大物経営者とモメた箕輪厚介が状況を打破した驚きの方法とは?
「仕事に活きる人脈がほしい」。そう思う一方で、どうやって広げればいいかわからない、広げすぎても“広く浅く”になってしまう気がする…そんな悩みを抱いているR25世代も多いはず。
そこで、10月の特集「私の人脈論」では、ビジネス賢者たちに「人脈」をテーマに取材を敢行。それぞれの個性あふれる“人脈論”を通して、人との向き合い方について改めて見直すきっかけをお届けします。
というわけで第1回目は、編集者としての活躍はもちろん、最近では『サンデージャポン』(TBS)や『5時に夢中!』(TOKYO MX)などにも出演し、さらには初の自著『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス)は6万部を突破…!
今まさに交友関係もどんどん広がっているであろうこの方に、お話を伺ってきました。
【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】1985年生まれ。2010年に双葉社に入社。広告営業などを経て2014年より編集部に異動し、『たった一人の熱狂(見城徹)』『逆転の仕事論(堀江貴文)』などを担当。2015年幻冬舎に入社した後は、NewsPicks Book編集長として『多動力(堀江貴文)』『人生の勝算(前田裕二)』『お金2.0(佐藤航陽)』『日本再興戦略(落合陽一)』などの話題作を生み出しつづける一方、自著『死ぬこと以外かすり傷』が6万部を超えるヒットに
〈聞き手:宮内麻希(新R25編集部)〉
居心地の良い場所にとどまると、それ以上の成長はない
箕輪さん:
人間関係を広げたいなんて思ったことないし、なんなら常に壊れてもいいと思ってるんだけど、大丈夫かな?(笑)
宮内:
以前新R25の記事で「学生ノリの友だちは切れ」とおっしゃっていたのが印象的だったので、このテーマでお話をお伺いしてみたいなと思ってたんです。
箕輪さん:
“切れ”っていうのは一生会うなとかそういう話じゃないですよ。人生を上昇気流に乗せたいんだったら、自分にとって居心地の悪いところを選択しなくちゃいけないっていうこと。
僕もさ、新卒で双葉社に入ったころは出版社に入れる自分がすごいうれしくて、わざと街でゲラを持ち歩いて浮かれてたりしたんだけど(笑)。
宮内:
そんな時代が…
箕輪さん:
でも次第に、その場所が慣れて、少しづつぬるく思えてきちゃう。それで次は幻冬舎に飛び込んでみたら、周りにいるのは優秀な人ばっかで。最初は「俺の居場所がない」「厳しい環境だな」って思ってたよね。
でも、夢中になって目の前のことに一生懸命になっていたら、気がつけばその場所にも慣れてくる。ストレスを感じなくなって、今なんてこんな偉そうですよ。
箕輪さん:
だから、最近はオンラインサロンを頑張ってるの。まだ未経験でできないことも多いから。新しい感覚を得れば、それが結果的に編集の仕事にも役に立ってる。
ヤドカリと同じで、最初は分不相応なくらいの居場所で無理して頑張る。で、自分の居場所がちょうどいいサイズになったら、また居心地の悪い次の場所に移動していかなくちゃいけない。
居心地の良い場所を拠点として固定しちゃうと、それ以上の自分の成長はないから。
大人の人間関係とは、キラーカードの切り合い
宮内:
箕輪さんはたくさんの“大御所”と付き合って、本の編集を担当されてますけど、大物と付き合うコツとかってあるんでしょうか?
箕輪さん:
人間関係とか人脈の話になると、結論として “自分の実力”に落ち着くんですよ。
見城さんがよく、人との関係は「キラーカードの切り合いだ」って言ってて。
宮内:
“キラーカードの切り合い”ですか…?
箕輪さん:
自分が持っているカードと、相手が持っているカードが同等の価値であり、かつそれをお互いに切りあえるのが本当の大人の交友関係なんだよね。
たとえば僕の仕事だったら、著者は「自分は面白いものを書ける」っていうカードを、僕は「書いてくれれば絶対に売る」っていうカードを持ってる。
それをお互いに切り合ってはじめて関係性が成立するってこと。
宮内:
コミュニケーションについて、“ペコペコしない”とか“距離感を考える”とよくおっしゃっていたので、テクニック的な部分も重要なのかと思っていました。
箕輪さん:
もちろん意識はするけど、そこは本質じゃない。
コミュ力が高いからホリエモンとかの大御所が仲良くしてくれるんじゃなくて、結果が出るからでしょ。同じ感度で考えられて、同じレベルで仕事ができるからじゃないですか。
コミュニケーションのテクニックは、最初のきっかけにはなるけど、どれだけ極めても小手先になっちゃう。関係性を維持していくには、結局のところ実力が必要だよね。
互いの目的のために“利用しあう”関係じゃないと浅くなってしまう
箕輪さん:
そもそも、みんなはどうして人間関係を広げたいんだろう?
宮内:
う〜ん。いろいろあると思いますが、なんとなく仕事に活きる知り合いがほしいとか、飲み友だちがほしいとか…?
箕輪さん:
今の質問に即答できないなら、やめたほうがいいかもね。意味ないじゃん。
人間関係ってつくろうと思うものではなく、自分が目的を持っているときに出会って、いい意味で利用しあうっていうのが大前提だから。
宮内:
箕輪さんの人間関係は「利用する」感じなんですか? もっと「腹を割った友だち」みたいな付き合いかと思ってましたが…
箕輪さん:
逆だと思うよ。目的のない関係性こそ、浅くなっちゃうんだよ。
この前、落合(陽一)さんが「用もないのに飲みに行く3人の友だちのうちの1人が箕輪」みたいに言ってくれてたらしいんですけど、これ、仮に僕が急に働かなくなったりしたらどうなるんだろうって考えてて。
箕輪さん:
多分、大学時代の友人みたいなノリで、1年に1回とか飲みに行くことはあっても、今みたいな関係性ではなくなると思うんだよね。
ベクトルは違っても、同じ熱量で頑張っていたり、世の中に良いインパクトを与えるっていう共通の目的があってお互い走りつづけているからこそ、分かり合えるし、切磋拓磨できるのであって。
宮内:
そう考えると、特に目的なく「人脈を広げたい」とか思ってしまうのはよくないんですかね。
箕輪さん:
僕は目的がはっきりしないまま「紹介したい人がいる」とか言われる飲み会は断るようにしてるし、つまんなかったらトイレ行くフリして帰っちゃうよ。
宮内:
さすがにそこまではできないです…
箕輪さん:
そこまでしなくても、はじめて人に会うときは“共通する目的は何か”を見失わないことが大切だよね。
僕が今マーク・ザッカーバーグと知りあえても目的がないからしょうがないもん。俺はマークに切れるカードをまだ持ってないから。
チャンスを見極められるのは優秀な人だけだから、凡人は動くしかない
宮内:
ちなみに、箕輪さんが「こいつとだったら仲良くしたい」と思う若手ってどんな人ですか?
箕輪さん:
僕にとってのキラーカードを持ってる人だよね。
最近さ、若い子たちから「出資してください」って毎日DMがくるの。もうすごい数だよ。基本スルーしちゃうんだけど、大体がダメだよね。でもカードを持ってない彼らが取るべき“姿勢”としては間違ってないと思うんだよね。
実力をつけるためには、圧倒的に思考することと、とにかく行動をするっていう2つが大切。SHOWROOMの前田祐二が、「頑張るとは見極めてやりきることだ」って言ってたんだけど。
宮内:
“やりきる”はわかるんですが、“見極める”ってどういうことでしょう?
箕輪さん:
「この土地のなかにダイヤモンドが埋まってるから掘り当てて」って言われたとするじゃん。
その時、とにかくがむしゃらに掘りまくって血だらけになるタイプと、「これまでどんなところでダイヤが出たのか」「どんな地質だと出やすいのか」とかあらゆる可能性を死ぬほど考えて、「ここだけを命がけで掘ります」って見極めてから行動に移すタイプがいる。
箕輪さん:
前田さんの言う「頑張る」は見極めてからやりきることで、これができるってすごい優秀なの。でも、若いうちからそれができるのって、本当に一部の人だけなんだよね。大体が、ただ観客席から分析してるか、バカだけど行動してるかのどっちか。
でも分析だけする評論家になるくらいなら、バカみたいに行動してるほうがマシだと思うんだよね。
宮内:
『死ぬこと以外かすり傷』の帯にも、落合陽一さんが「熱量の高いバカなテンションを潰す世界にしてはいけない。この本はリスクを取るバカを増やしてくれる」と書かれてますね。
箕輪さん:
そう。熱量の高いやつのほうが、キラーカードを持てる可能性はあがると思うよ。だって動いてみないと自分の能力が足りないことにも気がつけないでしょ?
今の時点ではめんどくさいから仲良くしないかもしれないし、DMも無視するだろうけど(笑)。最初のカードは行動力だったりするからね。
上司の名前は出さない。どんな相手でも“独立した個”として向き合う
宮内:
ちなみに箕輪さんは人間関係で失敗したことはないんですか?
箕輪さん:
そんなの全然あるよ(笑)。
ある超大物経営者とモメちゃったことがあるし。LINEでめっちゃ切れられて、呼び出されたよね。
宮内:
絵に描いたような修羅場だ(笑)。
箕輪さん:
でも、そのとき自分はなにひとつ悪い判断をしてないと思ったから、修羅場へ向かう途中に覚悟を決めて、とりあえずストロングゼロを3缶飲み干したの。
その勢いで「別にクビになってもいいし、僕は悪いと思ってないっす」ってLINEしたんだよね。
宮内:
さすがにシラフではキツかったんですね。
箕輪さん:
そしたら、修羅場に着いたタイミングでなぜか「箕輪ちゃん、最高!」って抱きしめられて…話し合いするまでもなく収まっちゃった(笑)。
良い子はマネしないでください
箕輪さん:
これ、僕がスーツ姿で菓子折り持って、「ごめんなさい!」って土下座してたら絶対うまくいかなかったと思う。
だからこの時、どれだけ立場が上の人でも表面的に謝ったり下手に出たりしないで、独立した個として対峙することが絶対大事だって感じたんだよね。
宮内:
でも、仕事のなかで対等に接しようと思っても、下手に出ちゃったりするんですよね…
箕輪さん:
簡単なのは普段の仕事のやりとりで上司の名前を出さないことだよね。そうすれば少なくともなめられはしないから。
宮内さんだったら、「編集長に相談してみますね」とか絶対やめたほうがいい。言われた側からすると「じゃあ最初から編集長と話させろよ!」ってなるじゃん。
そうなったらただのメッセンジャーで、自分である価値がなくなっちゃうよ。
上の世代が持たない武器を持つことで、これまでにないレベルで人間関係が広がった
箕輪さん:
あと、狙ってそうなったわけではないんだけど、やっぱりオンラインサロンを立ち上げてから(2017年7月に「箕輪編集室」を開始)、これまでとは違うレベルで人間関係が広がった感覚はあるかも。
宮内:
ベストセラーになった『たった一人の熱狂』(見城徹)の編集を担当されたあたりからだと思ってましたが、意外と最近なんですね!
箕輪さん:
もちろんこれまでも、いわゆる“大御所”と呼ばれる人たちと担当編集や部下としての関係性は築けていたと思うけど、「箕輪ってなんか新しいことを知ってそう」って個人として興味を持ってもらえたのはサロンを立ち上げてから。
若い人たち以外には意味のわからないものでムーブメントをつくってるってウワサになってはじめて、対等っていうと失礼かもしれないけど、信頼してもらえるようになった気がするな。編集者や部下という壁を越えて。
宮内:
同じ土俵で戦うのではなくて、自分だから突き詰められるものを見つけるというのはあるのかもしれませんね。
箕輪さん:
それはあるね!
ホリエモンとかに「対談」っていう形で呼ばれるようになったのもそこからだし。他にもオンラインサロンと言えば「箕輪がよく知ってるぞ」って錚々たる人たちから相談もされるようになった。
上の世代の大物たちと対等に付き合うようになるためには、その人たちが持ってない新しい武器を持っているってだけで強いよね。
結論:まずは期待に応えられる自分でいつづけること
宮内:
結論、人間関係なんてつくることを意識する前に、まずは自分の仕事を頑張れということですかね。
箕輪さん:
自分が何者かであれば必ず誰かが寄ってくるから大丈夫だよ。
編集者だって、どれほどコミュニケーション能力が低くても、出す本が全部10万部突破してたら、人間関係なんてうざいほど広がる。だから常に期待される存在でいることと、それに応えること。
打率10割じゃなくてもいいから、また期待してもらえる自分でいつづけるってことが大事なんじゃない?
取材の帰り道、以前仕事のやり取りでトラブルが起きてしまったときに上司に頼ってしまったことを思い出し、ひどく反省しました。
ちなみに後日、箕輪さんから「ロケいきたいですね」とのメッセージをいただいたのですが…
上司に相談せず即答しました。
ここから、私も“個”として向き合っていけるように頑張ります。
〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=福田啄也(@fkd1111)〉
【4日連続公開】特集「私の人脈論」
明日は、話題のクリエイティブを次々と手がけている広告会社「The Breakthrough Company GO」の代表を務める三浦崇宏さんの人脈論をお届けします!
人脈がカギを握るであろう広告業界で活躍する三浦さんの、人付き合いのモットーとは? パンチライン連発のインタビューをお楽しみに。