香港「逃亡犯条例改正反対デモ」で話題の防暴銃、ゴム弾、布袋弾って何だ?:世永玲生の電網マイノリティ
香港の「逃亡犯条例改正反対デモ」、皆さんも気にかけているのではないでしょうか。そして、日本ではあまり馴染みのない「ゴム弾」「防暴銃」「布袋弾」が使用されたと話題になっています。

今回はこの「ゴム弾」「防暴銃」「布袋弾」って何なのか? についてお話させていただきたいと思います。

そもそも「防暴銃」とはなんなのか?

日本ではあまり聞き馴染みのない「防暴銃」と「布袋弾」。「防暴銃」は銃の名前、「ゴム弾」や「布袋弾」は弾丸の名前です。

そして今回使われた「防暴銃」は「97式18.4mm系列」。主にポンプアクションの散弾銃で、暴徒鎮圧用に使われることから「ライアットガン」とも呼ばれています。

様々なシリーズが生産されており、



半自動のモデルもありますが、口径は全て18.4mmとなっています。


画像はbbs.tiexue.netの投稿より

見た目はまんま軍用ショットガンです。

様々な弾が使用可能

この銃は目的に応じて様々な弾薬が使用できます。

ここでは主だった6種類の弾薬を説明します。



97式18.4mm殺傷弾 22発の鉛玉が発射される殺傷弾。「防暴銃」はその口径から一般的な狩猟用の散弾等が利用できなくなっており、「殺傷弾」に関しては厳重に管理される方針だそうです。

97式18.4mmゴム散弾
鉛の球の代わりにゴム製の球が8粒入った散弾です。主に暴徒を散開させる用途で使用されます。



18.4mm染色弾
容易に落とすことができない染色剤で暴徒が逃走しても特定できるようにする弾丸です。

18.4mm布袋弾

海外ではビーンバッグ弾と呼ばれているもの。今回のデモで発射されたと言われており、仕組み的には鉛の細かい粒を布袋に包んだものです。

こちらに関しては動画があるので後ほどご紹介します。



97式18.4mmゴム弾

▲百度百科より

8.6gのゴム弾1発で、有効射程は35m。こちらも今回使用されていると言われている弾丸です。

97式18.4mm催涙弾

CSガスの発煙装置を内包する弾丸。20平方mの範囲に催涙ガスを噴霧する。

これらの他、33mm催涙榴弾や、木製の弾頭を発射する弾薬も存在すると言われています。

殺傷弾を除く弾薬は基本的には「非致死性兵器」、最近ですと「低致死性兵器」と呼ばれているもの。その名の通り攻撃対象を死に至らせず、無力化・鎮圧する為の兵器です。

催涙スプレーや、各種無力化ガス、テーザーガン等もこれらに含まれ、今回発射されたと言われている「ゴム弾」「布袋弾」も同様です。

さて、「低致死性」とはいえ、これらはどれだけの威力があるのでしょうか。

ダミー人形がひしゃげる程の威力



上記の動画は41gのビーンバッグ弾と、6gのゴム弾の実射テストの様子です。

防暴銃の「布袋弾」が45g、「ゴム弾」が8gですから、これ動画以上の威力があると考えて良いと思います。



まずこちらがビーンバッグ弾。ゴム製のダミー人形の頭部が完全にひしゃげています。



そしてこちらが、ゴム弾。こちらもかなりの衝撃が見て取れるでしょう。動画では、ダミー人形のゴムが破れている様子も確認できます。

さて、今回のデモでは抗議演説を行った中年女性が至近距離からゴム弾で撃たれていたり、
取材記者に対しても何かしらの弾薬で発砲されていたりとの報告がされています。


ゴム弾や、布袋に包まれた鉛玉とは言えども、至近距離で発砲された場合、重大な事態が発生することが予測されますし、実際にTwitter上では怪我をした人の生々しい画像が報告されています。

これ以上、被害者が出ないように祈るばかりです。