「米欧から押し付けられただけでは」ILC誘致に研究者が多くの疑念
ILCは、物質に質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」を発生させ観測し、宇宙誕生の謎に迫ることが期待される大型施設。日米欧が参加する国際共同プロジェクトだ。一方、総建設費は約8000億円と試算されている。ホスト国の日本は半額の4000億円を負担することになるため、誘致に対して慎重な議論がなされていた。
学術会議の回答に対し、ILC推進派から意見が噴出。東北ILC準備室の室長で岩手県立大学の鈴木厚人学長は「学術的意義が認められたことは大きい。だが経費分担に関する疑念からILCの支持に至らないとの結論になったことは残念。適切なプロセスを踏み、政府間協議を進め経費分担を話し合うべきだ」と反論した。
だが新たなプロジェクトの経費負担は「他の研究予算を圧迫するのではないか」という疑念を多くの研究者に抱かせている。「もし本当に大切なプロジェクトであれば米国が誘致に手を上げていたはず。日本は米欧から負担を押し付けられただけではないのか」(国の研究機関のトップ)との厳しい見方もあり、大型プロジェクトに対する研究者間の合意が得られているとは言いがたい。政府は重要な岐路に立たされている。
(文=冨井哲雄、田畑元)
