「令和」時代を担う「平成」生まれ社長たち
「令和」時代にはどんな文化が生まれ、育っていくのか
まもなく「平成」も31年の歴史に幕を下ろす。新元号の「令和」には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているとの安倍首相の言葉もあり、企業活動においても新たな産業や技術の創出が期待される。「平成」を振り返ってみると、特にIT分野の発展が著しく、インターネットをはじめ、パソコンや携帯電話、スマートフォンの普及など人々の生活や企業活動にも大きな変化を与えた。一方、バブル崩壊やリーマン・ショック、多くの自然災害は人々に激震を与えた。そんな激動の「平成」に生まれた人々がこれからの「令和」時代を担っていくこととなる。そこで今回は既に企業の先頭に立って日本経済の発展に寄与している「平成」生まれ社長（1989年1月8日以降生まれ）について調査した。「平成」生まれ社長の傾向は？
帝国データバンクの企業概要データベースCOSMOS2に含まれる「平成」生まれ社長企業1851社をみてみる。まず業種別では、IT企業などが含まれる「サービス業」が663社（構成比35.8％）で最多となり、「建設業」（331社、同17.9％）が続いた。さらに業種細分類別でみると、トップはアウトソーシング業者などが含まれる「他の事業サービス」（117社、同6.3％）で、うち8割弱の企業が2014年以降に設立された設立5年以下の企業であった。以下「ソフト受託開発」（95社、同5.1％）、「不動産代理・仲介業」（87社、同4.7％）、「土木工事業」（52社、同2.8％）と続き、上位10業種中5業種を「サービス業」に分類される業種が占める中、「建設業」「不動産業」からも2業種ずつランクインしている。「平成」生まれ社長の活躍がカギに
社長の就任経緯が判明した839社をみると、自ら起業して経営者となっている「創業者」が510社（構成比60.8％）で最多となった。なかでも2017年6月に東証マザーズに上場した(株)GameWithの代表取締役社長である今泉卓也氏は「平成」生まれ初の上場企業社長となった。以下、「同族承継」（220社、同26.2％）、「内部昇格」（55社、同6.6％）などが続いた。(株)Gunosyは昨年8月、新たに代表取締役最高経営責任者に竹谷祐哉氏が就任し、「平成」生まれの東証一部上場企業社長となった。さらにその中を業種別でみると、「創業者」では圧倒的に「サービス業」が多く、次いで飲食店などを含む「小売業」と、比較的参入障壁の低い業界が上位となった。その一方で、「同族承継」では「建設業」が最多となった。昨今、事業承継が課題となっているなか、若き「平成」生まれ社長へバトンタッチを行っている企業も一定数あることが伺え、今後はこうした動きがさらに広がっていくことが期待される。
「令和」元年生まれの人が20歳を迎える頃には、「平成」元年に生まれた社長は50歳になる。「平成」同様に「令和」時代にも新たな産業の創出、発展が行われることだろう。それを牽引していく「平成」生まれ社長のさらなる活躍が期待される。
