それは今大会だけでなく、半年前のロシア・ワールドカップのベルギー戦でも見られたことです。2点をリードしたなかで、具体的に明確な策を用意して攻めてきたベルギー。それに対し、日本は対応することなく、あるいは対応することができず、逆転を許してしまいました。
 
 では、日本代表の「対応」とは具体的にどういったものなのか。相手に対し、チームとしてどんな「幅」を具体的にもっているのか。「対日本」の具体策を用意し、さらにそこに精度が伴う相手には”なんとなく”では太刀打ちできません。
 
 それがはっきりとしたことがアジアカップの収穫と言えるでしょう。本来であれば、1か月あるアジアカップのなかで、解決策を垣間見たかった気持ちはありますが、4年後のワールドカップまでの道の途中、それも歩き出したばかりとなれば、これをステップとして捉えるべきなのかもしれません。
 
 今大会で具体策を提示しなかったのが、カタール・ワールドカップまでの意図した戦略であることを願います。
 
【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとし2007年から前人未踏のJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は解説者として活躍中。