美濃屋吉兵衛商店が経営していた店舗(帝国データバンク撮影)

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水産練り製品は皇室献上品に選ばれるなど高いブランド力を持っていた

 (株)美濃屋吉兵衛商店(TDB企業コード:764017151、資本金4150万円、神奈川県小田原市成田944−6、登記面=神奈川県小田原市栄町1−2−11、代表鈴木貴代美氏)は、6月5日に東京地裁へ自己破産を申請し、19日に破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は魚谷隆英弁護士(東京都中央区京橋2−12−11 杉山ビル4階、うおや総合法律事務所、電話03−3562−7770)。

 当社は、天正年間創業の老舗水産練り製品メーカーである旧・(株)美濃屋吉兵衛商店を前身企業に持つ。2015年(平成27年)11月に設立され、会社分割により旧会社から事業を承継していた。

 前身の旧・(株)美濃屋吉兵衛商店は、450年以上の業歴を有し、水産練り製品については、皇室献上品に選ばれるなど小田原を代表する企業として高いブランド力を持ち、2004年3月期の年売上高は約16億9200万円を計上していた。しかし、食の多様化による日本食離れや消費不況により、当社が扱う蒲鉾・漬物等の消費が減少基調で推移。過去の不動産取得や設備投資に伴う借り入れ負担も重荷となるなか、2015年1月に横浜地裁小田原支部へ民事再生法の適用を申請していた。

 その後、大口債権者である金融機関との話し合いから方針を変更、同年3月に申し立てを取り下げていた。2016年に当社が旧会社から、水産加工食品および漬物の製造販売に関わる権利義務を吸収分割により承継していた(旧会社は2017年10月に特別清算)。
 2016年3月末に旧会社から当社に従業員が転籍し、翌4月から当社として実質的な営業活動をスタートしていたが、2018年1月期の年売上高は約4億円にとどまり、収益性に乏しい状況が続いていた。このため、地元同業筋に支援を要請したものの奏功せず、5月31日に小売店舗を閉店し今回の措置となった。

 負債は債権者約130名に対し約1億3000万円だが今後増える見込み。