鹿児島大学ブランド焼酎「薩摩熱徒」× 山口大学ブランド日本酒「長州学舎」(JR西日本公式サイトより)

鹿児島大と山口大が連携して造った「薩長同盟」ブランドの焼酎と酒のセットが、2019年6月1日から、JR西日本の山陽新幹線で車内販売され、話題となっている。

鹿児島大の焼酎「薩摩熱徒」は、明治時代の焼酎造りで一般的だった「黄麹菌」を使用し、昨年、明治維新150年を記念した「薩長同盟酒プロジェクト」で生まれた芋焼酎。一方、山口大の日本酒「長州学舎」は、山口大で学生が栽培した山口県独自品種の酒米「西都の雫」を使用し、2009年に商品化された日本酒だ。

Jタウンネット編集部は、「薩摩熱徒」の開発に携わった、鹿児島大学農学部の下田代智英准教授に電話で詳しい話を聞いた。

「学生たちにとって貴重な経験になった」


鹿児島大学農学部・下田代智英准教授(「薩摩熱徒」特別サイトより)

「2年前になりますが、鹿児島市と山口市が企画する明治維新150年記念の地方創生プロジェクトの一つとして、『薩長同盟』という名の日本酒づくりにお声をかけていただいたのがきっかけでした。
また、山口大学は既に『長州学舎』という名の日本酒を製造されており、両大学で何か維新150年を記念するものはできないだろうか、という話に進展しました」

と下田代准教授は語る。

そこで鹿児島大学では、焼酎の原料となるサツマイモ「黄金千貫(コガネセンガン)」を栽培することから、新たな焼酎づくりのプロジェクトをスタートした。

指宿市内の畑を借りて、鹿児島大学の学生、教員に、地元の小学生らも加わって、休日返上で作業したという。原料栽培に関しては、「JAいぶすき」が協力した。

一方、鹿児島市内の田んぼでは、山口県産の酒米の栽培も行われた。収穫された米の大部分は日本酒の原料として山口へ送り、一部は焼酎の麹米として使用されたという。


鹿児島市の三和酒造でラベル貼りの作業を行う、鹿児島大学の学生たち(「薩摩熱徒」特別サイトより)

焼酎の仕込みには、明治維新期の製法にならって黄麹菌を使い、焼酎の酵母は、篤姫ゆかりの今泉島津家別邸跡地(指宿市)の土壌から分離した「篤姫酵母」が使われた。

柔らかな風味と甘みが特徴だ。ロックや水割り、お好みで炭酸割りもオススメだという。焼酎の製造は、三和酒造(鹿児島市)が協力した。

焼酎のブランド名やラベルデザインは、鹿児島大学の学生が担当した。「薩摩熱徒」というネーミングは、学生たちの発案で、多くの候補の中から選ばれたという。

「学生たちが実際に農作業を行い、ネーミングの決定に参加し、パッケージを作ったりした焼酎『薩摩熱徒』が、店頭に並び、販売されるというのは、本当に貴重な経験になったと思います。彼らにとっては、何よりも勉強になったのではないでしょうか」

「私は、農学が専門なので、商品を販売するというのは、本当に大変だな、と実感しました。昨年、製造した焼酎が完売するまでは、気が休まりませんでした。今年も完売して、このプロジェクトが継続してくれることを祈っています」と下田代准教授は話してくれた。

山陽新幹線での車内販売は、売切れ次第終了となるが、鹿児島大、山口大では限定販売されるという。鹿児島大の「薩摩熱徒」については、インターネット上に特別サイトが設けられており、オンライン通販でも購入できるようだ。


鹿児島大学農学部が開発したブランド焼酎「薩摩熱徒」(「薩摩熱徒」特別サイトより)