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電車内や駅でたまに見かける、忘れ物や落とし物。「自分も注意しないとな」と思ったり、駅員さんに渡したりした経験はありませんか?

ところで、ご存知ですか? 忘れ物や落とし物が破格の値段で販売される、期間限定の「忘れ物市」があることを。

そもそも忘れ物って販売できる? どれぐらい安い? 傷や汚れは? そんな疑問を解きあかすべく、さきごろ開催された「東京都 鉄道忘れ物市 in さいか屋藤沢店」に行ってきました。

○様々な落とし物が販売

JR・小田急藤沢駅の前にある、さいか屋藤沢店の会場へ到着。エレベーターのドアが開いた瞬間、売り場から商品を選ぶ来場者の熱気が押しよせてきます。

開店直後でこの混雑はすごい……。また売り場を見渡して、まず驚くのが豊富な商品と多彩なジャンル。バッグ、小物、靴、アクセサリー、時計、ゲームソフト、楽器、スポーツ用品、文房具、モバイル関連機器などなど、ありとあらゆる忘れ物(商品)がワゴンやショーケースに並んでいます。

さらに驚くのが、その価格と品質。さいか屋藤沢店の担当さんに伺ったところ、「原則的に、ほぼすべての商品を市場価格の約半値で販売しています。新品もしくは新品同様の品物や高級ブランドのバック、腕時計、傘なども豊富に用意されて、特に靴は約8割が新品。また、目玉商品は開催期間の初日だけでなく、開催期間中も毎日補給するので、日々掘り出し物と出会うチャンスがあります。宝探しの感覚で買い物を楽しめる、それが東京都鉄道忘れ物市の魅力です」とのこと。

催事はビジネス的な意味合いよりも、モノを通して人々が交流する場所を提供できることが大切だとし、開催しているそうです。

ところで、電車内や駅構内などの忘れ物は、どのようなプロセスを経て販売されるに至るのでしょうか?

○JRの落とし物はどう取り扱われる

その謎を解くため、JR東日本広報部の担当者さんに、落とし物・忘れ物の取り扱いについて問い合わせました。

――落とし物や忘れ物が駅に届いた際、取り扱いの流れについて教えてください。

担当者さん:届けられた落とし物は、駅において弊社の管理システム端末に情報を入力し、持ち主からのお問い合わせにお答えできるようにしています。一定期間(2〜3日程度)が過ぎると警察署の最寄り駅に送付し、集約したうえで、指定された警察署等へ引き渡します。

――落とし物、忘れ物が警察署へ届いた後、持ち主が不明な場合はどのようになるのでしょうか?

担当者さん:警察署の保管場所で3カ月間保管され、その間、持ち主不明の場合、忘れ物の所有権が弊社に移管され、その後は所定の手続きに則り、法令に従って適切に処分等を行います。

○落とし物はどれだけ多い

「法令に従って適切に処分等を行う」……処分等は販売を指しているのかな? でも、落とし物は、3カ月間持ち主不明の場合、届けた人にもらう権利が発生するんじゃないの? などなど、まだ謎が残ります。

そこで、同催事の商品供給を手掛けている、ピーエックス 代表取締役 与儀さんに話を伺いました。

「1年間に東京都内の駅だけで約300万件の落とし物・忘れ物が発生しており、その約80%は落とし主のもとに返ります。残りの20%が持ち主不明の落とし物となり、そのうちの約10%の落とし物は、3カ月の保管期限を過ぎた後、届けた方がもらっています。最後に残った10%の落とし物は、届けた方がもらわなかった(所有する権利を放棄した)落とし物・忘れ物であり、それが入札(処分)の対象になります。今回の忘れ物市で販売されている商品は、すべて弊社が入札に参加し、落札したものです。忘れ物市は、拾ったものを届けでる方の善意で成り立つのです」と語る与儀さん。

なおJR東日本の場合、届けた人が所有権を主張しているケースでは、落とし主が現れなければ警察署から届けた人に引き渡されるとのこと。またJR東日本の場合、「入札」ではなく「相見積もり」で処分等が行われているそうです。

特に品質には徹底してこだわり、いいものを破格で提供しているとのこと。1年間に東京都内の駅だけで約300万件も発生する落とし物。

そのうち計算上、約30万点もの落とし物が入札の対象となり、このような催し物で販売されているとは……。しかも、新品もしくは新品同様の高級ブランド品まで、約半値で販売されている事実には驚くばかり。

さいか屋藤沢店の担当さんによると、開催は今回で8回目。すでに地域の名物イベントとして定着しているそうです。

また開催は不定期なので「さいか屋藤沢店のホームページ等をこまめにチェックしてください」とのこと。

東京都 鉄道忘れ物市は、宝探しを楽しみながら、リサイクルにも貢献できる、忘れちゃいけない催事でした。