて特筆すべき特徴の一つと言え、今後の動向には注視が必要だ。